ラグジュアリー市場にSUVを持ち込んだパイオニアとなるのがレクサスの「RX」。今ではレクサスを支える大きな柱に成長しています。その「RX」の最新モデルは2022年11月に日本で発売となりました。そのトップモデルとなる「RX500h F SPORT Performance」の走りをレポートします。文・鈴木ケンイチ/写真・PBKK
最新「RX」の中で最強のパワーを誇る「RX500h F SPORT Performance」
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最新「RX」の特徴のひとつが、多彩なパワートレインを用意していることです。中核となるのは2つのハイブリッドで、その他にプラグインハイブリッド、そしてエンジンという4種類のパワートレインがあります。
その中でも最強の心臓となるのが2.4リッター・ターボ・エンジンをベースにしたハイブリッドであり、そのシステムを搭載するのが「RX500h F SPORT Performance」です。ポイントは、エンジンとモーターを繋ぐのがクラッチであること。そして6速のATも備えられています。
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トヨタの「プリウス」などに使われる遊星ギヤ方式ではないため、ダイレクトかつ高効率というのが特徴です。また、後輪にモーターを搭載する4WD方式で、4輪の駆動力を緻密に制御する「DIRECT 4」も採用。高出力を謳うバイポーラ型ニッケル水素電池を使い、システム最高出力273kW(371馬力)を誇ります。
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その強力なパワーを受け止めるシャシーも、先代から一新しました。プラットフォームは、「センチュリー」や「クラウン」にも採用されているGA-Kプラットフォーム。リヤのマルチリンクサスペンションは新開発されたもの。強力なパワーがあっても、しっかりと路面をつかんでくれるものとなります。
ゆっくり走って分かる運転のしやすさ
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試乗は街中から。ゆっくりと流れに乗って車の様子を確かめます。全長4890×全幅1920×全高1700mmという新型「RX」のサイズは、世界的にはミッドサイズとなりますが、日本では大きな車という分類です。しかし、意外に運転しやすいという印象。視界が広く、斜め後ろの視界もしっかりと確保されています。ステアリングの手応えは、とても軽いものの、操作に対する応答が正確なのでしょう。修正舵もなしに、思うラインを簡単にトレースすることができます。
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また、足回りはコツコツとした硬さを感じさせますが、大きな段差などでは、上手にショックをいなします。フラットライドを保ちつつも、ゴツゴツとした不快感がなく、とても乗り心地がよいのが好印象です。
充実かつ使いやすい先進運転支援システム
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また、運転しやすさに拍車をかけるのが、操作の親切な表示です。ステアリングにあるスイッチに触ると、ヘッドアップディスプレイに操作ガイドが表示されます。初めての車であっても、スイッチ関係の操作に不安になることなく、しっかりと前を向いて運転できました。これも運転のしやすさのひとつと言えます。
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高速道路に入って、先進運転支援システムを利用してみました。レーダークルーズコントロール、いわゆるACC機能も、迷わずに使うことができます。試乗時には、運よく渋滞があったことで、ハンズオフ(ステアリングから手を離すこと)ができる「レクサス・チームメイト・アドバンスト・ドライブ(渋滞時支援)」を試すことができました。操作も簡単で、システム作動時は安定しており、安心して使うことができました。割り込みがあると、作動がキャンセルになるので、盲信はダメということも実感できました。
F SPORTならではの運転の楽しさ
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道が空いたところで、少し深めにアクセルを踏み込んでみます。すると、ゆったり走っていたときの静粛性が嘘のように、はっきりとしたエンジン音が響きます。太い音で、咆哮と呼べるような勇ましさ。また、加速は力強く、まるでスポーツカーのような切れのよい走りが楽しめます。また、ハイブリッドでありながらも6速ATがあるので、ステアリングの裏にあるパドルシフトを操作して、シフトチェンジも可能。速く、迫力があり、そして操る楽しさがありました。
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ちなみに、ハイブリッドの駆動力伝達にクラッチを使用していますが、クラッチがミートするときのショックは一切感じることができませんでした。その一方で、アクセル操作に対するレスポンスは良好。スポーティでありながらも、洗練されているという印象です。
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ゆったりと走れば、ラグジュアリーカー。アクセルペダルに力を入れれば、まるでスポーツカーのような切れの良さ。そしてゆっくりでも速くても、車の動きは意のまま。それでいて、乗り心地が良く、しつらえも上等。なんとも上品で、しつけの良いスポーティさと感心するばかりの試乗となりました。