本記事は、司拓也氏の著書『自分を守るためにちょっとだけ言い返せるようになる本』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
「記憶にないです」
失敗やトラブルの責任を負わされそうになったら
全く身に覚えのないことを責められて、それを渋々受け入れてしまった経験はありませんか?
悪意のある相手なら、責任がないのに押し付けてくることもやりかねないですね。
悪徳代官が罪をでっち上げて犯人に仕立て上げてしまう構図です。
わたしも実は昔、似たような経験があります。
ある雪の降り積もった日の出来事。中学生の司少年の思い出です。
みんなで雪合戦。私も少し参加しましたが、寒くて最初の1分ほど遊んであとは座っていました。すると「パリン!!」私の横でガラスの割れる音がしました。
1人が投げた雪が私が座っていた真横の柔道場の窓ガラスに当たり、割れたのです。
朝練をしていた柔道部顧問が出てきて「誰や!」と雄叫びを上げると、グループは蜘蛛の子を散らすように逃げ、私1人ポツンと取り残されました。ポカンとした表情で座っている私を見て顧問は「お前か! コラ!」とゲンコツ。迫力に圧倒された私は一言「すみません」と言ってしまいました。
アメリカの心理学の実験で「他人に強引に責められると、人はそのプレッシャーに耐えられず自分の非を認めてしまう」という実験結果があり、実に69%の人が罪を認めてしまうそうです。
・濡れ衣を着せられる危険性は誰にでもある
たしかに、当時の私は自分に自信がなく人の顔色ばかりを伺って生活し、自己主張するのが苦手な子供でした。
いまもその気質は大きくは変わっていませんが、コミュニケーションや心理学を学ぶことで、罪を被せられるようなことはなくなりました。
しかし、あの時のトラウマは10年くらい残りました。
仕事上でトラブルが起こった時に、自分は全く関与していなくても、何かしら自分に罪があるんじゃないだろうか、罪を着せられるんじゃないだろうか、というわけもわからない罪悪感に似た感覚が生まれて、手汗、脇汗、背汗がじんわりと出てしまうのです。
幸いそのトラウマは消し去ることができましたが、レッスンをしていると私と同じような目にあってきた方とよく遭遇します。
対処法をお伝えしますね。
確実にやっていないと確信できる場合は「絶対に私ではありません!」とキッパリと主張することです。
・言い方のコツは笑顔と足裏
コツは笑顔でさらりと伝えること。
- 笑顔を作る
- 伝えたい言葉を心の中で一度ゆっくりと唱える
「わ・た・し・で・は・あ・り・ま・せ・ん」
「き・お・く・に・あ・り・ま・せ・ん」
- 2で唱えた言葉を心の中で唱えたスピードで伝えましょう
時には自分も何かしら関係があると思われる案件もあるかもしれません。
そんな時も確信がないなら一言「全く記憶にありません」と伝えましょう。
大声で迫ってきたり、威嚇されたりしても「記憶にありません」を繰り返してください。
もし笑顔を作るのが難しいと思う時は、足裏を意識します。
- 足裏で体重を感じながら
- 伝えたい言葉を心の中で一度ゆっくりと唱える
「わ・た・し・で・は・あ・り・ま・せ・ん」
「き・お・く・に・あ・り・ま・せ・ん」
- 口からではなく、足裏から声が出ていくつもりで相手に伝えましょう
この方法は、あがり症や人見知りで、人と話す時に緊張して声が出なくなったり、声がうわずってしまったりする方に向けて、ボイストレーニングでお伝えするテクニックです。
浮き足立つ感覚が消えて「腹がすわった感覚」が身につきます。
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