本記事は、山﨑 拓巳氏の著書『やる気のスイッチ』(サンクチュアリ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
毎回違う作戦を立てる。
あなたはこれまで生きてきた中で、いくつかのチャレンジをして、いくつかの結果を出して、認められてきたことでしょう。
それらの成功体験はすべて自信となり、生きる糧にもなっている。
成功体験こそが人生の宝だ。私は長年ずっとそう思っていました。
しかしあるときから考えを変えました。
島の旅館に泊まったとき、ゴミ箱にこんな貼り紙を見かけた瞬間から。
「燃えるゴミと、過去の成功体験はこちらへ」
人はひとたび成功すると、ついつい以前と同じ手順を踏みたくなります。
けれど、それは「成功体験がひとつの固定観念を作ってしまった結果」だとも言えます。
多かれ少なかれ、前回と今回のチャレンジとでは、条件、流れ、立ち位置、構成メンバー……など、いくつかの要素が変わるでしょう。
人々の価値観だってあっという間に変わる。
だから同じことをしていても、次またうまくいく保証なんてどこにもありません。
ある日突然、「前のやり方だとうまくいかなくなった」と気づいたときには遅いのです。
「うまくいく」のではなく「うまくいき続ける」ためには、
やり方はいつもゼロから考えて、緊張感をキープしたまま、次の仕事にのぞんだ方がいいのです。
それは楽ではありませんが、仕事をずっと楽しむコツでもあります。
好調なときは基本に戻る。
人はなぜスランプになるのでしょう?
調子が悪いからなるのではない。調子がいいからなるのです。
こんな話を聞いたことがあります。
野球の鉄則のひとつに「バッターは自分が苦手な球に手を出してはいけない」というものがあります。
優れたバッターはピッチャーとの駆け引きの中で、自分の打ちやすい球を粘り強く待つ。
追い込まれているならともかく、苦手な球を打つことはしません。
だけど好調が続いていると、ついつい苦手な球にも手を出してしまう。
好調なので、バットにしっかり当たるし、ヒットにもなる。
しかしそれが問題です。
自分が苦手な球に手を出すたびに、微妙にフォームが崩れてくるからです。
知らないうちに歯車が狂い、あるとき突然、まったく打てなくなってしまう。
あわてて元に戻そうにも、戻し方がわからない。
これがスランプの仕組みだと言います。
もし今あなたが、がんばっているのになかなか結果が出ないのだとしたら、ちょっと前までは絶好調だったかもしれません。そのとき調子に乗って、いい加減なやり方をしていたのかもしれません。
調子がいいときほど、自分のスタイルに忠実に、基本を大切にし、謙虚に過ごしてください。
好調はずっと続くものではありませんが、調子に乗らなければ、不調もずっと続くことはありません。
経営者としてニューヨークにラーメン店「タクメン」「タクサンド」を出店したり、アーティストとして国内外に絵画、Tシャツ、バッグを出展したり、映画出演を果たすなど多方面で活躍中。
主な著作に『なぜか感じがいい人のかわいい言い方』『人生のプロジェクト』『気くばりのツボ』(サンクチュアリ出版)、『さりげなく人を動かすスゴイ!話し方』(かんき出版)などがあり、著作累計部数は200万部を超える。