インデックス投資は、各国を代表する株価指数の採用銘柄をすべて買うのと同じ効果があることから、行っている人が多い投資方法です。しかし、なかにはインデックス投資に向かないタイプの人もいます。そこで、インデックス投資をおすすめしない人の特徴を紹介します。
目次
インデックス投資とは?
インデックス投資とは、日経平均株価(日経225)、TOPIX(東証株価指数)、ニューヨークダウ工業株30種平均、S&P500などの株価指数と連動した運用成果を目指す投資スタイルをいいます。
例えば、日経225を対象にしたインデックス投資信託は、日経平均株価に採用されている225銘柄すべてを組み入れて運用します。組み入れている銘柄から入る配当金を再投資するため、基本は複利運用による長期投資です。基準価額は1日1回、取引終了後に更新されます。インデックス投資は個別に銘柄を選ぶ必要がないので、投資初心者に向いています。
インデックス投資は、リスクとリターンのバランスがとれた非常に良い投資対象ですが、投資する人の特徴によっては向かない場合もあります。
インデックス投資はやめたほうがよい3つの理由
良い投資対象であるにもかかわらずネットなどでは「インデックス投資はやめとけ」という声が聞かれます。その主な理由は、以下の3つが挙げられます。
個別銘柄のように急騰することは期待できない
インデックス投資は、「個別銘柄に比べて値幅変動が小さい」というデメリットがあります。個別銘柄の場合、中小型株なら1日で10%前後株価が変動することも珍しくありません。しかしインデックス投資は、市場平均に連動するため、組み入れている個別銘柄が急騰したとしても全体に与える影響は小さい傾向です。
年間リターンは数パーセント~十数パーセント程度が一般的となるため、短期間で大きな値幅を狙いたい人には向いていません。半面、配当金を再投資する複利運用によって長期で大きなリターンを得たい人には有効な投資方法です。
信託報酬など多くのコストがかかる
インデックス投資には、購入時や売買時、保有中にさまざまなコストがかかります。ファンドによって設定は異なりますが、まず購入するときに購入手数料がかかり、保有中は毎日信託報酬と監査報酬が発生し、売却時に信託財産留保額が差し引かれる仕組みです。
そのため個別株の売買に比べてコストが多く、意識しないうちにかさんでいくのがデメリットといえるでしょう。しかしこれは、やむを得ないコストといえます。なぜなら個別株なら自分で運用先の選定を行いますが、投資信託はファンドマネージャーなどのプロに運用をすべて任せているからです。
短期的に元本割れするリスクがある
インデックス投資も個別銘柄と同様に元本割れのリスクがあります。相場が高いときに買って、直後に下落することはよくあることです。特に2008年に起きたリーマンショックのように世界中の株式市場が大暴落したときは、インデックスファンドの価格も大きく下落します。
しかし一時的に下落しても中長期では相場が回復する可能性が高いため、長い目で見れば安全性が高い投資方法といえるでしょう。
インデックス投資が向かない人の4つのタイプ
インデックス投資は、以下のようなタイプの人にはあまりおすすめできません。なぜなら自分の投資方針に向かない投資を行っても長続きしない可能性があるからです。自分が向かないタイプに当てはまる場合は、他の投資対象を探すことを考えたほうがよいでしょう。
向かないタイプ1. キャピタルゲイン狙いの人(大きく儲けたい人)
キャピタルゲイン(売却益)狙いで大きく儲けたい人には向いていません。先述したように個別株は持っている銘柄に何らかの好材料が出て急騰すれば、大きな利益を上げることができます。インデックス投資信託でもキャピタルゲインを得ることはできますが、全体の指数を買うため、組み入れている個別銘柄が急騰しても影響は限定的です。例えば、個別株のように短期間で2倍になるようなことはありません。
そのため日常的にキャピタルゲインを狙っている人がインデックス投資を始めても、物足りなく感じる可能性があります。
向かないタイプ2. 短期間に売買を繰り返す人(早く結果を出したい人)
