この記事は2023年6月23日にSBI証券で公開された「NISA活用も!?33万円未満で買え高配当・好業績が期待できる銘柄を探る」を一部編集し、転載したものです。

NISA活用も!?33万円未満で買え高配当・好業績が期待できる銘柄を探る
(画像=SBI証券)

目次

  1. NISA活用も!?33万円未満で買え高配当・好業績が期待できる銘柄を探る
  2. 一部掲載銘柄を解説
    1. 日本たばこ(2914)~「食品」分野の時価総額トップ。世界に展開するグローバル企業
    2. 日本特殊陶業(5334)~内燃機関のニッチな分野で高シェア製品を有するグローバル企業
    3. いすゞ自動車(7202)~世界的トラックメーカー。「日経平均高配当株50指数」に新規採用
    4. 神戸製鋼所(5406)~大手高炉メーカー。同業他より安定した業績見通し
    5. センコーグループホールディングス(9069)~創業100年を超える物流大手。21期連続増収・15期連続で過去最高業績を更新予定
    6. 東京建物(8804)~東京集中型の老舗不動産ディベロッパー。10期連続増配実施を予定
    7. ヒューリック(3003)~大手不動産ディベロッパー。08年の上場以来、増益と増配がつづく

NISA活用も!?33万円未満で買え高配当・好業績が期待できる銘柄を探る

東京株式市場は2023年前半を終えようとしています。日経平均株価は昨年12月の下落を最後に、6月(6/22時点)まで、6ヵ月連続で月足上昇となっています。6/22(木)終値は、前年末比27.5%高となり、6ヵ月間の上昇率としては、ちょうど10年前の2013年6月(31.6%)以来の大幅上昇率となりました。

欧米と中国・ロシア等との対立が厳しくなる中、世界的にサプライチェーンの再構築が本格化し、生産や情報・販売の拠点としての日本が見直され始めています。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が商社株を評価し、投資したことに加え、東証がPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業に低評価からの改善策を求めたことで、割安株全般が見直されることになりました。

こうした取引所の圧力や、市場の再評価に加え、上場企業が株主還元に前向きに取り組むようになったことも、株価上昇につながっています。長い株式市場の歴史の中で、たとえば、海運株のように、これまでは見られなかったような高い配当利回りの銘柄も出現し、株式投資の魅力を高めてくれたとみられます。

今回の「日本株投資戦略」では、改めて高配当利回りが予想される銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行なってみました。

(1)東証プライム市場上場銘柄(証券商品先物を除く)
(2)時価総額が1,000億円超
(3)予想純利益を公表するアナリストが2名以上
(4)市場予想(Bloombergコンセンサス)PERが15倍未満・・・東証プライム市場の予想PERは6/21時点で15.6倍
(5)ROE(Bloombergが計算)が8%以上・・・資本効率がある程度高め
(6)今期市場予想純利益が増益予想
(7)信用取引規制が実施されていない
(8)最低投資単位での売買金額(諸コストは除く)が33万円未満・・・投資金額100万円で3銘柄以上に分散投資が可能

図表1の銘柄は、(1)~(8)のすべての条件を満たしており、予想配当利回りの高い順に並べています。掲載銘柄の市場予想(Bloombergコンセンサス)配当利回りは平均4.3%(3.6%~5.8%)となっており、東証プライム市場の平均2.21%や、日経平均の1.93%を大きく上回っており、高配当利回りが期待される銘柄であると表現してよいと考えます。

冒頭でご説明したように、年初来の日本株パフォーマンスが高くなっており、ヘッジファンド等の短期筋からの利益確定売りが増えても不思議ではない局面になってきました。そうした中、12月末決算銘柄などは6/28(水)を権利付き最終日とする中間決算等も予定されています。中長期的なスタンスから、押し目買いや配当取りを着実に行い、パフォーマンス向上を図りたいところです。

