ライフサイクルアセスメント(LCA)とは?実施方法と事例を紹介
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企業が実施できる環境問題への取り組みとして「ライフサイクルアセスメント(LCA)」が注目されています。環境負荷の軽減以外にも、企業の信頼性の向上や製品の改善にも繋がるというメリットがありますので、ぜひ実施方法や事例を確認してみてください。

目次

  1. ライフサイクルアセスメント(LCA)とは
  2. LCAとSCOPE3の違い
  3. ライフサイクルアセスメント(LCA)の実施方法
  4. 排出原単位を活用した温室効果ガスの計算
  5. ライフサイクルアセスメント(LCA)導入のメリットは?
  6. ライフサイクルアセスメント(LCA)の課題は?
  7. ライフサイクルアセスメント(LCA)注目の背景
  8. 各業界の導入事例
  9. ライフサイクルアセスメント(LCA)の実施が地球の未来に繋がる

ライフサイクルアセスメント(LCA)とは

ライフサイクルアセスメント(LCA))とは、環境への負荷を見える化するための手段・方法です。商品やサービスのライフサイクル、つまり開発から製造、運搬など、製品における全過程での環境負荷を、データで示します。ISO 14000の取り組みのひとつであり、ISOの国際規格によって標準化が行われています。

ライフサイクルアセスメント(LCA)とは

ライフサイクルアセスメント(LCA)の意味

ライフサイクルアセスメントは英語で記すと「Life Cycle Assessment」です。ライフサイクルとは、本来なら生物の一生、誕生してから死ぬまでを指しますが、ここでは物に対して使われています。

企業が開発した商品やサービスの、開発→原料の調達→生産→出荷→運搬→使用→廃棄まで。この一連の流れをライフサイクルと呼びます。

アセスメントは「評価」という意味です。よって、ライフサイクルアセスメントは、該当する商品やサービスの“一生”を評価することという意味になります。

ライフサイクル全体を見直すことが目的

ライフサイクルアセスメントは、たった一工程だけを見直すのではなく、全行程でどのような環境負荷が生じるのかを見直すことが目的です。包括的にライフサイクルを評価することで、一方向からでは見えなかった環境への負荷を洗い出すことができます。どの製品がどれだけ環境への負荷が少ないかを、誰もが判別できるようにすることも目的のひとつです。

LCAとSCOPE3の違い

ライフサイクルアセスメント(LCA)と同じようにつかわれている言葉で、「SCOPE3」があります。SCOPE3とは、企業や組織が事業活動をする範囲をSCOPE1からSCOPE3までの3つに分けて、それぞれのCO2排出量を数値で評価しようとするものです。SCOPE1から3までの範囲は以下の通りの定義となっています。

SCOPE1・・・事業者が自ら直接排出するCO2
SCOPE2・・・外部から供給される電気や熱の使用によって排出されるCO2
SCOPE3・・・SCOPE1とSCOPE2以外の範囲(サプライチェーン全体)で間接的に排出されるCO2のすべて

SCOPE3は、温室効果ガスの排出量を算定して報告するための国際規準であるGHGプロトコルに定められている排出量区分のひとつです。GHGプロトコルはその企業が単独で排出するCO2だけではなく、通勤や出張など事業活動による移動も含めたサプライチェーン全体から排出される量を重視しています。

SCOPE3の測定はISOに基づいたLCAができるからこそ成り立つもので、単独で行えるというものではありません。企業が環境に対してかけている負荷を、国際的な基準による一定の計算方法で評価できるよう定められた一連の手法になります。

ライフサイクルアセスメント(LCA)の実施方法

ライフサイクルアセスメントの実施方法は大きく分けて3パターンあります。それぞれの実施方法を確認していきましょう。

ISO規格に基づいた方法

ISOとは、厳密にいうと「国際標準化機構」という機関の名称ですが、国際的な共通基準を定めるための「規格」自体を指す認識が強いかもしれません。ISO規格を取得する目的は、企業によってそれぞれですが、国際的な取引がスムーズになる、商品やサービスをブランディングできるといったメリットが大きいでしょう。

冒頭でもお伝えしたように、ライフサイクルアセスメントは、このISOの規格に基づいて実施可能です。ISOによる評価手順は、以下4つのプロセスで実施されますので、順番に確認しましょう。

