市場規模約50兆円
エネルギー関連事業に投資するMLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)が、資産運用先として注目を浴びている。2014年5月に発表された三菱UFJ証券の『投資環境レポート』によると、米国MLPの市場規模は2014年3月末時点で約50兆円である。ちなみに、米国のREIT市場規模は約70兆円、J-REITの市場規模は約9兆円である。今回はMLP人気の背景、残高の推移、パフォーマンスについて分析していく。
「エネルギー版REIT」とも言えるMLP
MLPとは、米国で行われている共同投資事業形態の一つであり、「エネルギー版REIT」と言える存在だ。天然資源の探索、採鉱、精製等のエネルギーに関する事業に投資するファンドである。また、REITと同じように収益のほとんどを投資家に分配することで、原則として法人税は課税されない仕組みになっており、利回りが国債や株式と比較して相対的に高くなる傾向にある。
人気の背景 高い配当利回りと値上がり期待
エネルギー事業は、川上(探査・開発・採掘)、川中(精製・備蓄・輸送)、川下(卸売・小売)に分けられ、MLPは主に資源価格や景気に左右されにくい川中事業に投資する特性がある。
野村アセットマネジメントのレポートによると、米アレリアン社がMLP代表50銘柄から算出するMLP指数(アレリアンMLP指数)の予想配当利回りは5.75%であり、米国株(S&P500)の2.08%、米国10年国債利回りの2.28%。米国REITの利回り3.73%より高い。
そして、米国ではシェールガス・オイルの莫大な埋蔵が確認されており、シェールガス関連への投資が盛んである。それゆえに、MLPに資金を投資することで、『シェール革命』といわれるシェールガス関連の投資ブームの恩恵を受けることができる。
また、エネルギー業界のパフォーマンス実績は、長期的な視点では市場平均を凌駕している。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによると、米国の代表的な500銘柄の株価を基に算出している株価指数であるS&P500の過去10年騰落率(2014年9月末)は全体が76.95%に対し、エネルギーセクターは138.69%となっている。このように高い配当利回りと値上がりへの期待が、MLP人気の背景にある。
時価総額も右肩上がり
MLPの時価総額も年を追うごとに増加している。楽天証券のレポートによると、リーマンショック前の2007年には約1,000億ドル前後であったが、2010年は2,000億ドルを超え、2014年3月末には約5,000億ドルに達している。特に、2012年から2013年にかけてMLPの時価総額が大きく伸びており、シェールガスのブームによってMLPの時価総額も大きく伸びたことが分かる。
急激な価格変動に注意
MLPの急激な価格変動が起こる点には注意が必要である。株式や国債市場と比べ規模が小さく、エネルギー業界の投資先が集中しているため需給関係、技術進歩、経済・政治的理由により価格変動大きくなりやすいのだ。
レック・メイゾン・アセット・マネジメント株式会社のレポートによると、2014年10月1日〜14日のアレリアンMLP指数の騰落率は▲13.9%であり、同時期の米国S&P500騰落率▲4.7%と比べ、大幅な下落となっている。2014年の年初来騰落率で見ると、アレリアンMLP指数の騰落率は7.0%に対し、米国S&P500騰落率は2.4%であり、アレリアンMLP指数の方がS&P500と比べ同様に価格変動が大きいことが分かる。
見てきたように、配当利回りや価格変動リスクの面から見ると、MLPは株式や国債、REITよりもハイリスク、ハイリターンの商品であるといえる。また、2014年10月の下落を見るとわかるように、株式と同じような価格変動をする傾向にあるということも留意しておきたいところだ。
(ZUU online)
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