「不動産投資ローンが先、住宅ローンが後」で不利になるパターン

不動産投資ローンを先に組んでいても、次の項目にあてはまる場合は、住宅ローンの審査で不利になりやすい傾向です。

  1. 不動産投資の収支が毎年赤字
  2. ローン残債がたくさんある
  3. 会社員ではない
  4. 融資残高が物件査定額より高い

不動産投資の収支が毎年赤字だと、どうして問題なのでしょうか。なぜなら、赤字によって「収入が少ない人」とみなされ、個人の信用力が低く判断されるからです。例えば、会社員の年収が800万円あるのに、不動産投資で年間100万円の赤字なら、(800万円-100万円=年収700万円)の人と捉えられる可能性があります。逆に、黒字経営を続けているなら「収入が多い人」になり、審査で有利な可能性が出てきます。

ローン残債がたくさんあるという点は、いくら不動産を所有しているといっても、残債が大半であれば資産ではなく借金と見なされる懸念があります。特に収支が赤字体質だと、金融機関の審査は厳しくなるでしょう。そして、会社員ではないことは定期収入がないため、個人の信用力が低下します。

不動産投資家の中には、費用計上を優先して「赤字収支」にこだわる方もいます。確かに、赤字収支でも他の所得と損益通算することで所得税などの還付金が一時的に得られますが、長期的に見ると損するシーンもあるので注意が必要です。

赤字収支にこだわった結果、金融機関からの信用力がなくなり、住宅ローンや投資物件を増やすときの借り入れが難しくなるリスクがあります。節税も不動産投資のメリットですが、健全な黒字経営の環境をつくることも大事です。

「不動産投資ローンが先、住宅ローンが後」で有利になるパターン

同じ不動産投資ローンを先に組んでいる方でも、「黒字の収支が数年以上続いている」「ローン残債が少ない」という人は、住宅ローンの審査にプラスになるでしょう。年収が800万円あり、不動産投資で年間100万円の収入がコンスタントにあれば、「年収900万円の人」になるといった具合です。

「住宅ローンが先、不動産投資ローンが後」では残債が鍵

逆に、住宅ローンを先に組んで、後から不動産投資ローンの審査を受けるケースで考えてみましょう。この場合でも、やはりローンの残債が焦点になります。住宅ローンの残債が多い方は、これがマイナス材料となり、不動産ローンの融資枠が少なくなる可能性があるのです。ただし、不動産投資ローンは「個人の信用力+物件の稼ぐ力」で融資額が決まるので、住宅ローンよりも融資枠が多くなる傾向があります。そのため、住宅ローンの残債が多い方でもネガティブになりすぎず、まずは申し込んでみましょう。

これからローンを組む方はどんな手順が合理的?

現在、大きなローンがなく、これから住宅ローンと不動産投資ローンを組みたい場合は、一番効率的なのはどんな手順でしょうか?さまざまな見解があるでしょうが、合理的に考えれば次の手順が望ましいと考えられます。

  1. 不動産投資ローンを組む
  2. 一定年数(例えば3年など)、黒字経営を続ける
  3. 住宅ローンを申し込む

なぜこの流れが合理的なのかというと、不動産投資で黒字経営を続けることで、「収入が多い人」と見なされやすいからです。たとえ、不動産投資の残債は残っていても、「黒字を生んでいる=経営資源」の色合いが強くなり、大きなマイナスにならないと考えられます。

ただし、最終的にはそれぞれの金融機関の審査基準があるため、同じ条件でも融資可能なこともあれば、不可の場合もあります。長年付き合っている金融機関があるなら、「どのような順番でローンを組むとスムーズか」について事前にアドバイスしてもらうのもよいでしょう。

この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部
「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。