DXを進める上で欠かせないソリューションであるデジタルツイン。それを用い、リアルとデジタル世界をつなげる以上の取り組みを進めているのが、清水建設です。一般的に他業界と比べてDXが進んでいないとされる建設業界において、どのような挑戦を行っているのでしょうか。
清水建設が新たなイノベーションの場として東京・潮見にオープンさせた「温故創新の森 NOVARE」で活用するデジタルツインをテーマに、コアコンセプト・テクノロジー(CCT)CTOでKoto Online編集長の田口紀成氏と、CCTのアドバイザーで東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター チーフエバンジェリストの福本勲氏が、清水建設 NOVARE DXエバンジェリストの及川洋光氏を招いて、2023年9月12日にウェビナーを開催しました。今回は、その内容を再構成したダイジェストをお届けします。
NOVARE DXエバンジェリスト
大手航空会社に入社し、情報システム部門のシステムエンジニアとして空港のシステム開発プロジェクトを担当。1999年に大手ICTベンダーに移り、製造業向けソリューションのプロジェクトマネジメントおよびコンサルティングに従事し、50社以上のプロジェクトを担当。エバンジェリストとして、年間約180回のDX講演活動を実施。2021年10月に清水建設に入社し、今年9月より現職。DX推進のリーダーとしてデジタルツインなどの各種プロジェクトを推進中。
アルファコンパス代表
1990年3月、早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。1990年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げやマーケティングに携わり、現在はインダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「DiGiTAL CONVENTiON」の編集長を務める。また、企業のデジタル化(DX)の支援と推進を行う株式会社コアコンセプト・テクノロジーのアドバイザーも務めている。主な著書に「デジタル・プラットフォーム解体新書」「デジタルファースト・ソサエティ」(いずれも共著)がある。主なWebコラム連載に、ビジネス+ITの「第4次産業革命のビジネス実務論」がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。
2002年、明治大学大学院 理工学研究科修了後、株式会社インクス入社。2009年にコアコンセプト・テクノロジーの設立メンバーとして参画し、3D CAD/CAM/CAEシステム開発、IoT/AIプラットフォーム「Orizuru」の企画・開発などDXに関する幅広い開発業務を牽引。2015年に取締役CTOに就任後は、ものづくり系ITエンジニアとして先端システムの企画/開発に従事しながら、データでマーケティング&営業活動する組織/環境構築を推進。
目次
「2024年問題」が迫る建設業界におけるDXの役割
田口氏(以下、敬称略) 建設業界に差し迫る問題として、「2024年問題」があります。大まかに言うと、時間外労働の上限規制と賃金の引き上げです。実際に就業者数は減り、労働時間も減っています。生産性やパフォーマンスを維持するには、建設業に限らず製造、物流も同様にデジタル技術で対処する流れになってはいるのですが、色々な課題があります。
事実、DXを導入した際の目標を達成できない企業が非常に多いです。例えば、コスト削減などを目指してやってみたけれど、うまく行かない場合があります。理由としては、導入効果がそもそも不確定であり、KPIが設定されていないことなどが挙げられます。
さらに、こうした課題を解決できる人材が足りていないのも問題です。まず福本さんと及川さんに、ご意見を頂きたいと思います。
福本氏(以下、敬称略) 単純にプロラミングができる人材や、テクノロジーが使える人材の不足が問題ではないだろうと思っています。ビジネスをどう変革するか、将来どうなっていくのかの未来像を描き、バックキャスティングで考えることができて、さらにそのプロセスをマネージングできるなど複合的な能力が求められるということだと思います。そのような人材は多くはないので、取り合いになっているという認識です。