デイトレード(1日で結果を出す取引方法)やスイングトレード(数日から数週間で結果を出す取引方法)のように短期間で売買を繰り返す人も向いていません。先に述べたようにインデックス投資信託は分配金を再投資することで、長期的に資産を増加させる商品です。短期売買とは対極にある投資方法なので、短期投資家にはおもしろくないでしょう。
ただし、ETF(上場投資信託)であれば株式と同じようにリアルタイムで売買できるので、デイトレードやスイングトレードで利益を上げることも可能です。
向かないタイプ3. 株主優待を目的にする人(値上がり益などに興味がない人)
株式投資の楽しみの一つに株主優待があります。例えば映画ファンの投資家が優待で映画館の招待券をもらうには、個別に映画会社の株を買って株主となる必要があります。
インデックス投資信託に組み込まれている銘柄が株主優待を行っていたとしても、個別の投資家に優待を受ける権利はありません。株主優待を好む人は、配当金や値上がり益よりもその会社の商品や招待券・買い物券などを楽しみに投資を行っています。そのような人は、無理にインデックス投資を行う必要はないでしょう。
向かないタイプ4.短期間の価格変動で一喜一憂してしまう人(下落するとやめたくなる)
インデックスファンドであっても価格は常に変動します。そのため目先の価格が下落すると不安になってやめたくなる人も向いていません。例えば、コロナショック時は短期的に大暴落となりましたが、意外にも早く底を打って上昇に転じました。慌てて売らずに保有していれば比較的早く買値を回復して、むしろプラスになったという経緯があります。
インデックスファンドは、市場全体を買うような商品となるため、どっしりと構えて保有することが投資成功の秘訣です。
インデックス投資4つのメリット
インデックス投資は、どの銘柄を買ってよいかわからない投資初心者に適した投資方法です。インデックス投資の主なメリットとしては、以下の4つが挙げられます。
少額で始められ、1つのファンドで分散投資できる
成功するための投資の基本は、分散投資です。複数の銘柄に分散投資すると、1つの銘柄に悪材料が出て急落しても、他の銘柄が上がっていればマイナスの影響を緩和することができます。インデックス投資は、指数に組み入れているすべての銘柄に投資する仕組みです。そのため1つのファンドを保有するだけで多くの株式に分散投資するのと同じ効果が得られます。
投資金額も証券会社によっては100円から始められるため、少額投資にも向いています。
アクティブ投資より運用コストが安い
投資信託には、市場全体の平均に合わせた運用成果を目指す「インデックス投資」と、市場平均を上回る運用成果を目指す「アクティブ投資」があります。アクティブファンドは、ファンドマネージャーが銘柄を選択してテーマごとにポートフォリオを構成します。
一方のインデックスファンドは、対象になっている株価指数の採用銘柄で構成するため、銘柄選択の必要がありません。その分アクティブファンドより信託報酬が低めに設定されるメリットがあります。
株価指数と連動してわかりやすい
インデックスファンドは、日経平均株価やTOPIXなどよく知られた株価指数と連動するため、わかりやすい商品ということも大きなメリットです。個別株で多数の銘柄を保有していると、日々の株価のチェックや売り時の見極めも大変です。
その点、インデックスファンドなら株価指数の動きだけチェックすればよいため、「相場が下がったときに買い、上がったときに売る」というシンプルな投資戦略で利益を上げることができます。
つみたてNISAでも投資できる
インデックス投資は「つみたてNISA」でも行うことができます。つみたてNISAの投資対象は「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」(金融庁見解)です。インデックス投資信託は、まさにこの条件に適した商品といえます。
2024年スタートの新NISA制度では、年間120万円(月額10万円)まで積み立て投資することができます。個別株を中心とした成長投資枠(年間240万円)とは別枠になるため、つみたて投資枠はインデックス投資と割り切って運用できることもメリットです。非課税保有期間も無期限になったことから、つみたてNISAでインデックス投資を始めるには良い機会といえます。
インデックス投資でやってはいけない3つのこと
インデックス投資には、やってはいけない投資の仕方があります。特に以下の3つをやらないことを心がけて投資することが大切です。
