人民元見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「景気減速、米が対中関税引き上げ、定年延長、それでもドルとパラレルに動く元」人民元見通し

(通貨4位、株価19位)

予想レンジ 人民元/円 19.7-20.2

(ポイント)
*景気は概ね減速している
*ただ為替は安定。株価は弱い
*今週はローンプライムレート決定
*8月鉱工業生産・小売売上高伸び鈍化
*米政府、対中関税引き上げを最終決定
*定年引き上げ案を承認 年金財政逼迫を緩和 
*デフレとの闘い続く
*8月貿易、輸出は駆け込みで増加、輸入は内需低迷で伸びず
*中国の外貨準備の運用は謎
*G7首脳、中国過剰生産に懸念表明
*中国の米国債保有額、2009年ぶりの低水準に

(人民元円、一時、年足が陰転)
人民元は年初来4位。対ドルでは年初来安定しているが、7月の日銀の円買い介入以来、対円で12.08%高あった差が、現在はわずか1.21%高となり、いつ逆転されてもおかしくない位置にある。
株価は相変わらず弱い。上海総合指数は年初来8.66%安、香港ハンセン指数は3.59%高。10年国債利回りは景気減速で2.03%へ低下。

(今週はローンプライムレート決定)
今週は中秋節の休日があったので、経済指標は9月20日のローンプライムレートの決定だけだ。1年物が3.35%、5年物が3.85%の予想で前回と変わらず

(鉱工業生産・小売売上高伸び鈍化)
8月の経済指標は、鉱工業生産の伸びが5カ月ぶりの水準に鈍化した。小売売上高の伸びも減速したほか、新築住宅価格はさらに下落し、積極的な景気刺激策が必要になるとの見方が強まった。
鉱工業生産は前年比4.5%増加。伸び率は7月の5.1%から鈍化し3月以来の低水準となった。予想の4.8%増を下回った。
小売売上高は夏の旅行シーズンのピークにもかかわらず、2.1%増と7月の2.7%増から減速。予想は2.5%増だった。
現在のデータフローからすると3Qの成長は2Qを下回る可能性が高い。大規模な景気刺激策が近く実施されるだろう。
1-8月の固定資産投資は前年同期比3.4%増と、予想の3.5%増を下回った。1-7月は3.6%増だった。
8月の新築住宅価格は前年比5.3%下落し、2015年5月以来9年余ぶりの大幅な落ち込みを記録。70都市で価格が前月比、前年比ともに上昇したのはわずか2都市だった。
8月失業率は前月の5.2%から5.3%に上昇した。内定を得るために雇用市場に参加する大卒者が増えた。

(米政府、対中関税引き上げを最終決定)
  米政府は、米通商法301条に基づく対中制裁関税の大幅な引き上げについて最終決定を下した。電気自動車(EV)の関税率を100%に引き上げるなどし、中国で過剰生産された廉価品に対し米国の戦略産業分野の保護を強化する狙いがある。
米通商代表部(USTR)は、中国製EVに対する関税率100%、太陽電池の50%、鉄鋼、アルミニウム、EV用バッテリー、主要鉱物の25%への引き上げを含め多くの追加関税が今月27日に発効すると明らかにした。
中国はこれまでも、関税引き上げに報復する姿勢を示している。今回の措置について、ワシントンの在米中国大使館からコメントは発せられていない。