ラグジュアリー市場におけるSUVの先駆者であるレクサス「RX」。そのライバルとなる国産車といえばマツダの「CX-60」が挙げられます。この2台それぞれの特徴や違いなどを解説します。文・鈴木ケンイチ/写真・PBKK
CX-60がライバルの理由と2車の特徴
レクサスのコアモデルとなる「RX」。その特徴は、レクサスならではの上質さ、快適性、そして走りの良さといったところです。また、メカニズム的には、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、そしてエンジンと複数のパワートレインを備えているところです。最新モデルは2022年11月に発売開始となった第5世代モデル。価格帯は666~901万円となります。
それに対するマツダ「CX-60」は、同じ2022年6月より予約開始になった新型車です。マツダにとって新世代ラージ商品群の第一弾となるモデル。これまでのFFプラットフォームを使った商品群ではなく、FRプラットフォームを採用した、もうひとつ上のクラスを狙うモデルとなります。パワートレインは、ガソリンとディーゼルのエンジン車、マイルドハイブリッド、そしてプラグインハイブリッドが用意されています。価格帯は333.2~646.2万円となります。
寸法はどう違う
車の車格は寸法と搭載されるパワートレインがカギになります。
新型「RX」の寸法は、全長4890×全幅1920×全高1700~1705mm。ホイールベースが2850mm。搭載されるパワートレインは、2.4リッター直列4気筒ガソリン・ターボ・エンジンを使うハイブリッド、2.5リッター直列4気筒ガソリン・エンジンのプラグインハイブリッドと普通のハイブリッド、そして2.4リッター直列4気筒ガソリン・ターボ・エンジンとなります。
「CX-60」の寸法は全長4740×全幅1890×全高1685mm。ホイールベースが2870mm。搭載されるパワートレインは、2.5リッター直列4気筒ガソリン・エンジンを使うプラグインハイブリッド、3.3リッター直列6気筒ディーゼル・エンジンのマイルドハイブリッド、そして3.3リッター直列6気筒ディーゼル・エンジン、2.5リッター直列4気筒ガソリン・エンジンです。
寸法は「RX」の方が全長で15㎝、全幅で3㎝ほども大きくなります。パワートレインは、プラグインハイブリッドの排気量は同じとなりますが、「RX」は2.4リッターのターボと2.5リッターのガソリン・エンジンを基本とするのに対して、「CX-60」は2.5リッターのガソリン・エンジンと6気筒のディーゼルを使うのが違いとなります。
ハイブリッド同士のスペックの比較
次の、パワートレインごとの性能スペックを比較してみましょう。
まず、ハイブリッドから。「RX」のトップモデルとなる2.4リッター・ターボのハイブリッドは、システム最高出力273kW(371馬力)、燃費性能14.4㎞/l(WLTCモード)を備えています。搭載されるのは「RX500h」です。また、スタンダードな「RX350h」は2.5リッター・ハイブリッドでシステム最高出力184kW(250馬力)、燃費性能はFFで20.2km/l(WLTCモード)、4WDで18.7km/l(WLTCモード)となります。
これに対して、「CX-60」のハイブリッドは3.3リッター6気筒ディーゼルのマイルドハイブリッド。最高出力はエンジンによる187kW(254馬力)に、最大トルク550Nm。これにモーターの12kWと153Nmがプラスされます。燃費性能は21.1km/l(WLTCモード)。
ハイブリッド同士の比較では、最高出力は「RX」の方が勝りますが、燃費のスペックは互角。ただし、「CX-60」はディーゼル・エンジンなので、燃料はガソリンよりも安い軽油。ランニングコストでは「CX-60」が上となります。
プラグインハイブリッドの比較
続いて、プラグインハイブリッドを比較してみましょう。
「RX」のプラグインハイブリッドは、2.5リッター・エンジンにモーター、18.1kWhの電池を組み合わせたシステム。システム最高出力は227kW(309馬力)、EV走行距離(充電電力使用時走行距離)は86㎞、充電を使い切った後の燃費性能は18.8km/l(WLTCモード)です。
エンジン車同士のスペックの比較
「CX-60」のエンジン車は2種。2.5リッター直列4気筒ガソリン・エンジンと、3.3リッター直列6気筒ディーゼル・ターボ・エンジンです。2.5リッターのガソリンの最高出力は138kW(188馬力)に最大トルク250Nm。燃費性能はFFで14.2km/l(WLTCモード)、4WDで13.1km/l(WLTCモード)になります。3.3リッターのディーゼルは、最高出力170kW(231馬力)に最大トルク500Nm。燃費性能がFFで19.8km/l(WLTCモード)、4WDが18.5km/l(WLTCモード)になります。
パワーは「RX」が上になりますが、燃費は「CX-60」がガソリン車とディーゼル車の両方で勝っています。特にディーゼルの燃費の良さは圧倒的です。
先進運転支援システムの内容
安全のための先進運転支援システムの内容を比較してみましょう。
「RX」も「CX-60」も、充実した先進運転支援システムを揃えているのが特徴です。衝突被害軽減自動ブレーキのような基本的な運転支援システムは、どちらのモデルにも搭載されています。また、カメラでドライバーの様子を検知するドライバーモニタリングシステムを装備しているのも両モデルの共通点です。
ただし、先進性でいうと「RX」にある高度運転支援技術「レクサス・チームメイト」は、「CX-60」にはなく「RX」ならではのものとなります。「レクサス・チームメイト」のアドバンスト・ドライブ(渋滞時支援)は、高速道路の渋滞走行などで、ドライバーがしっかりと周囲を監視していれば、ステアリングから手を離す“ハンズオフ”を可能とします。また、アドバンスト・パーク(リモート機能付き)では、スマートフォンを使って車外から駐車操作を行うこともできます。
パワートレインごとの価格差
「RX」のハイブリッド車である「RX500h」の価格は901万円です。もう一つのハイブリッド車である「RX350」の価格は758~796万円です。一方、「CX-60」のハイブリッド車は3.3リッター・ディーゼルのマイルドハイブリッドで530.75~567.05万円となります。
プラグインハイブリッドは、「RX450h+」で872万円。「CX-60」のプラグインハイブリッドは609.95~646.25万円です。
エンジン車は「RX350」で666~707万円。「CX-60」の2.5リッターのエンジン車は322.3~426.8万円。3.3リッターのディーゼルで353.65~485.65万円となります。
どのパワートレインでも「RX」の方が200万円以上高いということになります。
同じようなサイズ感であり、数多くのパワートレインを備える2車。パワートレインごとに、それぞれ個性ある内容であることがわかります。