インデックス投資の特徴を理解せずに投資すること
インデックス投資とアクティブ投資の特徴を理解しないで投資すると運用効率が悪くなります。インデックス投資は、株価指数と連動して市場平均の運用成果を目指すものです。株式市場が上昇局面にあるときは、連動して確実に値上がりするため、インデックス投資が優位に立ちます。
一方で市場が下降局面に入ったときは、インデックス投資も上昇は望めません。そのため銘柄を選んで市場平均以上の運用成果を目指すアクティブ投資のほうが利益を上げられる可能性が高くなります。市場に連動して動くインデックス投資の特徴に合わせて買い場を判断することが大切です。
1つのインデックス投資に集中投資すること
インデックス投資自体が分散投資になるとはいっても、1つの指数に集中投資するのはリスクがあります。例えば「日経225」にのみ資金を集中させると、上昇したときはよいですが下降局面に入ると身動きがとれなくなりかねません。
投資対象は、日経平均株価のほかにもTOPIXや東証REIT指数、ニューヨークダウ工業株30種平均、ナスダック総合、S&P500、英国FTSE100など各国別に多数あります。国別に分散投資していれば日本株は低迷していても、米国株や欧州株は好調という局面があるため、日本株の下落分を補ってポートフォリオ全体を安定させることが可能です。
損失を想定せずに投資すること
値動きがある金融商品には、損失が付きものです。一般的にインデックス投資は、配当金を再投資して複利運用するため、長期保有なら多くの場合利益が出る可能性が高まります。しかし運用の途中では、一時的に評価損になることもあります。儲かることだけを考えて投資すると評価損になったときに、「こんなはずではなかった」と運用をやめてしまうことになりかねません。
インデックス投資は、継続することが重要になるため、損失を想定して始め、下落しても慌てずに保有を続けることが大切です。
アクティブ投資とのハイブリッド運用も一つの戦略
インデックス投資とアクティブ投資は、特徴が異なるため、両者に分散投資する「ハイブリッド運用」も有効な戦略の一つです。ハイブリッド運用には、以下のようなメリットがあります。
リスクを分散できる
インデックス投資とアクティブ投資を組み合わせることによってリスクを分散できます。インデックス投資で市場平均の運用成果を確保しつつ、アクティブ投資で運用資産の状況に合わせてポートフォリオを調整し、市場の変化に対応した運用を行うことが可能です。大切なのは、一方の投資にすべての資金を投入しないことです。
運用パフォーマンスを向上させることができる
ハイブリッド戦略は、アクティブ投資の要素があることによってポートフォリオを調整できます。そのためインデックス投資のみの場合よりも運用パフォーマンスが向上することが期待できるでしょう。インデックスファンドでは、対象の指数で採用銘柄の入れ替えがあった場合のみ構成銘柄が変化します。
一方、アクティブファンドの部分では、ファンドマネージャーが市場の変化に応じて銘柄や配分比率を変化させ利益の最大化とリスクの最小化を目指します。
コア・サテライト戦略を行うことができる
ハイブリッド運用は、コア・サテライト戦略を実践することにもつながります。コア・サテライト戦略とは、リスクの低い商品に投資するコア(守り)の部分とリスクの高い商品に投資するサテライト(攻め)の部分に分ける運用方法を指す言葉です。
コアの部分では、長期で安定したリターンを得られる商品を中心に置き、サテライトの部分ではコア部分以上の運用成果を目指せる商品を組み入れます。投資信託では、コアの部分がインデックス投資、サテライトの部分がアクティブ投資にあたり比率は7:3が理想的です。
しかし決まったルールはなく、個人投資家なら年齢や経験に応じて比率が変わり、機関投資家ならファンドマネージャーの運用方針によって比率が変わります。コア・サテライト戦略では、投資商品の構成によって「保守的戦略」「バランス型戦略」「積極型戦略」の3つの運用方法があります。
ハイブリッド戦略もコア・サテライト戦略も、守りと攻めの商品を分けてバランスの良い運用を目指す点では同じです。
インカムゲインが目的の投資なら債券や不動産クラウドファンディングがおすすめ
