本記事は、山﨑 拓巳氏の著書『やる気のスイッチ』(サンクチュアリ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
不要な「マイルール」に気づく
あなたはコンセンサスリアリティ(合意上の現実)の中にいます。
テーブルの上に足を乗せてはいけない。食事中に立ち歩いてはいけない。列に横入りしてはいけない。人を仲間はずれにしてはいけない……など。
コンセンサスリアリティとはこんな風に、子供のころから教わってきたルールによって作り上げられた現実。
この中にいると見えないものが見え、見えているものが見えなくなってしまいます。
たとえばこういう場面を想像してみてください。
砂場で遊んでいる子供が2人いて、「こっちから向こうが海ね!」「落ちたら3秒でサメに食われる〜。この石は地雷ね。踏んだら爆発するぞ〜!」とキャッキャ言いながら楽しんでいる。
そこにもう一人、なにも事情を知らない子供がやってくる。
はたから見ればただの砂場です。でも足を踏み入れた瞬間……「あ、そこ海だよ!早くこっちへ!」「え?」「サメが来るよ!」「え?」と言われて、戸惑いながらも、駆け足で逃げ出すかもしれません。
この瞬間、その子は合意したことになります。
つまり砂場の中で、新しい現実を見はじめたというわけです。
子供たちの取り決め。それによって作られる現実。
それを発展させていったものが、大人の現実=社会だとも言えます。
目の前の現実は、言わば「みんなとの約束によって見せられた現実」。
だから「絶対できない、なれない」と思ったら、それはあなたが知らないうちに「絶対できない、なれない」と刷り込まれ、そのような現実を「見せられている」だけかもしれません。
でもそれはただの思い込み。
決してあなたの行動が制限されているわけではないのです。
凹みまくったら「なーんちゃって」と言う。
凹むことが2、3回続いたら要注意です。
あなたの心は凹むようなものを、続けて「わざわざ」発見しようとしています。
心がそのモードになっているときは、次々と凹むようなことが起こっていきます。
遅刻しそうだ。カギが見つからない。鞄のチャックがハンカチを噛む。クルマをこする。スピード違反で捕まる……。
心は一種の動画配信サービスのようなもので、そのチャンネルはずーっと「凹む番組」ばかりやっているようですね。
「なんで私、こんなにイライラしているの?」とイライラをなくそうとして、さらにイライラを増幅させています。
心のスクリーンに映し出される「イライラする現実」は、次から次へとイライラを連れてきてしまいます。
だから起きているマイナスな出来事には、
心を引っ張られないこと。続けないこと。こだわろうとしないこと。
ぱっとチャンネルを変えるように、心のモードを変えて抜け出しましょう。
抜け出すために、使えるおまじないのような言葉があります。
それが「と、いうのはうそ!」もしくは「なーんちゃって」といった言葉です。
「ほんの冗談でした」と伝えることで、とりあえずイライラモードから抜けられます。
それでも何度も嫌な出来事が浮上してくるなら、何度も同じ言葉を思い浮かべればいい。
そして断ち切ることができたら、すかさず、「すがすがしい、さわやかな、やさしい、おだやかな」景色を心の中に映すのです。
そうすれば、また新しい現実をはじめることができます。
幼稚に感じるかもしれないけれど、 脳は言葉で思考するから、言葉を使うだけである程度方向転換できてしまうのです。
もし方向転換がうまくできないという人は、
悲しいことが起きたときにすかさず「よくあること、よくあること」 、それでも続くようだったら「修行、修行」、まだそれでも続くようだったら「まぼろし、まぼろし」 と言葉を重ねてみてください。
こうすれば、方向転換しなくても嫌なモードから抜けやすくなります。
経営者としてニューヨークにラーメン店「タクメン」「タクサンド」を出店したり、アーティストとして国内外に絵画、Tシャツ、バッグを出展したり、映画出演を果たすなど多方面で活躍中。
主な著作に『なぜか感じがいい人のかわいい言い方』『人生のプロジェクト』『気くばりのツボ』(サンクチュアリ出版)、『さりげなく人を動かすスゴイ!話し方』(かんき出版)などがあり、著作累計部数は200万部を超える。