  • 目的や調査範囲の設定(ISO14040)
    最初にライフサイクルアセスメントを行う目的を設定します。
  • 対象の商品やサービスの決定
  • どんな環境問題に対して提起するのか
  • 評価結果を出してどう活用するのか

企業が提供・販売しているサービスが多岐に亘ることも多いでしょう。ライフサイクルアセスメントを行う際には、まずどの商品やサービスに対して行うのかを決定します。次に、地球温暖化への影響・大気汚染など、どんな環境問題に対しての評価を行って、その評価をどう活用したいのかを明確にする必要があります。

・インベントリ分析(ISO14041)
1つ目のプロセスで設定した商品やサービスの、ライフサイクル全工程における原材料や素材、使用エネルギーなどを一覧表にして分析します。該当のインプット・アウトプットの両データをすべて把握するための工程です。この分析のために作成する一覧表を、インベントリ表と呼びます。イベントリ表を作成して、分析するプロセスまでを主に行うことを「ライフサイクルイベントリ」とも言います。

・環境への影響評価(ISO14042)
インベントリの分析ができたら、次は環境への影響評価です。ライフサイクル上で発生するCO2や有害物質などが、環境に対してどれだけの影響があるのかを定量的なデータで評価します。影響評価の方法は、「分類化」「特性化」「正規化」「統合化」と、プロセスがさらに細かいです。

・解釈する(ISO14043)
最後に全プロセスで得たデータや問題点の総まとめ、つまり「解釈」を実施します。このプロセスでは、1~3つ目までのプロセスをもとに結論を導き、提言をすることが目的です。分析の結果をもとに、ライフサイクルのどの工程で環境負荷が大きいかなどの課題を特定します。

環境ラベルの活用

環境ラベルを活用してライフサイクルアセスメントを行う手段もあります。環境ラベルとは、環境負荷低減を示すマークのことで、商品やサービスに提示することができるものです。「エコマーク」や「グリーンマーク」など、種類はさまざまあります。どれも共通するのは、環境にやさしい商品を選びたいと考える消費者の目印となるマークということ。環境ラベルがついているだけで、企業や商品に対する信頼感を高める効果が期待できます。環境ラベルもISO規格による制定で、以下の3つのタイプがあります。

・第三者認証(ISO14024)
公平な立場での判断ができる第三者機関によって、ライフサイクルを審査して認定される環境ラベルです。評価してほしい商品やサービスを第三者機関に申請して、審査が通ればマークの使用が認可されます。日本では「エコマーク」というものが、唯一このタイプに該当します。

・自己宣言(ISO14021)
事業者が自ら環境への配慮を宣言するのが、2つ目のタイプ「自己宣言」です。第三者によるチェックがあるわけではなく、企業が自ら宣言するものです。チラシやインターネット広告などのさまざまな媒体で活用されます。

・環境情報表示(ISO14025)
3つ目のタイプは、環境情報の定量データをそのまま表示する方法です。合格や不合格を判断し、提言するのではなく、データのみの提示で判断は消費者や利用者に任せます。ISO規格に基づいたライフサイクルアセスメントの手法で、定量データを算出してそのデータを開示します。日本では、社団法人産業環境管理協会が実施する「エコリーフ環境ラベル」という制度が有名です。

カーボンフットプリントの貼り付け

カーボンフットプリントとは、ライフサイクル全行程での温室効果ガスの排出量を「量」で表して、商品またはサービスに表示するものです。事業者がライフサイクルアセスメントを活用し、消費者に対して環境への負荷を「見える化」する取り組みとして比較的に身近なのがカーボンフットプリント。食品やお菓子、油などをよく見てみるとカーボンフットプリントがあるかもしれません。

カーボンフットプリントの宣言を希望する場合は、製品のカテゴリごとに制定されたルールに沿って宣言案を作成して申請します。ライフサイクルの定量データの算定や検証をクリアすれば、カーボンフットプリントの商品やサービスとして認定され、商品に表示が可能となるのです。

排出原単位を活用した温室効果ガスの計算

ビジネスの現場や生活の場において、常時CO2排出量の計算をするのは容易ではありません。常に関係する取引先からデータを取り寄せたり、CO2排出量を実測したりするのは現実的とは言えないでしょう。