値上がり益ではなく、配当金や分配金などを目的としたインカムゲイン狙いの投資であれば、債券や不動産クラウドファンディングがおすすめです。
債券投資の王道ともいえる個人向け国債は元本保証なので、リスクのない投資が可能です。ただし利回りは低く、3年固定金利型で0.19%(税引前、以下同)、5年固定金利型で0.42%、10年変動金利型で0.60%となっています(いずれも2023年11月7日~30日募集分)。今後日銀の金融政策変更で金利が上昇する可能性はありますが、それほど高い金利は望めないでしょう。
債券の利回りでは物足りないという人は、不動産クラウドファンディングを検討することも選択肢の一つです。元本保証ではありませんが、「優先劣後方式」により、あらかじめ定められた範囲までの損失は事業者が負担するので、投資家の出資元本は保護されます。また、「マスターリース(一括借り上げ)契約」の導入で一定金額の家賃が保証されるので、空室リスクが発生しません。
これら投資家保護の仕組みによって、多くのファンドが良好な運用成績を残しています。リスクが低いわりに予定利回りはおおむね3~8%程度と高いため、不動産クラウドファンディングはローリスク・ミドルリターンの投資といえます。投資金額も1口1万円からと手頃です。
インデックス投資は、複利運用のファンドが多く分配金が出ることが少ないため、運用利益を生活費などに充当する場合、自身で少しずつ売却していく必要があります。それが面倒であれば、しっかりと配当または分配金が出る商品に投資するのがおすすめです。
キャピタルゲイン狙いではなく、リスクを小さくして安定的なインカムゲインを期待するなら不動産クラウドファンディングへの投資が最適といえます。
不動産クラウドファンディングのメリット・デメリット
不動産クラウドファンディングには、以下のようなメリット・デメリットがあるので、比較検討したうえで投資を決めることが大切です。
不動産クラウドファンディングのメリット
不動産クラウドファンディングの主なメリットは、以下のとおりです。
- 1口1万円の少額から投資できる
- 現物不動産投資のように物件の管理が必要ないため手間がかからない
- あらかじめ決められた範囲で事業者が損失を負担する「優先劣後方式」や、空室保証によって一定の家賃収入が確保される「マスターリース契約」など投資家に損失を与えないためのリスク対策がしっかりしている
- リスクが低いわりに想定利回りはおおむね3~8%程度と高いリターンが期待できる
不動産クラウドファンディングのデメリット
一方で、不動産クラウドファンディングのデメリットは、以下のとおりです。
- 株式のように市場で売買できないので換金性が低い
- 確率は低いものの元本割れリスクがある
- 損失が出た場合、現物不動産投資のように他の所得と損益通算できないため節税にならない
- 人気の案件は先着式のファンドでは募集開始後すぐに満口になり、抽選式でも高い倍率になる傾向のため、買えないリスクがある
募集案件の情報収集は、不動産クラウドファンディングの比較サイトに会員登録すると新着情報がメールで配信されます。そのため登録しておけば人気案件の募集開始時期をいち早くチェックして予定を組むことが可能です。まずは、気軽にアクセスして会員登録から始めてみてはいかがでしょうか。
インデックス投資に関するQ&A
Q.インデックスファンドの欠点は何ですか?
インデックスファンドの欠点は、短期間で大きな利益を狙えないことです。インデックスファンドは、各市場の動きを示す株価指数に投資します。個別株なら1年で2倍になることはよくありますが、日経平均株価が1年で2倍になることはほぼありません。そのため短期の資産運用には向かない商品といえます。
Q.インデックスファンドはなぜ儲かる?
インデックスファンドが儲かるのは、ファンドが組み入れた企業の株式から得る配当金を再投資するためです。配当金を再投資することでファンドの運用資産が年々拡大し、最終的にファンドを売却したときの利益が大きくなります。インデックスファンドは個別株と違い、保有しているだけでは利益が出ないため、売却時に大きな利益を期待できる商品といえるでしょう。
(提供:YANUSY)
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