事業を行う際には「ヒト・モノ・カネ」の3つが必要といわれるが、そのなかでも経営者が最初に考えなければならないのが「カネ」だ。事業資金の調達がうまくいかないと、どんなにすばらしいビジネススキームがあっても計画は頓挫してしまいかねない。事業資金には、主に運転資金と設備資金の2種類がある。

設備資金は、店舗や車、機械などの設備を購入するための資金であるが、運転資金にはどのような内容の資金が含まれるのだろうか。本記事では、運転資金の概要や種類、計算方法、調達方法について解説する。

目次

  1. 運転資金とは何か
    1. 運転資金と設備資金の違い
    2. 運転資金の種類は4種類ある
  2. 所要運転資金の計算方法
    1. 所要運転資金とは
    2. 所要運転資金の計算方法
  3. 運転資金を資金調達する方法は?
    1. 銀行などの金融機関から融資を受ける方法は主に4つの方法がある
    2. その他の資金調達方法
  4. 経営者は資金繰りを日ごろから把握する
運転資金の種類と目安金額を知って成功への第一歩を踏み出す
(画像=NanSan/stock.adobe.com)

運転資金とは何か

運転資金とは、そもそもどのような資金を指すのであろうか。ここでは、設備資金と運転資金を比較してその違いを確認していく。

運転資金と設備資金の違い

設備資金は、店舗やビルの購入代金や賃貸する際の保証金、機械・機器、車両の購入資金など、事業を行ううえで必要となる設備投資のための資金である。飲食店であれば店舗、製造業であれば工場、従業員が出勤するなら事務所が必要だ。いわゆる箱モノが真っ先に思いつくだろう。また近年は、テレワークで事務所を必要としない企業もあるが、それでもパソコンやスマートフォンなどは必要となる。

店舗や事務所のような箱モノや通信機器以外にも、営業車両の購入代金や内装工事費用、商品を生産する機械の購入費用も設備資金だ。そのため事業活動に必要な資産を購入するための資金と考えればよいだろう。一方、運転資金は営業活動を行うために必要な資金のことで原則使途は限定されないが、事業を行ううえで円滑な資金繰りを可能とするために手元に確保しておきたい資金を指す。

運転資金は、売上や受注の量・内容などによって金額が変動する「変動費」と毎月決まった金額を支払う「固定費」に分けられる。具体的には、以下のような費用が運転資金に該当する。

【変動費】
・商品や原材料の仕入
・労務費
・外注費
・販売手数料など
【固定費】
・人件費
・水道光熱費、通信費
・家賃
・リース料など

運転資金の種類は4種類ある

運転資金は、使途に応じて主に以下の4種類に分けられる。

1.経常運転資金
一般的に運転資金といったら経常運転資金のことを指す。商品や原材料の仕入、労務費、外注費の支払いなど売上代金を回収するまでの先行資金や、営業活動を維持するうえで必要となる固定費を賄う資金のことである。

2.短期資金、季節資金、賞与資金
1年を通じて必要となる資金ではなく、短期的な必要性から発生する事業性資金を指す。例えばクリスマス商戦のようなイベントなどで必要となる短期資金や、正月商品やおでん・かき氷といった季節的な要因で発生する商品仕入資金、従業員に支払うボーナスなどの賞与資金などが挙げられる。

3.増加運転資金・減少運転資金
事業拡大に伴い発生する運転資金のことを増加運転資金と呼ぶ。事業拡大時には、仕入増加や人員増加により、商品や原材料費、人件費を支払うための資金が通常よりも多く発生する。このような売上増加を見込んで発生する資金が増加運転資金だ。一方で事業縮小時にも費用が発生するケースが多い。例えば事業縮小時には、店舗閉鎖に伴う資産の除却、設備の廃棄費用などがかかる。

また店舗や事業所の移転もしくは閉鎖するまでの間も家賃や維持費はかかり、人員整理をするまでは人件費も減少しない。従業員を解雇する際には、退職金のほかに解雇予告手当の支払いが発生することもある。このように事業を縮小したからといって、すぐに経費削減の効果が現れるわけではないので注意が必要だ。事業縮小時にも、一時的に費用が増加するケースが多いと考えたほうがよいだろう。

4.赤字補填資金
赤字補填資金は、経常運転資金として考えられることも多い。しかし企業の損失を補填する資金であり、通常の営業活動によって必要となる経常運転資金とは区別することが必要だ。所要運転資金を超える運転資金を金融機関から借りる際には、財務内容が赤字であると赤字補填資金として警戒されることがある。