そこで、「排出原単位」という輸送距離や発電などの産業活動における単位当たりのデータを元にして、温室効果ガス排出量の算定に用いる方法があります。排出原単位は一覧でまとまったデータベースがあり、それを利用する形で幅広く企業が環境負荷算定できるようになっているのです。

排出原単位は活動量当たりの温室効果ガス排出量のことですので、データベースから値を検索して算定対象となる活動量を掛け合わせれば、温室効果ガス排出量を算定することができます。

環境省と経済産業省が協働で解説しているページに、排出原単位データベースが公開されています。これはEXCELファイルになっており、計算式まで掲載されています。

たとえば、ガソリン車の軽貨物車が月に100km活動したときのCO2排出量などを記載されている数値に当てはめて、ここから算出することができるのです。このように、専門家でなくても、自社の産業活動量がわかっていればCO2排出量が計算できるようになっています。

ライフサイクルアセスメント(LCA)導入のメリットは?

ライフサイクルアセスメントを行うメリットとして、世界的に深刻化している環境問題への貢献はもちろんですが、他にもいくつかのメリットがあります。

企業における環境負荷が低減

ライフサイクルアセスメントの実施によって、環境への負荷はデータ化してわかりやすく提示できるようになります。ライフサイクル見直しの検討材料となり、環境への負荷を低減する取り組みも具体化できるようになるでしょう。結果的に「環境問題に向き合っている企業」ということを消費者や他社、また行政などにもアピールしやすくなります。近年環境問題に対する関心が高まっているので、環境問題に配慮した企業というだけで、話題性や信頼に繋がる可能性も大きいです。

製品やサービスの改善ができる

一部だけではなくライフサイクル全体を見直すことになるので、生産過程や出荷の作業、設計やプロセス全体における課題を見直すきっかけにもなるでしょう。例えば、無駄な作業が多い部分や、廃棄する資材が多い工程など、細かい改善点を見つけられるかもしれません。そうすることで、結果的に商品やサービスのコスト削減や改良に成功する可能性もあるでしょう。

消費者へ環境負荷のデータを提示できる

ライフサイクルアセスメントを実施してデータを見える化すれば、消費者が商品やサービスを選ぶ際の評価基準となります。さらに、ライフサイクルアセスメントのデータを用いて、食品ロス削減を促す活用方法もあります。
消費者が環境に配慮したものを意識して選ぶ・食品ロスをしないという意識が定着すれば、結果的には社会全体で環境への負荷を軽減できるようになるでしょう。

省庁の補助金要件となる

ライフサイクルアセスメントを導入するメリットの最後に、省庁が行う補助金事業の要件になることが挙げられます。2050年脱炭素社会の実現は政府の重要な政策目標です。この実現のために環境省では毎年度、脱炭素化支援事業を行っており、「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」(令和4年度第2次補正予算額 5,000百万円)、「民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」(令和5年度予算2,000百万円)など予算を組んで多数の事業を企画し、参加者を募集しています。

これら事業に採択されるにあたっては、LCAを導入して自らが排出する温室効果ガスの量をきちんと計算できることが条件となります。また各々の事業でどれくらいのCO2を減らすことに貢献できるのかも評価の対象になるのです。LCAを導入していれば、事業活動によるCO2排出量を第3者に示すことは可能で、事業に採択される要件にも見合うでしょう。

環境省をはじめとする省庁からの補助金を導入しての事業は、これからの社会に向けての投資活動の大きな弾みとなります。将来のためにもLCAの導入をして、事業活動のCO2排出量をきちんと把握できていることが必要になってくるといえるでしょう。

ライフサイクルアセスメント(LCA)の課題は?

ライフサイクルアセスメントの実施には、莫大なデータ収集が必要となります。原材料の調達、生産過程、運搬作業、消費者の使用想定、廃棄時の環境負荷など…すべてのデータを定量的にデータ化するとなると、かなりの時間と労力を要するのは確かです。さらに、データが不十分なことで正しくライフサイクルの見直しができないということも想定できます。

また、数値で表すのが難しい事例も多いのが現実です。前述の通り、ライフサイクルアセスメント実施の手順は数通りあります。「この商品の場合は、この実施方法で」というルートがあるわけではないため、実施方法で迷ってしまうこともあるでしょう。データ収集のルールやライフサイクルアセスメントの実施手順などが制定されていない事例の場合は、まず評価方法を確立する必要があるのも問題点のひとつです。

