本記事は、はっしゃん氏の著書『「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法』(翔泳社)の中から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=ames Thew/stock.adobe.com)

理想的な10倍株の株価チャートとは?

それでは、実際に10倍株に成長している企業の株価チャートはどのようになっているのかを見てみましょう。

次のチャートは、ユニクロを運営するファーストリテイリング〈9983〉のリーマンショック後からの株価チャートです。上下動はありますが、株価はリーマンショック安値から10倍以上に上昇しています。

「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法
(画像=「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法)

続きまして、ファクトリーオートメーション向けセンサーが主力のキーエンス〈6861〉の株価チャート。同じくリーマンショック安値から20倍まで上昇しています。

「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法
(画像=「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法)

以下のページのチャートの通り、日本株は、1989年に日経平均株価が38,957円のバブル最高値を付けて、そこから30年以上もの間、高値を更新していません。

それでは、日本株は全てダメなのかというと、実際には3~4銘柄に1つが株価10倍以上に上昇していた時があり、また先に見てきたようにリーマンショック後からでも3,865銘柄中、387銘柄が10倍以上になっているわけですから、決してダメというわけではありません。当たり前のことですが、個別の銘柄に目を向ければ、停滞または下がっている銘柄もあれば順調に成長している銘柄もあるのです。

さて、株式投資を10年単位の長期で考えると、10倍株もそれほど珍しいものではないことをご説明してきました。そう考えると、四季報のまだ読まれていないページの中にも、きっと将来の10倍株候補が眠っているはずです。メソッドを使って、まだ知られていない未来の有望企業(銘柄)を発掘してみましょう。

「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法
(画像=「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法)

「期待上げ」ではなく「持続的な成長株」の中から10倍株を探す

一口に10倍株といっても様々なパターンがありますが、大別すると次の2つになります。

  • 短期間でバブルのように急上昇して落ちていくもの(一時的なバブル株)
  • 長い時間をかけて少しずつ成長して10倍になるもの(持続的な成長株)

バブル株の特徴は「期待上げ」だということです。2000年頃のITバブルでネット関連株が先行期待で大きく上昇したような事例ですね。それに対して、長い時間をかけて、ゆっくりと上昇していくのが持続的な成長企業の「成長上げ」です

「期待上げ」では、業績を伴っていない部分はバブルが弾けると急落しますが、業績を伴った「成長上げ」では、多少の変動はあるとしても、成長が続く限り上昇し続けます。

期待上げ:業績を伴わず、先行期待だけで買われる状態
     ITバブル期のように技術革新を伴う時にバブル化しやすい

成長上げ:業績を伴って、業績に連動して買われている状態
     売上や利益に比例して株価も長期間上昇していく

下記はITバブル期に急騰後、急落したソフトバンクグループ〈9984〉の株価チャートです。期待上げ後は、長い期間続く上昇相場(安値費40倍以上に上昇)になっています。株価はピーク時から60%の水準まで回復しましたが、まだバブル高値は超えられていません。

「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法
(画像=「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法)

同じくITバブル期に急上昇したMTI〈9438〉の株価チャートが以下です。ITバブル時の「期待上げ」が幻に終わり、株価も低迷し続けています。株価はピーク時の40分の1程度の水準で低迷しています。

「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法
(画像=「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法)

ソフトバンクグループのように成長した企業であれば、「期待上げ」後に「成長上げ」が来ることもあります。ただし、「成長上げ」が来るのは持続的に成長していく企業だけですから、成長しない企業は「期待はずれ」の状態が継続します。

ターゲットとするのは、バブルのような「期待上げ」の銘柄ではなく、業績を伴って成長していく地に足の着いた「持続的な成長株」です。長い時間をかけて株価が大化けしていく「成長上げ」の銘柄ですね。

また、長い投資期間の中では「成長上げ」の銘柄が人気化して、バブルのように想定外に上昇することもあるかもしれませんが、理論株価を使ってそれを判別する方法も一緒に学んでいきます。

10倍株を見つけるのに最適だった「四季報」への付箋貼り

前に紹介したように、ユニクロ(ファーストリテイリング)だったり、キーエンスだったりと、10倍株まで到達した銘柄はたくさんあります。そして、「リーマンショック後に10倍以上に成長した銘柄リスト」にある多くは皆さんが名前を知らないような比較的知名度の低い会社だったかと思います。

このような10倍株の多くに共通する点は、売上や利益といった評価される業績指標が何倍にも成長することで、それに連動して株価がシンプルに上昇し続けていることです。

そういう銘柄に四季報で「どうやったら出会えるのか?」を考えてみてください。

はっしゃん自身、過去に何回も10倍株を買うチャンスを逃してきたわけですが、それは、せっかく四季報を手にしながら、10倍株候補をリストアップ(後述しますが、「付箋を貼る」に該当します)ができなかったから。本当の意味で四季報を使いこなせていなかったからです。

はっしゃんは、10倍株候補の銘柄を探そうと思った時に単に四季報を読み飛ばすのではなく「10倍株を見つける可能性が高い読み方って何だろう?」と考え、「四季報を株価チャートから見るとどうだろう?」と思いつきました

そこで、とにかく株価チャートを見て、株価が上がっている銘柄を優先して調べていくことにしました。上げている銘柄から探していけば「そこに10倍株が入っている可能性が高い」と単純に考えてみたわけです。

もちろん、「期待上げ」か「成長上げ」かの見極めなど、その先に細かい分析も必要になってくるわけですが、とりあえず、株価が上がっている銘柄に付箋を貼っていくことイコール「未来の10倍株候補に付箋を貼っている」という結論に行き着くことになり、これが四季報の速読法へと進化していくことになるのです。

そして、四季報の全ページを速読して10倍株候補に付箋を貼るメソッドを毎年4回続けたことで、多くの発見がありました。四季報に付箋を貼って、その変化や傾向を分析していくノウハウも一緒に紹介していきます。

3年前に四季報に付箋を貼った銘柄はどうなったのか?

付箋を貼った後、コロナショックやロシアのウクライナ侵攻など、付箋時の前提条件を覆すような出来事があり、株価も大きく上昇したものもあれば、逆に大きく下落したものまで様々です。

結果として、レーザーテック〈6920〉が2019年夏から2021年秋まで、わずか2年程度で株価が10倍に到達しました。今では半導体関連株のスター株として名前を聞くこともある会社ですが、当時はまだ無名だったのです。

「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法
(画像=「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法)

このように大幅に上昇する銘柄もあれば、期待に反して下げてしまう銘柄もあります。従って、たくさんの付箋の中から上昇株を残しつつ、下落株を切っていく判断も必要になりますが、この方法についても解説します。

これまで成長株を見つける方法として四季報を使うこと、はっしゃんが考案した方法で銘柄を選んだ結果をみてもらいました。

それでは、将来の10倍株に付箋できる(かもしれない)速読法の具体的な方法を一緒に学んでいきましょう。

「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法
(画像=「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法)
「会社四季報」速読1時間で10倍株を見つける方法
はっしゃん(はっしゃん)
投資家VTuber
ITエンジニア兼業投資家として割安成長株に長期投資するスタイルで1億円を達成。現在は独立・起業して「初心者にも持続可能な株式市場の実現」という理念のもと、専門的な金融知識なしで利用できる株式入門サイト「株Biz」を監修・開発。
理論株価や月次情報など独自の投資コンテンツを配信する。投資家VTuberとしてマネー誌、投資メディア、SNSでも活動し、 ビジネス著書累計8万部、Twitterフォロワー数7万人、YouTubeチャンネル登録数1.7万人。

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