大手買取店で車を売却する際に「クレームガード」という保証制度の加入を勧められた方は多いと思います。しかし、いまいちその必要性や仕組みが理解できず、加入すべきなのか迷っていませんか?結論からいうと、基本的に加入は不要であり、加入しない場合でも対処法はいくらでもあります。本記事ではクレームガード保証の仕組みや内容を詳しく解説し、なぜ加入の必要がないのか具体的な理由をもとに解説していきます。後半では買取後の減額は絶対にしないと公言している優良買取業者も紹介しますので、ぜひ最後までご覧になってください。

クレームガード保証とは?

クレームガード保証の加入はNG!?加入しない場合の対処法も徹底解説!
(画像=「Car Me」より引用)

クレームガード保証とは?

「お車を買取った後に目には見えない構造上、性能上の不具合が発覚したとしても、売主であるお客様を損害金等の請求から守ります」というもの

これは大手買取店であるガリバー、ビッグモーター、ネクステージの3社のみが行っている保証で、この保証を受けるためには別途費用が発生します。

それでは各社のクレームガード保証について、内容を詳しく確認してみましょう。

ガリバー「クレームガード保証」とは

ガリバーの店頭では説明画面がきちんと用意されていますが、なぜかHP上では正式な解説ページは存在していません。

唯一、Web上で内容を確認できるのは一部の店舗ブログのみとなっています。

保証の内容は、『車両を買取りし、オートオークションや個人へ販売した際に何らかの不具合が発覚した場合、責任はガリバーではなく売主にあるため損害金の請求が発生するリスクがあるが、そのクレームからあなたを守ります』というものです。

その保証に加入するには以下のような費用が発生します

ガリバー「クレームガード保証」料金表
車両の買取金額
加入料金
保証限度額/保証期間
国産車 輸入車
0~10万円 4,900円 4,900円一律
100万円 / 7ヵ月
10万円~20万円 5,900円 6,900円
20万円~30万円 6,900円 7,900円
30万円~40万円 7,900円 9,900円
50万円~100万円 8,900円 11,900円
100万円~150万円 11,900円 17,900円
150万円~200万円 13,900円 20,900円
200万円~250万円 15,900円 23,900円
250万円~300万円 18,900円 26,900円
300万円以上 21,900円 29,900円

買取金額に応じて保証料が上がっていき、故障リスクの高い輸入車は国産車に比べるとやや割高な値段設定となっています。

買取金額に関わらず、クレーム発生時に保証される損害金の限度額は一律100万円までとなっています。

ビッグモーター「クレーム安心保証」とは

ビッグモーターにも同じような内容で「クレーム安心保証(BIG買取価格保証)」というものがありますが、金額設定などに違いがあります。

こちらもガリバーと同じくHP上に公式な説明ページは存在せず、店頭のみの資料となります。

料金表は以下となります。

ビッグモーター「クレーム安心保証」料金表
車の種類 加入料金 保証限度額 / 保証期間
軽自動車 10,200円 一律
100万円 / 10ヵ月
普通車(買取額100万円未満) 10,200円
普通車(買取額100万円以上) 20,400円
普通車(トラック等の大型車) 30,600円
輸入車 30,600円

ガリバーと違い、車の種類で金額が設定されており、加入料金は全体的に高額です。

保証限度額は同じ100万円ですが、保証期間がガリバーよりも3ヵ月ほど長く設定されています。

ネクステージの無料クレームガード保証とは

大手買取店の一つであるネクステージにも、名称は定まっていませんが無料でクレームガード保証を付けることがあります。

こちらも他社同様に公式な内容説明はありませんが、HP上で「ネクステージには最初に提示した査定価格を保証するシステムがある」と公言しているため、そのシステムがクレームガード保証としての役割を担っているようです。

なぜクレームガード保証に加入してはいけないの?

クレームガード保証の加入はNG!?加入しない場合の対処法も徹底解説!
(画像=「Car Me」より引用)

結論からいうと、答えは「不要であり、加入してはいけない」です。

まず、クレームガード保証を取り扱っている業者全てが、自社HP上で公式な説明ページを設けていません。つまり、内容は場合によって都合よく変動する可能性があり、そこにルールや規約は存在しないといえます。

クレームガード保証の説明を受けた際に、「店頭で査定士が査定した内容で契約書を交わして売却したのに、なぜ手放した車の不具合を自分が負担しなければならないの?」といった疑問は当然湧くと思います。

しかし、一方で「数万円で安心を得られると思えば良い」という考え方があるのもまた事実です。

では実際のところ、本当にクレームガード保証は不要で加入してはいけないものなのでしょうか?