ライフサイクルアセスメントをすると、環境負荷が定量的に見える化されますが改善すべき点をすべて見直そうとしても現実的には難しいでしょう。製品やサービスの性能維持と環境負荷の低減の両立が難しい場合もあります。製品としては高品質でも、環境に対する負荷が大きくて評価が下がる場合もあるので、ライフサイクルアセスメントを進めるには慎重にならなければなりません。

ライフサイクルアセスメント(LCA)注目の背景

ライフサイクルアセスメントという手法が生まれたきっかけは、約50年前の研究が原点とされています。評価水準や評価方法の確立が少しずつ進み、ISO規格として認知度も向上中です。では、ライフサイクルアセスメントが注目される背景として、社会にはどんな流れが起こっているのでしょうか。

SDGsへの注目効果

近年さまざまなところで「SDGs」という言葉を目にしたり耳にしたりしませんか?子どもから大人まで、環境や資源に対して興味をもつ大きなきっかけになっています。

外務省の「JAPAN SDGs Action Platform」12.4にある「合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ…」という部分に注目してみましょう。この中の「合意された国際的な枠組み」というのが、ライフサイクルアセスメントのISO規格に該当します。企業ができるSDGs取り組みのうちのひとつとして、ライフサイクルアセスメントも浸透してきているのです。

現在は、各企業がSDGs実現に向けた社会の流れに対しての理解や実践のために動き始めています。「サスティナブル」や「持続可能性」を意識した商品やサービス、取り組みが増加している中で、ライフサイクルの見直しも、今後さらに重要性が増すでしょう。

脱炭素への流れの影響

最近テレビや新聞などで「カーボンニュートラル」という言葉を耳にしませんか?これは温室効果ガスの排出がゼロの未来を目指す、という政府の宣言です。温室効果ガスが実質ゼロになるように働きかけることが、カーボンニュートラル(脱炭素社会)実現への取り組みになります。

温室効果ガスすなわち二酸化炭素は、国際社会において深刻な問題である「地球温暖化」の原因の代表格です。そのため、地球温暖化への対策のひとつとして、カーボンニュートラルの取り組みは加速しています。それに伴って、環境に影響を及ぼす要素が見える化できるライフサイクルアセスメントも注目されてきているのです。

2050カーボンニュートラル実現に向けて

2020年10月、第203回国会における首相の所信表明演説において、日本は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、2050年カーボンニュートラルが宣言されました。

各省庁でも日本の新たな成長戦略としてゼロカーボン戦略に向けた様々な施策が実行されつつあります。世界や国内ではゼロカーボンへ向けた施策・商品開発は新しい成長分野であると認識されており、経済界では多くの企業がそれに向けて動いています。LCAはそれに欠かせない取り組みでありまさに避けて通れなくなってきているとも言えます。

各業界の導入事例

ライフサイクルアセスメント(LCA)とは?実施方法と事例を紹介
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ライフサイクルアセスメントが社会を大きく変えた事例のひとつとして、身近なところでは2020年のレジ袋無料配布終了があげられます。マイバッグを使用した場合と、レジ袋を使用した場合に、どれだけ環境負荷に違いがあるのかが、ライフサイクルアセスメントによって検証されました。よってレジ袋の無料配布は終了して、多くの人がマイバッグを利用するのが当たり前の社会になったのです。

では企業ではライフサイクルアセスメントをどのように活用しているのか、自動車メーカーやアパレルメーカーなど複数の業界の導入事例をまとめてお伝えします。

精密機器メーカー(日清紡ホールディングス)

精密機器を始め、自動車のブレーキや繊維、化学品事業など、幅広く手掛ける「日清紡ホールディングス」。同社では、ライフサイクルアセスメントのデータを、製品の企画や製作工程などの改善に活かしています。ライフサイクルの管理・見直しにはLCAソフトを活用。莫大なデータの管理を簡素化し、改善ポイントの抽出の自動化も可能です。
LCAソフトを使って、製品の開発段階からライフサイクルアセスメントを導入。環境への配慮はもちろん、持続可能な社会を実現するための製品開発に繋げています。

アパレルメーカー(CFCL)