田口 確かにいないですね。業務とデジタルの両方をよく理解している人材はなかなかいないので、これから育てなければいけないということですね。以前のこのシリーズでも話題になりました。及川さんは何か感じることはございますか。
及川(以下、敬称略) 職人の高齢化や人手不足の問題もありますが、ゼネコンとしてはビルの規模が非常に大きくなってきていることが関係しています。当社でも、東京・麻布台の日本一高い約330メートルのビル「麻布台ヒルズ森JPタワー」を施工し、数年後には東京駅の前に約390メートルの「トーチタワー」も完成します。東京タワーが333メートルです。このように大型案件になると、当然、人が足りない状況になります。案件がたくさんあるけれども受注できず、仮に引き受けても人がいないのです。
田口 アサインできないということですね。
及川 高齢化や人手不足の問題がある一方で、このように大型案件も発生します。まずはデジタルを使って紙をなくすようなデジタイゼーションや、業務・プロセスをデジタル化していくデジタライゼーションが重要です。
福本 人にしかできないことを除き、デジタルでできるものはデジタルに継承して、人手不足に対応していく形ですかね。
及川 はい。IT業界から来て驚いたのですが、現場は意外とデジタルを使いこなせています。ただ、「変えていかなければならない」という人はどんどんやっているのですが、ほんの一部なのです。デジタルを使うにしても、製造業とゼネコンがかなり違うなと思ったのが、DXはアジャイル形式(*)である点ですね。
建設現場は納期が決まっているので、「なぜそれをここの現場で試さなければいけないのか」という声が出ます。「そんなことをやっている余裕がないので今のままでいい」となり、なかなか進まない面もあります。
田口 これまでのやり方でできているから、将来を見据えたときに変えなければいけないという危機感があっても、変えづらいのかもしれませんね。こういった課題に対し、私たちが本当に知りたいことがあります。清水建設さんは「DX銘柄(デジタルトランスフォーメーション銘柄2023)」に3年連続で選出されていますね。課題に対する答えを持っているのではないでしょうか。及川さんはIT業界のご出身なので、このあたりを深くご紹介いただきたいなと思います。
DX銘柄の選定で重要となったポイント
及川 どんな理由でDX銘柄に選定されたのかがあまり知られていないので、まず説明したいと思います。選定のポイントは2つあります。1つは、DXの戦略がトップダウンで一般社員の全員まできちんと通じているかです。この点において、清水建設は2021年7月に「デジタルゼネコン」として、ゼネコン業界からデジタルを使ったゼネコン業界に変わっていくと表明しています。
清水建設が考えるデジタルゼネコンの要素として「ものづくりをデジタルで」があります。この「ものづくりをデジタルで」は、従来の施工でどうやってデジタルを使うかという点において大手・中堅のゼネコンさんも推進しているので、DX銘柄を選定される上では差がつきにくいポイントかもしれません。
田口 評価されないのですか?
及川 評価されないことはありませんが、やって当たり前なのです。トランスフォーメーションとは、デジタルを使って新しい領域で新しいビジネスを作り、売上や利益につなげていくことです。清水建設にとって重要なのは「デジタルな空間・サービスを提供」という要素です。
田口 意外な感じがします。
及川 ゼネコン会社は、ビルを作って施主様に納品しておしまいになるケースが多いのです。作ることを建設領域と言うのですが、清水建設は作ることだけではなくて、非建設領域のビジネスレイヤーを大きくしようとしており、私が注目しているのも「デジタルな空間・サービスを提供」の部分です。みなさんの関心ごとは「ものづくりをデジタルで」のほうかもしれませんが、こちらはみなさんの会社でも進められているので、今日は「デジタルな空間・サービスを提供」に関する話を中心にしていきます。
皆さんに紹介したいのが、9月上旬に東京・潮見にオープンした「温故創新の森 NOVARE(ノヴァーレ。以下、NOVARE)」です。
簡単に言うと、清水建設のイノベーションセンターです。5つのゾーンがあり、例えばうち1つはNOVAREHUBです。清水建設はもちろんのこと、パートナー様や学生様、行政などと共に色々なことに取り組んで、未来を創っていく場です。ほかに清水建設の約220年の歴史を紹介するNOVARE Archives(清水建設歴史資料館)や、来年7月に1万円札の「顔」になる渋沢栄一の旧邸宅も移築しています。今日はこの場で、NOVAREをご覧いただきたいと思います。
