本記事は、司拓也氏の著書『自分を守るためにちょっとだけ言い返せるようになる本』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
カウンター力 とは何か
あなたと攻撃してくる相手とは今、
「攻撃する側」(いじめる側・加害者)↔「攻撃される側」(いじめられる側・被害者)
という関係性になっているかと思います。
しかし、いくら言い返す術を身につけたとしても、この関係性が変わらない限りは、無限に攻撃され続けることになります。
ではどうしたらこの関係性を壊すことができるのでしょうか?
それは、
「あなたが教育する人」(先生・師匠)↔「相手が教育を受ける人」(生徒・弟子)
に変換することです。
関係性を変えることで攻撃されない状態を作ることができるようになります。
・「か弱き生き物」それが攻撃してくる彼らの正体
あなたを攻撃してくる人のほとんどは、根っこの部分では自分に自信がなく、他者を攻撃することでしか自己肯定や自己承認ができない連中です。
裏を返すと見た目の攻撃的な姿は仮の姿で、実はとても弱い生き物なのです。
そんな弱い相手が振り回す悪意に、コテンパンにやっつけてやる! という気概でのぞめば、相手の悪意があなたにうつって同類になります。
私自身、人に言い返す時に生じる微かな攻撃性を自分の心の中に見つけると、自己嫌悪でいっぱいになるタイプでした。
あなたは私以上に、人を攻撃することなど大嫌いな、優しく誠実な方のはずです。
そんな方ほど、「言い返そう」「やり返そう」と思った瞬間に生じる自分の中の攻撃性を認識した瞬間、言葉が出なくなります。
本来の優しく誠実なあなたが、その攻撃性を起点とした言動を表現することに躊躇し、言葉が出てこなくなってしまうのです。
・攻撃する人間から攻撃できない人間に変える言葉の教育「カウンター力」
そのため相手に「言い返す」という意識は捨て、無能力の何も知らない赤ん坊に教育していくと決めてください。山中で狼に育てられて、粗暴に育ってしまった幼児を救ったあなたが、その子を人間社会に馴染めるように、何がよくて何がダメなのかを、きちんと愛情をもって教育してあげる。そんな設定です。
これからご紹介していく方法は、相手にギャフンと言わせたり、言った瞬間に相手がその場から去っていくような強烈な言葉を期待していた人には、少し期待はずれにうつるかもしれません。
相手とできるだけ距離を取り、威圧感を醸し出して、相手からなめられないようにすることだけを目的としたものでもありません。
言葉の力で相手の攻撃力を封じ、相手がいつの間にか自分を応援してくれる存在に変わっていく、助けてくれる存在になっていくというのが最終ゴールです。
さらにあなたの仕事力もアップしていくのが狙いです。
ビジネスとは、答えのある問題を解く学校のテストのようなものではなく、答えがわからない中、最適解を探しあてていくものです。
そういった答えがわからない仕事上の課題に対して、1人でその問題を解決していくための考え方を指南しています。
さらに1人で解決できない時に、人から応援してもらえるような言葉の使い方も指南しています。
長期的に自身の仕事におけるコミュニケーション力を高めるヒントにも活用してください。
では具体的な言葉の使い方について見ていきましょう。
「どういう意味ですか?」
めんどくさい相手だと思わせたら勝ち
こんな攻撃に対して効果的……「馬鹿じゃないの?」「無能だね」
相手からの人格攻撃。こちらが病んでしまいそうな発言をする人はいますよね。
それが会社の風土として暗黙の了解で許されているような職場だと、モラハラ、パワハラという言葉を使って抵抗できないこともあるでしょう。
この手の発言をする人は、深く考えず、感情にまかせて言っていることがほとんどです。なぜなら彼らは、これらの発言を自分自身がたくさん浴びてきたから。
自分自身が、子供で何の力ももち合わせていない、情けない存在であった時に、心ない親や上の立場の人からこのような言葉を浴び続けて育った。
自分がまだ社会人1年目の右も左もわからない時に、厳しい上司からこのような言葉を受けた経験がある。そんな連中なのです。
だからできない相手を見ると、それを自分自身に反射的に重ね合わせてしまうのです。
その時言い返せなかった恨みを、目の前のあなたに反射的に投げつけているのです。
そう考えると可哀想な人たちとも言えますが、そんなことこちらは知ったことではありません。同情する余地はありません。
このような辛い仕打ちを受けてきたとしても、同じ苦しみを、他の人には味わわせたくないと考えて行動にうつさない人が大半だからです。
親から精神的、肉体的な虐待を受けてきた人全員が自分の子供に虐待をしているわけではありません。みなギリギリのところで踏みとどまっているはずです。
ただ重症な人はその歯止めがきかなくなります。声を荒らげ人格攻撃に走るのです。
そんな相手にはいちいちまともに言葉を返す必要はありません。
・笑顔で「どういう意味?」と聞くだけで人生は変わる
ニコッと笑顔で「え? それってどういう意味ですか? 教えてください」
もしくは、低くドスのきいた声で「え? それってどういう意味ですか? 教えてください」と伝えましょう。
そもそも相手も深い意味を考えずに発してきた言葉です。
即座にそれはこういう意味でこういうことだと説明するのは困難なはずです。
「そ、そのままの意味だよ!」
「そんな意味もわからないの!」
などと返してくるでしょう。
それに対しても
「はい、わかりません。どういう意味か教えてください」
「意味がわからないので、教えていただけますか?」
とメモを手にもって相手に食い下がりましょう。
この作戦は、罵詈雑言の類を浴びせられたら、毎回おこなうことをおすすめします。毎回おこなうことによって、彼らはあなたを、罵詈雑言を浴びせたらめんどくさい言動をとる相手と認識していきます。
私たちは「言い返す」行為をしているわけではありません。私たちは彼らを「教育」しているのです。罵詈雑言を発したら、めんどくさい結果が生じるよという教育です。教育には時間がかかりますが、何かしら変化は生まれます。
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