ID為替レポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「ドル弱し、円なお弱し、株高し。このリズムを維持できるか日銀金融政策」

ドル円=139-144、ユーロ円=153-158、ユーロドル=1.07-1.12

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨11位(10位)、株価3位(3位)、ドル弱し、円なお弱し、株高し。このリズムを維持できるか日銀金融政策」
 円は、難題山積で苦しむ南アランドにも抜かれ12通貨中、11位に後退、下には大統領選挙戦で暴落したトルコリラがいるのみだ。米国為替報告書でも貿易赤字や経常収支の縮小で「監視リスト」から除外された。G7声明での為替文言や米国の為替監視リストは貿易黒字国やドル買い介入を行う国を狙い撃ちにしたもので貿易赤字の日本は無視される。ただ対米では黒字なのでまったく無視されているわけでもない。
貿易赤字国日本にとってハードルの低い円買い介入実施は可能性は低いが頭の隅に置きたい。

 今年はドルが弱い(12通貨中7位、去年は2位)が、円がさらに弱く、クロス円の円安は急激となっている。円が弱い中で株価は上昇、世界で3位。景気の回復、企業収益の改善、物価高による消費税収増で、日本政府にとっては悪くないリズムだ。これを覆す大規模金融政策の転換は大きなリスクとなるので植田日銀総裁も苦慮するところだ。
 商品価格の下落で輸入も昨年のピークから減少しているが、輸出も伸びず貿易赤字が続く。それと金融緩和の継続で円安が続く。ドル円の2週連続陰線は打ち破られ週足では3月6日週以来の雲の上に出た。

今週は5月消費者物価の発表、黒田前総裁、植田総裁も強調する今年度後半の物価低下の兆しが出るかに注目したい。植田日銀総裁は、消費者物価の見通しが大きく変われば、政策変更につながる可能性があるとの見解を金融政策決定会合後に示した。

*米ドル「通貨7位(6位)、株価(NYダウ)14位(18位)、12通貨中7位と去年ほど強くはないドル」
 FOMCは利上げを休止したが、年内再利上げを示唆するFRB当局者が多い。インフレはピークの9.1%(22年6月)から半分以下の4.0%に低下しているがFRBに慎重派が多いのは、当初、コロナ禍でのインフレは一時的と判断した誤りを二度とは繰り返さないという緊張感もあるのだろう。パウエル議長が次回FOMCはライブとしたようにデータ次第でもある。最新のCME「Fed Watch」では次回据え置く確率は33%、0.25%利上げ確率は67%である。一方、6月ミシガン大の1年先インフレ期待は3.3%と2年ぶり低水準となった。

 さてドルは強くはない。12通貨中7位だ。去年は2位だった。資源価格の下落で、取引通貨のドルを購入する必要性が減退した。景気は当初、リセッションを予想されていたが世銀は米国の2023年の成長率見通しは1.1%と、前回予測の0.5%から引き上げたこともあり悪くはない。ドルの弱さはあくまで需給の変化だ。
 問題は、いつも金融危機の引き金となる不良債権だろう。米金融規制当局は6月16日、オフィスなど商業用不動産の価格下落を受け、銀行の融資状況を調査していると明らかにした。地方銀行など小規模金融機関に融資が集中していると警戒、リスク管理体制などを確認している。
 今週はパウエルFRB議長の21日、22日の米上下院銀行委員会証言も注目したい。

*ユーロ「通貨5位(5位)、株価6位(6位)DAX)、ユーロ堅調もジレンマ」
 今年は資源価格の下落で持たざる国の需給が改善し、欧州通貨が強いが、ユーロはポンドやスイスと比べれば出遅れている。ただ対円では年初来10.63%で155.24をつけ、2008年9月以来、15年振りの高値となった。円が欧州通貨と異なり、ドル安の流れについていけないことが原因だ。ユーロが他の欧州通貨より弱いのは独がリセッションに陥り、経済の腰は弱いが利上げを続けている点にある。

 ECBは15日の理事会で、前回5月と同じく0.25%の利上げを決めた。欧州経済は景気後退に転落しても、インフレ基調の高止まりが続く。物価の安定を優先し、次回7月の会合でも利上げを続ける姿勢を示した。ラガルドECB総裁は、「基本シナリオに重大な変更がなければ、われわれは7月の政策会合で利上げを継続する公算が極めて大きい」と述べ、「その後、抑制の適切な水準や期間を決定する上で、引き続きデータ次第のアプローチを取るだろう」との考えを示した。