田口 では、デモンストレーションをお願いします。映像のクオリティがすごいですね。
福本 奥行き感もすごいですよね。
及川 これが、今回お披露目したいデジタルツインです
田口 真ん中の青いところがNOVARE HUBですね。
及川 はい、私が働いている場所です。どこがデジタルツインになっているのか紹介しましょう。NOVARE HUBの1階にはさまざまなロボットがいます。具体的には、お掃除ロボットや警備用ロボットです。清水建設は、建物OS「DX-Core」を自社サービス商品として持っており、このNOVAREにも導入しています。ここでは、建物(DX-Core)とロボットが対話しながら動いています。
例えば1階のエントランスでは、お掃除ロボットがフラッパーゲートの前に立ち、建物OS(DX-Core)経由で「ワタシはロボットなので、フラッパーゲートを開けてください」と言うと開けてくれます。あるいは、お掃除ロボットが掃除中に不審物を見つけたとします。でも、お掃除ロボットは警備ロボットではないので、次の行動が分かりません。すると建物に対してまたメッセージを送り、建物側から最も近い警備ロボットに指示を出して、そこに行ってくれることもあるでしょう。
デジタルツインで見せるのは「意味性」
及川 建物との間の「対話感」は目に見えません。そこにある見えない意味をデジタルツインで見せているのです。ほかにも例があります。
私が今いるフロアは、木の床に60cm単位で穴が開いていて、その下にファンがついています。例えば、田口さんが暑がりだとします。田口さんが「暑い」とスマートフォンで指示をすると、田口さんが持っているビーコンセンサーによって位置情報が分かるので、田口さんの周辺のファンから強い風が出てくる仕組みです。
今までは空間全体の空調設定だったのですが、もっと建物が人に寄り添った、ヒューマンセントリックの新しい技術を入れています。こうしたことも言葉では分かりづらいので、デジタルツインでやろうとしています。
田口 まさにデジタルツインでないと、できないことですね。
及川 このシステムは「個人空調」と呼ばれており、AIが使われています。ビルを建てるゼネコンが、自分たちのビルの空間サービスとして、AIやビーコンセンサーによりデジタルツインを実現しています。
田口 ゼネコンではなくて、オフィス業ですね。
及川 はい。このようにゼネコンメーカー(建設業)の清水建設が、非建設領域である建物OS(DX-Core)のサービス化を推進したり、空間・サービスのデジタル化を提供していることが、DX銘柄に選定された理由の1つだと考えられます。
田口 建物のOSという考え方はすごくいいですね。だいたいはソフトウエアがバラバラに動いているので、これまではあまりなかったような気がします。例えば、他の第三者が機能を追加するということも考えられていますか。
及川 もちろんです、パソコンのOSと一緒です。USBをパソコンに挿すと色々なモノがつながるのと同じように、ロボットのコンソーシアムを立ち上げて、ロボットメーカーさんや空調、照明などがつながるような感じで考えています。課題は製造業と同様で、インターフェースやフォーマットですね。
福本 さまざまなプレイヤーが連携されているのですか。
及川 はい。これを見た人が、「我々のビーコンセンサーはもっといいよ」と、私に相談してほしいのです。そして、みなさんと一緒に共創し、イノベーションをしていく場がNOVAREです。
今日、動画を視聴していただいた方々で、「いいデバイスやセンサーがあるよ」という方がいらっしゃれば、ぜひ声をかけていただきたいです。
田口 そのような方はぜひ、清水建設の及川さんに声をかけていただければと思います。先程デモストレーションでもご紹介いただきましたが、建物にある見えない「意味」について改めてご説明いただけますでしょうか。
及川 はい。先述した個人空調では、効率化だけではなくて、建物が人に寄り添って、その人に合わせることに意味があります。NOVAREにある色々な思いや意味は、普通に見ていると分かりづらいです。「個人空調にAI技術を使うとこんな感じになるよ」と示すことで、メリットが視覚化されます。「どうだ、すごいだろう」と言いたいのではなくて、どんな思いでやっているのかを見ていただき、「それなら一緒にイノベーションやろうよ」といった形につなげられたらいいですね。
「利便性」と「意味性」を両立させるビルとは?
田口 御社として、次世代のビル作りでは、何が重要だと捉えていますか?
