本記事は、山﨑 拓巳氏の著書『やる気のスイッチ』(サンクチュアリ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
解決法は「無意識」が教えてくれる。
家を出る間際に、
「あ!あぶない。書類忘れるところだった。よかった、思い出して」
というときがあります。
まったく違うことを考えているのに、スパン!と自分の意識に降りてくるひらめき、気づき、インスピレーションのようなもの。あれは一体なんだろう?
または誰かとお酒を飲んでいて、
「あの人誰だっけ?あー喉まで出かかっているのに……」
という場面もよくあります。顔はわかっているけど名前が出てこない。
ところが飲み会も終わって、家路につき、ほろ酔い気分でシャワーを浴びていると、なんの脈絡もなく、
「あ。思い出した。○○さんだ」と答えが舞い降りてくる。あれは一体どこからやって来るんだろう?
答えはどうやら「無意識(潜在意識)」の仕業らしいのです。
人が意識として認識できるものは「顕在意識」と呼ばれています。
顕在意識は、そもそも「名前なんだっけ?」と思い出そうとしていたことすら忘れてしまいます。ところがその奥にある「無意識」は、一度「名前なんだっけ?」と考えると、ずーっと記憶の中を検索し続けてくれる、粘り強い意識なのです。
そして無意識の「検索がヒット」したとき、その答えがひらめきとして降りてきます。
この無意識とうまく付き合うにはどうしたらいいか?
まず、なにか思いつきたい、ひねり出したいことについて、自分に対して質問を投げかけるといいでしょう。
たとえばぱっと見困難に思えるようなことも、「できない」「難しい」「ありえない」では終わらせない。
「そうするためには、どうしたらいいんだろう?」
と丁寧に問い直すことで、スパンとひらめきが降りてくることがあります。
もうひとつひねりが足りない。
「この企画、どうしたら心に届くものになる?」と問えば、
今まで想像もつかなかったようないい企画を思いつくことがあります。
うわ。あれもこれもやらないといけない。
「どれから手をつけたらいいだろう?」と問えば、
「やっぱりこれからやろう!」という道筋が見えてきたりします。
初参加の人が多い会合で、
「どうしたら盛り上げられるか?」と問えば、
進行役にぴったりの人の顔が浮かんできたりします。
無意識はすごい。
「あ!そうだ、あの子に話してみよう」とひらめいて連絡してみたら、
相手から「実は私も連絡を取ろうと思っていたの」と言われ、
話がするする進んだことはありませんか?
無意識との付き合い方を知ると、すべてがうまくいくようになります。
一方、うまくいかない人の「口癖」や「考える癖」はたいていよく似ています。
どうしてうまくいかないんだろう?
どうして……どこにも頼れる人がいないんだろう?
どうして、ワクワクしないんだろう?
どうして、がんばっているのに成果が上がらないんだろう?
どうして、面白くないんだろう?
こういう思考をする人は、なかなかひらめくことができない。
なぜならば「ないものはない」から。
どこを探したって「ないもの」は出てきません。
インターネットと同じで「山﨑拓巳」はヒットしますが、「山﨑拓巳ではないもの」はヒットしません。
しかし質問を「答えが存在する質問」に変えると、とたんに無意識は答えを探しはじめます。
どうしたら……うまくいくんだろう?
どうしたら、頼れる人とめぐり会えるんだろう?
どうしたら、ワクワクするんだろう?
どうしたら、もっと成果が上がるんだろう?
どうしたら、面白くなるんだろう?
こんな風に「どうしたら……」からはじまる疑問形に言い換えることで、とたんに答えがヒットするようになるのです。
同じように、
「海外旅行したい。けど、寝たきりのおばあちゃんがいるからどうしようもないなあ」
と考えていても、無意識はなにも探せず、同じところをぐるぐる回ります。
ところが、
「どうしたら、寝たきりのおばあちゃんがいても海外旅行に行けるか?」
と言い換えておくと、
無意識はいずれすばらしいひらめきを顕在意識にたちのぼらせてくれます。
そしてひらめいたら、すぐに行動に移すこと。
ピッと降りてきたら、パッと行動する。
このスピード感が、やる気をさらに加速させるのです。
経営者としてニューヨークにラーメン店「タクメン」「タクサンド」を出店したり、アーティストとして国内外に絵画、Tシャツ、バッグを出展したり、映画出演を果たすなど多方面で活躍中。
主な著作に『なぜか感じがいい人のかわいい言い方』『人生のプロジェクト』『気くばりのツボ』(サンクチュアリ出版)、『さりげなく人を動かすスゴイ!話し方』(かんき出版)などがあり、著作累計部数は200万部を超える。