NISA活用も!?33万円未満で買える高配当・好業績15銘柄 NISA活用も!?33万円未満で買え高配当・好業績が期待できる銘柄を探る
(画像=SBI証券)

一部掲載銘柄を解説

以下、掲載銘柄の一部について、事業・株主還元等の内容をご説明します。

日本たばこ(2914)~「食品」分野の時価総額トップ。世界に展開するグローバル企業

たばこ事業(23.12期1Q・売上構成比91%)を中心に、医薬(同4%)、加工食品(同5%)に展開しています。時価総額は6兆円超で東証業種「食料品」ではトップです。たばこ事業の地域別売上構成比(23.12期1Q)は、アジア(日本を含む)34%、西欧24%、EMA(アフリカ、中近東、東欧、トルコ、南北アメリカ他)42%となっているグローバル企業です。

ロシア・ウクライナ戦争で注目を集めるロシアが調整後営業利益(23.12期予想)の25%を占めています。会社側では同国事業について「内外のあらゆる制裁措置を遵守した上で、事業運営を継続していく」とし、事業継続が可能との見方を示しています。

23.12期1Qは売上高6,652億円(前期比14%増)、営業利益2,064億円(同15%増)と順調な滑り出しです。通期では純利益が4,400億円と微減の会社予想ですが、市場では4,474億円と微増を見込みます。配当性向は75%がメドとなっています。会社側は上期末94円、期末94円で、年間に1株188円の配当を計画しています。

日本特殊陶業(5334)~内燃機関のニッチな分野で高シェア製品を有するグローバル企業

1936年に日本碍子(5333)から独立して設立されました。ガソリンを着火させる点火プラグや、排気ガスの酸素濃度を測るセンサーなど、自動車向関連が売上高の79%(23.3期)で、他にセラミック関連や新規事業を展開しています。点火プラグなど内燃機関のニッチな分野で世界シェア・トップです。前期も売上高営業利益率が15.8%と高く、自動車部品トップのデンソー(同6.7%)を参考にしても高くなっています。広く世界に展開するグローバル企業です。

23.3期は売上高6,000億円(前期比6%増)、営業利益965億円(同8%増)が会社見通しです。半導体不足の解消による自動車生産の回復が追い風になりそうです。値上げ効果も期待でき、営業利益率はさらに向上しそうです。年間9億本売られる点火プラグは、その4分の3程度が交換用の消耗品とみられ、ガソリン車が残る当面は安定的に収益を支えそうです。配当性向は40%がメドとしています。今期会社予想1株利益332円に対し、ほぼ40%の133円が会社計画の1株あたりの配当金です。点火プラグはEV(電気自動車)では使われなくなるため、電動化への対応が同社の課題としてあります。売上高に占める内燃機関関連事業の割合を2030年に6割、40年に4割まで引き下げる計画です。

いすゞ自動車(7202)~世界的トラックメーカー。「日経平均高配当株50指数」に新規採用

商用車(トラック)の世界的大手メーカーです。

150カ国以上で製品を販売し、海外売上高比率は69%と高水準で、その内タイを中心としたアジアが43%を占めます(23.3期)。

配当性向の目途は40%です。前期(23.3期)は、原材料やコストの高騰があったものの、販売台数の増加や円安が寄与し、2期連続での過去最高業績を達成。今期(24.3期)も売上高3兆3,000億円(前期比3%増)、営業利益2,600億円(同2%増)と最高を更新をする見通しです。インフレによる販売台数の減少や資材費等の高騰を見込んでいるのに対しては、サプライチェーンの改善や価格対応をしてゆくと述べています

6/16(金)、日経平均の構成銘柄のうち、配当利回りが高い50銘柄で算出される「日経平均高配当株50指数」の定期見直しで、新規追加銘柄の1つに選ばれました。

神戸製鋼所(5406)~大手高炉メーカー。同業他より安定した業績見通し

大手高炉メーカーです。鉄鋼アルミ・素形材・溶接からなる「素材系事業」、産業機械・エンジニアリング・建設機械からなる「機械系事業」、「電力事業」を展開。アルミボトル缶材の国内シェアは約70%を占めています。2022年から始まった電力事業が急成長している他、主力の鉄鋼・アルミの原材料価格上昇に伴う販売価格の転嫁等が、業績の押し上げ材料です。原材料価格の動向に株価が連動しやすい点にはご注意ください。