及川 便利なビルを作り続けていくことはたぶん、他のゼネコンでも、もしかしたら中国のゼネコンでも、同じような方針なのだと思います。
むしろ、何と何がつながるといった点が付加価値になりそうなのですが、ビルに住む人にとってはそれほど付加価値にはならないかもしれません。確かに利便性は大事ですが、清水建設らしい意味性を感じてもらえることも、とても重要だと思っています。
田口 では改めて、利便性と意味性の違いは何でしょうか?
及川 従来は「役に立つ」ことが求められてきましたが、これからは「意味がある」ことも重要になると考えています。
例えば、お掃除ロボットのルンバを想像してみてください。これは利便性です。小さな子どもを育てているときは忙しいので、ルンバが代わりに掃除をしてくれると便利ですよね。
しかし掃除という行為は、親子で一緒にすることでコミュニケーションが生まれ、身の周りを整理整頓する大切さを知る機会でもあります。お2人がNOVAREに来られて、小さなゴミが落ちていたとしましょう。それを清水建設の社員が拾っている姿を見たらどう感じるでしょうか。なんだかほっこりしませんか。
福本 します。「素晴らしいな」って。
田口 このビルは最先端じゃなかったっけ?と思うでしょうが、人間らしさも感じますよね。
及川 こういうところを大切にしたいなと思っています。我々は意外と、路上にペットボトルが落ちていても拾いませんよね。世の中がこれだけSDGsとか環境、CO₂のことを話しているのに……。
あるパートナーの方々が、NOVAREには観葉植物がいっぱいあるので、「当社のロボットで、観葉植物にロボットで水やりする実証実験をやりませんか」と言われました。でも私は、ちょっと違うのかなと思ったのです。私がデジタルを使うのなら、観葉植物にIoTなどのセンサーをつけて、水分量が減って乾いてきたら、清水建設のDX-Core経由でメッセージアプリにブルッと連絡が来るようにします。「ワタシ、喉が乾きました」というメッセージを見たら、どうしますか。
田口 水を持って、植物のところへ駆けつけないといけません。
及川 そのときに、ちゃんと水やりに行くことが大事ですよね。「環境が大事」の前に、ちゃんと水をやると植物が育ってCO₂を吸収してくれることについて実感する必要があります。そのことを忘れていませんか、ならばそこにデジタルを使いませんかという話です。
福本 サイバー空間では、人と人以外、例えばロボットや植物などが擬人化して、人との間でコミュニケーションが実現する可能性があります。例えば、人でないモノが「自分は今日、調子が悪い」みたいなメッセージを発してくれれば、フィジカルの空間で対応ができるかもしれません。
及川 製造業の設備で稼働率があまり高くなければ、「オレ、まだまだ余裕でいけるぜ」とか「油が足らない。ちょっと油を差して」とか言われると、愛着が湧きませんか。そういう発想があってもいいのではないかと思います。
田口 それがある意味、サービスとしての価値の1つになりますよね。
及川 今日、皆さんにお伝えしている空間サービスのデジタルツインでは、私はもっとデザイン思考でやっていきたいと思っています。
リアルな空間では時間がかかりますが、デジタルでは色々なことができますよね。「ここにはこんな清水建設の想いと意味があります」と言えるよう、私は意味性の「見せる化」にデジタルツインを使っています。
そこで、「確かに利便性は大切だけれど意味性にも興味があります」「これは共感できるから、もうちょっと、こういう風にやりたいです」と言ってくれるパートナーさんと出会って一緒に共創したいなと、モデルを勝手に作って考えています。皆さんぜひ一緒にイノベーションしましょう。
デジタルツインが製造業のマネジメントにもたらす変革
田口 ここまでは建設業でのお話について及川さんに伺いました。ここからは製造業と比較してみて、福本さんにコメントをいただきたいと思います。
福本 デジタルツインがモノづくりのマネジメントに与える変化についてお話ししたいと思います。マネジメントのポイントは3つあると考えていて、「リアルタイムでモノの全体を見ることができるか」「ディテールを見ることができるか」「フロー指向に基づいて流れを把握できるか」という観点が大事だと思っています。
