本記事は、横山 光昭氏の著書『お金を貯められる人のすごい習慣』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
貯めている人がやっている3つの力
貯められている人は調査力がある
お金を貯めている人には、3つの力があると私は考えています。
それは、①調査力 ②機動力 ③判断力 です。
お金を貯めている人は、毎回1つひとつ着実に行動を起こし、歩を進めています。たとえば、わからないことがあったらまず自分なりに調べてみるというのもそのひとつです。
積立投信のはじめ方がわからないという場合には、まず商品についてネットや本などで調べてみます。少しずつわかってくるようになると、「だからあの人はあのように言っていたのか」と気づくこともありますし、「じゃあ、このような場合にはどうすればいいのだろう」とそこから一歩進んで別のことを学べる可能性も出てきます。
何をどう調べていいのか? がわからなかったり、自分で調べたけれど答えが見つからなかったりした場合は、「わかりません」と言って誰かわかる人に聞いてみます。専門家に聞いてみるのもいいでしょう。私たちに聞いていただいたら喜んでお話しします。一番悲しいのは、家計相談に来られて、理解して帰ったと思ったら、後日、実はわかっていなかったことが判明したときです。私たちを踏み台にするつもりでどんどん聞いて、どんどん詳しくなっていただきたい、といつも思っています。
お金が貯められる人は、自分で知識を増やし、納得を積み重ねていくから、ますますお金を貯めることの意義やモチベーションもアップします。同時に少しずつ自分の中でもレベルアップしていくことができるのです。
いずれにしても、わからないことをわからないままにはしません。
自分から動くか、受身で待つか?
わからないことをまず調べたら、次に自分で行動を起こします。一方、お金が貯められない人は、聞いたり調べたりするだけで満足し、そのままで終わってしまったり、誰かが働きかけてくれるまで待つ「受け身」の姿勢でいることが多いです。
あるとき、Aご夫妻とBご夫妻、2組のご夫婦がそれぞれ家計相談にいらっしゃいました。お二方にはそれぞれ現在加入している保険商品を見直したうえで、「これをやめてもいいかもしれませんね」「減額という方法もあります」「こういう商品だから切り替えたほうがいいかもしれません」とお伝えしました。
そのうえで、「次回までに、今の保険商品を検討してみましょう」とお伝えしました。
1週間後、A夫妻からメールがきました。「この前お話があった保険の件、夫婦で話し合いました。〇生命の商品は減額、△生命の商品は切り替えようと思います。次回、切り替える商品について相談させてください」という報告の内容でした。
一方、B夫婦からは特に連絡はありませんでした。次の相談時に「保険商品についての検討はどうされました?」と聞いたところ、「保険商品について考えてみたのですが、よくわからなくて、何もできませんでした」という返事でした。
では、質問です。A夫妻とB夫妻、お金が貯まるのはどちらでしょう?
正解はA夫妻ですね。なぜなら、次の家計相談までに自分でアクションを起こしているからです。すごろくで言えば、「保険商品を見直した」とコマをひとつ進めた状態です。次の家計相談のとき、A夫妻は〇生命の商品の減額の仕方、△生命の商品の解約の方法と、別の保険の相談をすることができます。一方、B夫妻は「今の保険商品をどうしますか?」というところから再度はじまります。わからないことにぶち当たるとそこでストップし、誰かが聞いてくれるまで待っているなど、受身の姿勢でいることが多いのです。
このように、「考えましょう」と言われたとき、自発的に行動を起こせるか、それとも考えただけで動かずに終わるか? によってその先の結果は大きく変わっていきます。進行にも差がつきますよね。
差がつくのは行動を起こした2割の人
家計相談にいらっしゃる方には、「投資をすると、貯蓄の期間がグンと短縮されますよ」という説明をします。積立投信とそれを行った場合の資産の増加についての話です。ですが、その話を聞いて実際に積立投信をはじめる方は全体の2割程度です。「やり方がわからない」「口座開設の仕方がわからない」「何を使えばいいのかわからない」「どの商品を買えばいいのかわからない」などで止まってしまっているのです。
また、2021年のデータによれば、日本全国でNISAの口座を開設をした人は全国で1,000万件にのぼりますが、実際に運用している人はその半分だといいます。つまり動いていない人が半数だというわけですね。これも、機動力の差と言えるのではないでしょうか。ここで行動を起こした2割の方は他から一歩抜きん出ることができると言えそうです。
とりあえずやったら、自分で判断する
誰かから方法を聞いたら、とりあえずやってみる。けれど、それで終わらずに、そこからもう一歩進んで考えてみます。実際にやってみて「自分はどう思うか」「自分には合っているか?」を自分で判断するのです。というのも、誰かに言われたことを鵜呑みにしすぎてダメになるパターンもあるからです。
たとえば、「クレジットカードよりも現金やデビットカードなど即時決済できるものを利用したほうがいいですよ」と言われたとします。デビットカードについてまず調べてみたら、実際にデビットカードを試してみます。そして、もし「自分の肌には合わない」と判断したら、クレジットカードに戻り、それを使い続けてもいいと思います。私たちはデビットカードをおすすめすることがありますが、実際に試してみて「やっぱりクレジットカードのほうが使い勝手がいいです」と、クレジットカードを使いながらきちんと家計管理をしている方もいらっしゃいます。
家計簿もそうです。最初は手書きではじめたけれど、「これでは続けられる気がしない。自分には合わない」と、アプリやエクセル入力に切り替えた方もいます。
いずれの場合も、まず自分で試してみることが重要です。自分の目で見て、実際に経験し確認し、そのうえで続けるかどうかを判断しているのです。「これなら続けられそうだな」と思ったら継続すればいいし、「これはちょっと自分には合わないな」と思ったら別の方法を考えればいいのです。
調べて、試して、判断する力。貯めている人はこれをやっています。
ココがポイント!:
わからなかったら調べる……調査力
とりあえず試してみる……機動力
自分に合うか考える……判断力
株式会社マイエフピー代表取締役。
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の問題の抜本的解決、確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。
これまでの相談件数は23,000件を突破。各種メディアへの執筆・講演も多数。
著書は85万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は累計340万部となる。
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