今期(24.3期)は、売上高2兆6,800億円(前期比8%増)、営業利益1,500億円と(同73%増)と堅調に推移する見通しです。販売価格とのマージンの改善が増益に寄与する予定です。また、競合のJFEホールディングス(5411)や日本製鉄(5401)は減益予想、もしくは同社を大きく下回る業績伸長となっています。同社の多岐にわたる事業構成が安定的な業績拡大をもたらすと想定されます。

配当性向は、15~25%を目途としており、本日掲載の他企業より低水準となっています。しかし、配当性向の見直しに関しては、気候変動対応の投資が見込まれること等から考慮して検討してゆくと述べています。

センコーグループホールディングス(9069)~創業100年を超える物流大手。21期連続増収・15期連続で過去最高業績を更新予定

創業100年を超える物流大手です。積極的にM&Aを行い、グループ会社数は全世界で163社に上ります。物流センターを国内外で展開し、総面積は447万平方キロメートルと業界トップクラスを誇ります(23.3期)。

安定配当に加え、業績連動を考慮した配当を実施することを利益配分に関する基本方針として掲げています。業績推移が堅調なため、07.3期から減配はありません。今期(24.3期)も21期連続での増収、15期連続での経常利益・純利益増で過去最高を更新する見通しです。また、1株当たりの予想配当金も36円(23.3期は34円)と増配実施を予定しています。

東京建物(8804)~東京集中型の老舗不動産ディベロッパー。10期連続増配実施を予定

創業126年、老舗総合不動産ディベロッパーです。

営業収益の内、ビル事業が42%、住宅事業が38%、その他(駐車場事業、海外事業etc)が21%を占めています(22.12期)。「東京」にフォーカスしたエリア戦略を掲げており、都心5区(千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区)が57%、東京23区が23%と集中型です。東京スクエアガーデンや中野セントラルパーク等が当社の代表的な物件です。

配当性向の目途は30%以上を基本としています。今期(23.12期)は営業収益4,130億円(前期比18%増)、営業利益660億円(同2%増)となる見通しです。ビル事業における投資家向け物件売却の増加等が寄与するとしています。堅調な業績見通しに伴い、10期連続で増配を実施する予定です。

ヒューリック(3003)~大手不動産ディベロッパー。08年の上場以来、増益と増配がつづく

大手不動産ディベロッパー。旧富士銀行(現みずほ銀行)の店舗ビル管理事業から出発し、現在も多数保有中です。不動産賃貸業を中心に、不動産投資や不動産開発も手掛けています。ニーズの高い『都心、駅近、好立地』で積極的な投資や開発を行うことが特徴です。立地の良さから、空室率は1%を下回る驚異の低水準です(市場平均は6.3%・会社資料より)。

業績の推移も堅調です。08年の上場以来、過去最高益の達成と増配実施が続いており、今期(23.12期)も更新見通しです。金利変動を背景とした不動産市況の先行きに注意が必要なものの、収益性不動産の投資市場は引き続き堅調に推移すると会社側は予想しています。また、今期はホテル事業(22.12期売上高構成比5%)でのインバウンドの回復も追い風となるでしょう。配当性向の目途は40%を掲げており、業績動向を踏まえた安定した配当の継続が基本方針です。

【ご参考】同社は株主優待も充実しています。12月の権利付き最終日に300株以上保有している場合、3000円相当のギフトカタログが受け取れます。

▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。

鈴木 英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長
・出身:東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味:ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技:どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物:サイゼリヤのごはん
・好きな場所:秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的な寄稿も多数