メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「2024年も首位に立ったメキシコペソ、次の焦点は3月21日の政策金利」メキシコペソ見通し

予想レンジ 8.5-9.0

 (ポイント) 
*ついに、ドルを捉え年初来最強通貨
*2月消費者物価は低下、目標は3%
*自動車輸出、郷里送金快調
*ニアショアリング・ファンド上場
*中銀理事会は3月21日
*メキシコ中銀、四半期報告書で慎重な姿勢
*米政府、メキシコからの中国車輸入を阻止か
*4Q・GDPは伸び鈍化
*メキシコ大統領の議員定数の大幅削減案に不満の声
*中国BYDもメキシコ進出か
*対米輸出が中国を抜いて世界一
*2023年のGDPは前年比3.1%増加、IMFの2024年成長見通しは2.7%
*気になるのは財政支出拡大と財政赤字拡大
*メキシコ初の女性大統領を目指す選挙選(6/2)
*トランプ大統領が誕生すればメキシコに一波乱あり

(ついに、ドルを捉え年初来最強通貨、対円では小幅安)
 ついに、ドルを捉え年初来最強通貨に。2年連続最強通貨の実績のあるペソが地力を発揮してきた。2月最強通貨となった勢いで首位だったドルを抜いた。ただ対円では8.765で5.54%高と先週末の6.27%高から差を詰められる。長らく抵抗していた1ドル17.0ペソも割り込んだ。年初来高値は3月4日につけた8.879。10年国債は前日の9.58%から9.467%、株価指数は年初来4.07%安とマイナス圏が続く。

(2月消費者物価は低下、目標は3%、次回中銀理事会は0.25%利下げか)
 2月消費者物価(CPI)は4カ月ぶりに低下し、中銀が3月下旬に政策金利を0.25%引き下げる可能性が高まった。2月CPIは4.40%は1月の4.88%から低下した。農産物(果物、野菜、肉)の価格が大幅に低下した。一方、サービスの年間インフレ率はわずかに上昇して5.30%に達し、ガソリンや電気を含むエネルギー価格は前年比2.75%上昇し、1月の1.41%を大幅に上回った。

 コアインフレ率は2月に13カ月連続で低下し、1月の4.76%から低下し4.64%となった。
 CPIは依然中銀の目標を大幅に上回っているが、2月の低下により中銀が3月21日に過去最高の11.25%の政策金利を0.25%引き下げる可能性が高まった。

市場は2024年中に政策金利を最大1.0%引き下げると予想している。それでも金利は現時点で依然として高い10.25%のままとなる。
 CPI発表後も対ドルで16.88ペソと前日とほぼ変わらず。
 
(2月自動車輸出は前年比22.6%増)
 メキシコの自動車輸出は2月に前年比22.6%増加した。自動車産業の成長傾向が続く。
2024年のメキシコからの自動車輸出総額はこれまでのところ53万6,975台に達し、2023年1月から2月に比べて14.6%増加した。2023年の自動車輸出額は1,889億米ドルを超え、2022年比14.3%増加し、過去最高を記録した。
 GMは2月の自動車産業輸出業者リストでトップとなり、その大半が米国向けとなる6万8949台を海外に送り出した。他の大手輸出業者は次のとおり。
 日産 (41,632台)、ステランティス (33,124台)、フォルクスワーゲン(30,663台)。

(ニアショアリング・ファンド上場)
 ニアショアリングファンドは上場投資信託(ETF)の形でメキシコ証券取引所(BMV)に参入しており、成長するビジネストレンドの「直接受益者」とみなされる約70社の北米企業や信託へのエクスポージャーを投資家に提供している。
 アズトラン・エクイティ・マネジメントの北米ニアショアリング銘柄選択ETFは、特にニアショアリング現象の利用を目的とし、BMV経由でアクセスできる最初のETF。
 このファンドは、「米国、メキシコ、カナダを含む北米に拠点を置き、ニアショアリング現象の直接受益者としてアズトランによって特定された株式への投資を目指している」とされている。 不動産、陸上輸送、航空貨物と物流、輸送インフラ、海上輸送などの分野で活動する企業や信託で構成。ETFを構成する70社ほどの企業や信託の中には、TFIインターナショナル、CSXコーポレーション、カナディアン・パシフィック・カンザスシティ、メキシコに本拠を置く不動産投資信託のフィブラ・マッコーリーとフィブラ・エムティなどが含まれる。 メキシコはすでにニアショアリング傾向の恩恵を受けているが、企業がすでに発表された計画に基づいて行動し、他の外国企業が米国に近いことからメキシコに拠点を置く決定を下すため、海外投資は今後数年増加し続けると予想される。

(中銀理事会は3月21日)
 中銀理事会は3月21日に開催される。FOMCはその前日に開催される。中銀は最新の金融政策声明の中で、「インフレ圧力だけでなく、予想されるインフレ経路とその期待に影響を与えるすべての要因を徹底的に監視する」と述べている。慎重なフォワードガイダンスの下で0.25%の利下げが予想されているが、米国FRBもいずれ年内に利下げに踏み切れば金利差縮小のペソ売りも限定的か。

(郷里送金45か月連続増加)
 1月の海外からの送金額は約45億7500万ドルと前年同月比3.1%増加。
単月の送金額が増えたのは45カ月連続。メキシコからの出稼ぎ労働者は米国在住が多く、メキシコ国内で進んだ物価高への対応もあって本国に住む家族に向けてドル建ての送金を増やしている。
 ドル建ての送金はメキシコの外貨獲得手段として大きなウエートを占める。2023年の送金額は初めて600億ドルを超え、過去最高を更新していた。

テクニカル分析

年初来高値を更新後急落

 日足、3月4日に8.879をつけ年初来高値を更新、ボリバン2σ上限へ。ただ3月4日-6日の上昇ラインを下抜き急落。2σ下限まで下落。2月1日-3月7日の上昇ラインがサポート。3月6日-7の下降ラインが上値抵抗。5日線下向く、20日線上向き。
 週足、ボリバン2σ上限へ上昇。ただ今週は上ヒゲが長く6週ぶり陰線となるか。
1月1日週-29日週の上昇ラインがサポート。2008年10月6日週-2024年3月4日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
 月足、23年7月からの山なり状態を上抜いた。12月-1月の上昇ラインがサポート。2008年8月-2023年11月の下降ラインを上抜く。
 年足、23年で3年連続陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。22年-23年の上昇ラインがサポート。

メキシコペソ見通し
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VAMOS MEXICO

大統領選挙戦始まる

 6月2日に行われる大統領選の選挙戦がスタートした。与党・国家再生運動(MORENA)のシェインバウム前メキシコ市市長が支持率でリードしており、初の女性大統領が誕生する可能性がある。
シェインバウム氏は、社会保障制度の拡充や財政規律維持など退任する現職のロペスオブラドール大統領が進めた政策を踏襲する方針を示している。
米国の近くに生産拠点を配置する「ニアショアリング」の流れに乗ることを目指すとし、治安問題にも取り組むと表明した。

一方、野党統一候補のガルベス元上院議員は、 ロペスオブラドール政権の治安対策を批判し、「治安問題を上回る優先事項はない」と強調。州兵の数を倍増させ、凶悪犯罪者を収容する大規模刑務所を建設すると表明した。 シェインバウム氏はガルベス氏を支持率で20ポイントリードしている。常に60%以上の支持を得ているロペスオブラドール氏の後ろ盾もあり、同氏が優勢となっている。
シェインバウム氏勝利の可能性が高いことから、与党は憲法改正案を可決するために上下両院で必要3分の2議席を獲得することに集中していると指摘されている。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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