アパレルメーカーの「CFCL」は、アパレル業界で初めてライフサイクルアセスメントを導入しました。同社では、2030年までにカーボンニュートラルの達成を目指すとしていて、その一歩としてライフサイクルデータの可視化に踏み切っています。現時点で、ほとんどの生産工程を日本で行う代表アイテムがあり、ライフサイクルにおける「輸送」の部分は、海外からの出荷に比べて大幅に軽減できていると言えます。今後は素材の見直しを始め、あらゆる取り組みで環境への負担軽減の実現を目指しています。

食品メーカー(日本ハム株式会社)

「日本ハム株式会社」では、ライフサイクルアセスメントの手法でいくつかの食品を対象にカーボンフットプリントの表示を行っています。ライフサイクルのイメージとCO2排出量をホームページで掲載し、消費者にわかりやすく提示。環境について考えながら商品を選びたいと考える消費者にとって、参考となりやすいでしょう。

印刷業界(凸版印刷株式会社)

凸版印刷株式会社ではLCAを用いてCO2排出量を計算し、同社で提供するパッケージ製品の環境負荷を評価しています。凸版印刷株式会社が評価するのは、原材料の調達から廃棄・リサイクルされるまでの範囲のうち、客先で使われている間を除く範囲です。現状使用しているパッケージがどれくらいのCO2を排出しているかは、客観的にわかるようになっています。
これにより、より環境負荷が小さい商品を選ぶことができるようになるため、サプライチェーンを含めた事業全体の環境負荷を減らすことに貢献できるのです。

建設業界(住友林業株式会社)

住友林業は、デベロッパー・ゼネコン・設計事務所向けに「One Click LCA」算定受託事業を行っています。これは建設業界におけるLCAの導入を容易にし、建設業界の脱炭素設計をサポートするものです。全世界のCO2排出量の37%は建設部門から排出されていると言われており、建築物を建てる側のCO2排出量削減には多くの課題が残っている状態です。
今後、建設資材に対する温室効果ガス排出係数の開示要求はますます厳しくなるため、業界全体で環境認証をとれるよう推進していく必要があるといいます。
同社ではクラウド型LCAソフトウェア「One Click LCA」を用いたこのサービスで、環境配慮型の開発事業をサポートしていく考えです。

自動車メーカー(トヨタ自動車)

自動車を生産・販売する「トヨタ自動車」では、走行段階の排気量だけではなく、生産から廃棄(廃車)までのライフサイクル全体の見直しを実施しています。結果をもとに各プロセスにおいて、太陽光発電システムの導入や新工法の導入などでCO2の低減を実現。新型車の概要を見ると、二酸化炭素や窒素酸化物など、環境汚染に関わる要素を従来型の車に比べて低減することに成功しています。

しっかりとしたライフサイクルアセスメントの実施によって、環境負荷の低減を成功させている事例のひとつです。

ちなみに自動車メーカーにおいてライフサイクルアセスメント実施の際は、自動車を造るための部品や走らせるための燃料など、あらゆる観点からの評価が必要になります。燃料が必要ない電気自動車にも注目が集まっていますが、ライフサイクルアセスメントの観点で見ると、意外とEV電池の生産や廃棄の過程で汚染物質を発生させていると問題視されています。

また、欧州では売れ行きの良い車種のライフサイクルアセスメントを公開するなど、日本に比べて注目度が高いです。すでに日本の環境省でも、2030年に向けて、燃費の基準を定めるなど自動車に対しての取り組みを策定しています。さらに日本自動車工業会でもライフサイクルアセスメントの実施によって、カーボンニュートラルの達成を目指すと提言しています。このように自動車業界でのライフサイクルの見直しは、必要不可欠になっていると言えるでしょう。

ライフサイクルアセスメント(LCA)の実施が地球の未来に繋がる

生産ラインや運搬体制など、課題はたくさんあるけれど、環境問題に目を向けたときに、実際にどう取り組めば良いのかわからない方も多いと思います。「ライフサイクルアセスメント(LCA)」は、規格もしっかりしていて業種によっては比較的取り組みやすいです。また、作業プロセスを見直すきっかけにもなるうえに、製品の改善や顧客から信頼度向上のきっかけにもなるメリットの多い取り組みといえるでしょう。ぜひLCAソフトや各工程の自動化システムなどを活用しライフサイクルアセスメントを導入し、企業の発展に活かしてみてください。

(提供:Koto Online