まず、リアルタイムです。現場では、さまざまなことが起きています。あらかじめ人やセンサーなどを捉えて関連づけをしておき、情報を時系列でそろえて何か起きたらすぐに手を打てるようにしておきます。PDCAもできるだけ短サイクルで、高速で回すことが大切です。
ディテールにおいては、フィジカル空間の情報をできるだけ細かく多くのポイントで捉えて、サイバー空間で再現していくことが大事です。その際、だんだん再現するメッシュを細かくしていくことで、人が気づかなかった事象を少しずつ捉えられるようになります。
フロー指向では、いつもと違う変化を捉えることが重要です。
ルーティン作業は効率を重視するので、バッチで処理することが従来は多かったのですが、バッチ処理の場合は今日起きたことが明日の朝になるまで分からないので、それまでアクションを取れないことになります。フロー指向のポイントは、時間軸方向に対して因果関係を捉えることで、いつもと違うことが起きたらすぐにアクションを取ることができるようにすることです。
まとめますと、新しい経営基盤では、モノを作るプロセスやお客さまがモノを使っている状態も含めて、きちんと詳細なデータを取ってリアルタイムで把握する必要があります。たとえば、先ほどの及川さんのお話でもあったように、建物の中に入ってきたユーザーさんがどういう動きをしているかを、把握することが大事です。そうなると手が打てますよね。
及川 そうです。
福本 モノづくりも同様です。ファクトのデータをビジネスのデータや設計のデータなどと関連づけて蓄積しながら、新たな分析やAIの基盤として活用していくことが大切だと思います。
デジタルツイン上でシミュレーションを行い、最適な結果をビジネスやモノづくりの現場にフィードバックし、フィジカルで活用していくといった取り組みを、日常的に行っていくことが、モノづくりの価値向上のために重要になっていくと思っています。
価値共創の場が始動 キーワードは「ワクワク」
田口 今回の及川さんのお話では、少し先に訪れる未来の姿を見せていただいたような感じがします。
福本 利用者の経験価値を最終的にどうやって高めるかを常に考えているということですよね。そのために、建物を使われる皆さんや建物の中にロボットを導入される方、あるいは建物を掃除する方など、さまざまな立場に立って建物をみている点がポイントかと思います。それを形容してゼネコンを外から見るとどうなるのだろうかと、常日頃から考えられているのですね。
田口 NOVAREが9月にオープンしました。今後はどのような目標を持って稼働していくのでしょうか。
及川 目に見えるイノベーション活動を進めて行きたいです。本日お見せしたデモは、私自らがデザイン思考で考えて実践し、このように目に見える形でみなさんにご覧頂きました。また、清水建設ではアクセラレータープログラムを推進しており、ベンチャーの皆様と一緒に、具体的なイノベーションを探しながら進めて行きます。実際に、既にある施主様が10年後に新しいビルを建てようとしているのですが、「そういう場があるのなら一緒に『新しいビルって何だろう』から始めたい」というような感じで相談に来るケースも実際にあります。
田口 施主様の意識も変わってきているのですね。では、次世代へのメッセージをいただけますでしょうか。
及川 今日のデジタルツインを見て、皆さんはどう思われたでしょうか。ワクワクしてくれたら、とても嬉しいですね。デジタルトランスフォーメーションをしていくときには、「こんなことができるの!?」というワクワクがとても大事です。皆さんも小さなことからでもいいので、ワクワクすることをやっていきましょう。
福本 従来のサプライチェーンやバリューチェーンという言葉の印象からは、モノを作っている企業とは「部品を作っている企業やそれを組み立てている企業」であると捉えがちです。しかし、今後色々な方にモノやコト、サービスを提供していくときは、過去に関わりがなかった皆さんとも業界を越えてお付き合いすることになります。色々なことにトライして、相互に寄り添いながら進めていくやり方が、とても大事になりますよね。
田口 今回、及川さんのお話からは、デジタルの活用によってお互いに配慮しやすい環境が整えられそうな気がしました。良い未来を見せてもらったと思います。ありがとうございました。
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