総括
FX「8円トライか。3月最強通貨維持」南アランド見通し
「通貨7位、株価19位」
「予想レンジ 南アランド円7.7-8.2」
(ポイント)
*3月はここまで最強通貨
*鉱産物価格上昇がランドをサポート
*新しい電力法で電力問題は改善するだろう
*今週は2月消費者物価や1月小売売上の発表
*政策金利決定は3月27日
*中銀総裁再任
*23年4Q・GDP テクニカルリセッションをかろうじて回避
*選挙戦が始まった
*財政赤字縮小の為に外貨準備に手を付けたことを市場が一時嫌気
*5月29日に大統領選挙と総選挙
*スタンダード銀行、2024年の南アフリカ経済にプラスの見通し
*成長は電力、物流、財政次第
*中国と南アの関係は強化されている
*グレイリストには2025年まで残る
*人口は増加、白人は減少
(3月最強通貨を維持)
3月は依然、南アランドが最強だ。2月は12通貨中11位だった。年初来では7位。株価(全南ア指数)は20市場で19位、年初来4.43%安。10年国債利回りは10.17%。
金、銀、白金、パラジウムなど南ア産出の鉱産物価格の上昇をもたらしていることもランドを支えている要因だ。
南アは電力不足、物流の混乱などがなければ、2024年も3-4%成長すると言われているが、なかなか問題が解決できず、IMFの成長見通しは1%だ。引き続き、2つのインフラ問題は追っていかないといけない。
(今週の指標)
2月消費者物価や1月小売売上の発表がある。消費者物価の予想は前年比5.5%上昇、前月は5.3%。コアは4.6%、前月も4.6%。小売売上は前年比3.4%増の予想、前月は2.7%。
(先週の指標)
1月製造業生産は前年比2.6%増、1月は1.3%。
(南アの政策金利変更はFRB待ち)
米国の利下げは必ずしも南アの利下げと直接結びついているわけではないが、南ア中銀は政策の方向性を決定するためにさまざまな要因を検討していると複数の機会に述べているが、国内の金利の動きは米国に追随する傾向がある。
南アの場合、金利がピークに達したということはエコノミストやアナリストの間でコンセンサスがあるが、米国のインフレが粘り強い水準にあることを考えると、いつサイクルが変わり、南アが利下げを開始するかについては不透明だ。南アの利下げは米国が利下げサイクルを開始した後、今年下半期にのみ行われる見通しだという。
年初では、その転換は年半ば近くになると予想されていたが、米国で新たな遅れが生じるたびに、この目標はさらに後ろにずれ込んでいる。
現在、エコノミストの67%が2024年3Qに最初のレポ金利引き下げを予想しており、残りの33%は2024年2Qに引き下げを予想している。
(中銀総裁再任)
ラマポーザ大統領は、南ア中銀クガニャゴ総裁をさらに5年の任期で再任した。
シャジバナ副総裁、カシム氏副総裁も今後5年間その職に留まり、2023年11月に辞任したナイドゥ氏の後任としてモディセ博士が3人目の副総裁となる。
(電力大手エスコムと物流のトランスネットの問題が改善しつつある)
エスコム社の負担軽減でエネルギープロジェクトを構築する企業が増えていることから、電力危機が改善する兆しが見られる。今後数年間で 10 メガワットを超える電力が供給されると予想されている。
運輸業界にも改善の兆しがあり、専門家らは最悪期は脱した可能性があると述べている。鉄道と港湾を運営する巨大企業トランスネットは新しい最高経営責任者を迎え、経営再建に取り組んでいる。
エスコムとトランスネットは南アの 2 つの最も重要な企業であり、現在の経済危機の一因となっている。
テクニカル分析(ランド/円)
8円にトライ
日足、雲の上に出るも乱高下あり。先週末は上昇。ボリバン上位、3月14日-15日の上昇ラインがサポート。2月21日-3月15日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線横ばいから上向く。
週足、ボリバン中位を上向く。雲の上維持。2月26日週-3月11日週の上昇ラインがサポート。2月19日週-3月11日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向く、20週線横ばい。
月足、6月-1月の上昇ラインがサポート。22年6月-23年11月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線下向き。
年足、2023年は円とデッドヒートを繰り返しほぼ同位の10位。21年-23年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインを上抜くか。
喜望峰
南アの新しい電力法
マンタシェ鉱物資源・エネルギー大臣は、議会で採択された電力規制修正(ERA)法案は「電力部門の構造をより良い方向に根本的に変革する」と述べた。
この法案は、とりわけ次のことを目指している。
*競争力のある電力取引を可能にする公開市場プラットフォームを提供する
*送電システム事業者 (TSO) の設立に備えて、電力の運送業者および販売業者として機能させる
*国家エネルギー規制当局(NERSA)の役割を強化し、競争市場を実施する事業体にライセンスを付与し、競争市場への移行中に規制上の監督を行う権限を含める
*電力インフラの盗難や破壊行為に対処するために、犯罪と罰則に関する規定を導入
マンタシェ大臣は、ERA法案は将来の世代にプラスの影響を与えるだろうと述べた。
「競争市場の導入、TSO の設立、電力インフラを破壊した者に対する犯罪と罰則に関して一般の人々から提起された意見の相違にもかかわらず、私たちは規制の枠組みの変更が抜本的な変革をもたらすという確固たる見解を持っています。将来の世代のために電力部門の構造を変革する」と述べた。