テレビ東京ホールディングス<9413>は、放送だけに頼らない収益構造の改革に取り組んでおり、その実現のために放送、アニメ、配信の 3分野で相乗効果を生み出す「トライブリッド経営」を推進中だ。

2022年にゴルフ用品のEC(電子商取引)サイト「アトミックゴルフ」を運営するリアルマックス(広島市)を子会社化したのに続き、2023年8月にフランスのモバイルアプリ・ゲーム開発会社のYONKO.SAS(パリ市)に出資したのは、この戦略の一環。

同社は2023年5月に、2024年3月期を初年度とする3カ年の中期経営計画を公表。この中で、最終年の2026年3月期の目標として売上高1700億円、営業利益110億円を掲げた。

直近の2023年3月期(売上高1509億6300万円、営業利益92億2900万円)からは12.6%の増収、19.1%の営業増益となる。

この目標達成の要となるのがトライブリッド経営で、今後も放送、アニメ、配信の3分野強化のために、通販、アプリに続くM&Aや資本参加などが実現する可能性は高そうだ。

アニメ、配信が放送を上回る日は

テレビ東京が放送だけに頼らない収益構造を目指す背景には、広告収入の減少という事情がある。電通によると、地上波と衛星メディアを合わせたテレビ・メディアの広告費は、2017年から2020年まで4年連続で前年割れとなっており、2021年にプラスに転じたものの、2022年は再び前年割れとなった(前年比2.0%減の1兆8019億円)。

一方で、YouTube などのインターネット広告は好調で、2022年は同14.3%増の3兆912億円と、テレビを大きく引き離した。インターネット広告は電通がデータを公表している2009年以降前年割れとなったことはなく、この傾向は今後も続くと見るのが一般的だ。

こうした情勢を踏まえ、打ち出したのがトライブリッド経営で、2018年3月期に放送7、ライツ(アニメ、配信など)3だった営業利益の構成比を、2026年3月期に放送4に対し、ライツを6に高める。

2023年3月期は放送とライツがほぼ5対5となっており、今後3年間で放送とライツが逆転し、まさに放送だけに頼らない収益構造が実現する見通しだ。

このため放送事業では、利益率の高いアニメや配信の拡大に寄与できるように、時間帯別に39歳以下向けやシニア向けなどを区分けした編成を行うという。どのような番組になるのか。テレビ東京の変革に関心が高まる。

M&A Online
(画像=「M&A Online」より引用)