 独連銀は、今年の国内経済がマイナス成長になり、少なくとも2025年までインフレ率が2%を上回るとの見通しを示した。 今年の経済成長予測はマイナス0.3%。従来予想はマイナス0.5%だった。 インフレ予測は今年6.0%。独連銀のナーゲル総裁は「インフレの持続性が高まる経済的・社会的リスクを打ち消すには断固とした金融政策が重要だ」と指摘。 連銀は「インフレには上振れリスクがある」とし「賃金と利益がさらに力強く上昇・拡大すれば、高インフレがさらに定着する恐れがある」としている。
一方、ギリシャやスペインなどはインフレ率が3%となっている。ECB内で不協和音が発生する可能性はある。

*ポンド「通貨2位(2位)、株価18位(18位)、政府も金融引き締めを支持、雇用、サービス強い」
 ポンドは回復している。対円では182円をつけ、2016年のEU離脱を選択した国民投票以前のレベルに戻った。対ドルではまだその当時の1.3-1.5レベルには戻していない。
今週は、まずは5月消費者物価の発表がある。予想は8.5%でG7内では規格外に高い。当然、英中銀の引き締めは続く。22日の英中銀の政策金利決定では0.25%引き上げて4.75%となると予想されている。

 カーニー前中銀総裁は、金利は「当面」高止まりすると発言している。最近の予想を上回る賃金上昇を受けて、インフレが予想よりも持続する可能性があり、2023年までにインフレを半減させるという政府の公約が脅かされる可能性があるとした。
 政府も中銀を支持している。ハント財務相はインフレ沈静化のため銀行金利引き上げ以外の選択肢はないとした。経済指標はまずまず。2-4月の雇用・賃金統計は予想を大幅に上回る強い内容となった。また4月のGDPは前月比0.2%増でサービス分野が伸びた。

*豪ドル「通貨6位(7位)、株価15位(19位)、予想外の利上げと米中日との金融政策の対比で上昇」
 先週、豪ドルは上昇、株価も上昇した良い流れが続く。RBAの予想外の利上げに対し、FOMCの利上げ休止と、日銀の金融緩和継続という外部要因でも上昇した。また中国が追加的に金融緩和を行うとの観測から商品が買われ、豪ドル買いにも繋がった。需要の力強い回復が見込まれる。
 国内では5月の雇用統計で、就業者数が予想以上に増加し、失業率が低下し労働市場が依然として逼迫していることで豪ドルが買われた。就業者数は前月比7.59万人増加。予想は1.5万人増、 失業率は3.6%で、前月の37%から低下。予想は横ばい。

  豪RBAは、9月末までにあと1回利上げして政策金利を4.35%とした後、年内は変更しないと予想されている。 ロウ総裁は、「さらなる引き締めが求められるかもしれない」と発言し、自らの忍耐には限りがあってインフレリスクはその限界水準を試し始めていると付け加えた。 次回7月4日の会合に関し金融市場が織り込む7月の利上げ確率は50%強。
 今週は6月製造業&サービス業PMIの発表がある。金融政策のヒントとしては6月28日の5月消費者物価の発表がある。 

*NZドル「通貨8位(9位)、株価17位(17位)、リセッションで売られるも強い豪ドルに連れ高で上昇」
 利上げした豪ドルと、中銀が金利ピークと発言、リセッション入りしたNZドルでは差がつき5月後半の1.05台から1.10台へ約4.7%豪ドル高NZドル安が続いている。ただ今月はここまで強い豪ドルについてい行く形で、対円では5.52%高、対ドルでは3.52高となり全体では8位と順位を一つあげている。

 1QのGDPは、前期比で0.1%減少した。積極的な利上げで業況感や製造業に影響が及んだ。悪天候で農業部門も打撃を受けた。22年4Qは0.7%減に改定された。2四半期連続でマイナス成長となり、経済はリセッション入りした。前年比では2.2%増加した。

 ただゴールドマン・サックスの見方は悲観的ではない。経済は技術的不況にあるかもしれないが、実際には非常に堅実であるとした。1QGDPは、家計消費が予想をはるかに上回って増加し、企業投資や広範な内需も回復したことを示していると述べた一方、予想外の低迷は在庫による大幅な押し下げによるものだとした。NZ中銀は2024年半ばまで金利を据え置くつもりのようだが、雇用市場が非常に逼迫し、インフレ・賃金状況が予想よりも長引く場合には、今後数カ月間に追加利上げのリスクがあると付け加えた。