それでは具体的な理由をご説明いたします。

買取金額の減額が目的だから

クレームガード保証は一般的に買取金額から引かれて支払うことになります。

例えば、ビッグモーターで輸入車を100万円で売却しクレームガード保証に加入した場合、保証料として3万円が引かれるため、ビッグモーターは実質97万円で買取ることができます。

実際にクレームが発生するのは稀で、発生しない場合はこの差額分は全額買取店の利益となるため、クレームガード保証を勧めてくる本当の目的は「買取金額の減額」にあります。

クレームガード保証を取り扱っていない買取業者に問い合わせたところ、「うちには正式にそういう保証制度はないが、責任を持って査定しますし、不具合が発生してもそれは査定したこちらの責任です」と自信を持って回答していました。

このようにクレームガード保証には、お客様を守るという名目で実は買取金額の減額を目的としているという裏事情があるため、加入してはいけないと言われるのです。

クレーム内容の真実を確認できないから

実際にあなたが車を100万円で売却したとしましょう。

後日、買取店から「エンジンに不具合が見つかったから10万円の損害金を払ってください」と連絡が来た場合、それが本当に真実なのか、あなたには確かめる術はありません。

なぜなら、クレームが発生した時点で車両はすでに買取店から離れており、遠方のオークション会場や、次の所有者の手に渡っているため、本当にエンジンが悪いのか、本当に売却した時点でその状態だったのかなど、あなたが自分の目で確かめることは不可能なのです。

だからこそ保証が必要だという考え方もできますが、それなら最初からそういった不具合のリスクも含めて、責任を持って買取してくれる業者を選べば良いだけの話です。

こういった売却後の車両の状態をあなたが確認できないという不透明性が、クレームガード保証に加入してはいけないと言われる理由のひとつです。

嘘がない限り責任は買取店にあるから

中古車の売買では、契約不適合責任法(旧:瑕疵担保責任法)という法律が適用されます。

これは買主を守る為の法律で、中古車の売却時には元の持ち主が車両の瑕疵(かし)を報告しないまま売却した結果、後日不具合が見つかった場合に、買主は契約のキャンセルや損害賠償請求ができるといった法律です。

この法律を悪用し、責任を売主(消費者)に一方的に押し付けて減額を迫る業者がいます。

そしてそのリスクからお客様を守るのがクレームガード保証だというのです。

しかし、本当に損害賠償請求などに問われるのは「買取業者側に一切過失がない場合のみ」で、売主が意図的に不具合や欠陥を隠しているなどの場合でなければ契約不適合責任には問われません

これは一般社団法人”日本自動車購入協会(JPUC)”も公言している事実となります。

このことから、クレームが発生したとしてもそれは査定を行った業者側の責任であるため、売却時に嘘をついて不具合や修復歴を隠ぺいしていない限り、クレームガード保証は必要ないといえます。

加入したほうがいい場合は?

ここまでクレームガード保証について否定的な内容ばかりご紹介しましたが、逆にこの保証が必要な場合とはどのような時なのでしょうか?

それは、冠水歴や重大な故障、修復歴の可能性を排除できず、自身でも確認ができない時です。

具体例を挙げると、個人から譲り受けた車を売却するため事故歴の有無が分からない、怪しいと思う部分はあるがそれを確認する方法や手段がない場合などです。

そのような状況で、クレームガード保証料金を含めたうえでもガリバーやビッグモーターの方が高価買取してくれるのであれば、加入するメリットはあるでしょう。

クレームガード保証に加入しない場合の対処法

クレームガード保証の加入はNG!?加入しない場合の対処法も徹底解説!
(画像=「Car Me」より引用)

クレームガード保証に加入しない場合、後日クレームがきたらどうしようと不安になってしまう方もいらっしゃると思います。

では、加入しない場合はどのような準備と対策が必要なのでしょうか?

不具合や欠陥を隠さず伝える

売主として絶対に守らなければならないことは、故障個所や修復歴を正直に報告することです。

報告すべき具体的な項目

  • メーター交換歴の有無
  • 災害歴
  • 事故修復歴
  • 走行上の不具合

このような車両の価値を大きく左右する項目に嘘や隠ぺいがあった場合は、契約不適合責任法の対象となり、契約のキャンセル、契約後の大幅な減額、損害賠償請求といった重大なトラブルに発展する可能性があります。

よって、必ず消費者(売主)は契約時に「判明している範囲」で報告をしてください。

消費者契約法によって守られている

一般社団法人”日本自動車購入協会(以下、JPUC)”は、自動車業界全体の健全化を目的として設立された組織であり、車の売買に関する法知識などをていねいに解説し、買取時のトラブルにおける相談窓口も設置されています。

JPUCは「買取業者は査定のプロであり、注意を払って査定すれば修復歴などは発見できるため、査定の見落としは買取業者側に過失がある」と公言しています。

さらに『査定の見落としを消費者に転嫁し、事業者側の過失を問わずに契約を解除できる条項は、消費者契約法第10条「消費者の利益を一方的に害する条項の無効」に当てはまる』とあります。

つまり、不具合や欠陥を正直に伝えた後での査定ミスによる減額や契約キャンセルは無効であるといえます。

このように売主は消費者契約法によって守られているため、売主側に不正がない場合は買取店都合による一方的な減額や、クレームの責任に応じる必要はありません。

参考:JPUC 相談事例

公的な相談窓口を利用する

消費者(売主)を守ってくれる機関として、独立行政法人の消費者生活センターと、前項でもご紹介したJPUC(日本自動車購入協会)の2つの窓口があります。

■消費者生活センター

消費者ホットライン
TEL:188(局番なし)

国民生活センター平日バックアップ相談 
TEL:03-3446-1623

増加する中古自動車の売却トラブルという情報も掲載されているため、相談窓口の方もスムーズに対応してくれるはずです。

公的機関が運営しているため、法的なアドバイスには説得力もあるでしょう。

■JPUC(日本自動車購入協会)車売却相談室
TEL:0120-93-4595
(受付時間9:00~17:00)※土日祝定休

JPUCは車買取業界に精通したベテラン相談員が対応しますので、消費者生活センターよりも専門的な意見が聞けるかもしれません。

相談実績は15,000件以上、完全無料、秘密厳守で対応してくれるため、安心して相談できる窓口です。

買取後の減額をしない業者は?

クレームガード保証に加入するか迷う以前の問題として、中古車買取業界全体が不安視されている現在、まずは信頼できる業者を選ぶことが重要なポイントになってきます。

この項では、買取契約後のクレームを理由に「一方的なキャンセルや減額はしない」と宣言している優良業者を紹介します。

MOTA

MOTA車買取

MOTA車買取
(画像=「Car Me」より引用)

やり取りは上位3社のみ

商品詳細はオリジナルサイトでご覧ください。

株式会社カーセブンデジフィールド

カーセブン

カーセブン
(画像=「Car Me」より引用)

5つの安心宣言がある優良買取業者

商品詳細はオリジナルサイトでご覧ください。

株式会社オートバックスセブン

オートバックス

カーリース
(画像=「Car Me」より引用)

「7つのお約束」で安心

商品詳細はオリジナルサイトでご覧ください。

クレームガード保証に関するQ&A

クレームガード保証に関するよくある質問とその回答を掲載します。

買取契約後に減額させない方法はあるの?

契約書にサインする前に、契約後の減額は絶対にないのか念を押して確認し、口約束すらできないようであれば他店へ相談したほうがよいでしょう。他にも買取店は沢山あります。

事故や故障を隠して売却した場合はどうなるの?

目視で確認できるものや異音などの明確な不具合は、整備やオークション売買の段階でほぼ100%発覚し、損害賠償請求に発展する可能性があります。不具合は必ず正直に申告しましょう。

クレームガード保証のまとめ

クレームガード保証が必要となるのは、ごく限られた条件下のみだということが分かりました。

中古車売買のトラブルは全国的に増加傾向にあり、優良な企業は次の時代に向けて、消費者ファーストな考え方で安心を提供しようと努力しています。

クレームガード保証が本当にあなたにとって必要なのか、絶対にその店舗で売却しなければならないのかを今一度よく検討し、健全なお店でお車を売却してください。