メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「メキシコ2つの不確実性と、その後の夢」メキシコペソ見通し

予想レンジ 7.1-7.6

 (ポイント) 
*メキシコ2つの不確実性(司法改革と米大統領選)、その後の夢(地峡鉄道)
*ペソは7円50銭手前で小康。株価は、10年国債は
*インフレ鈍化で2カ月連続で金利引き下げ
*9月前半CPI低下、2Q個人消費も減少
*次期大統領の課題は
*天敵はトランプ氏
*ニアショアリングは続いている
*市場は司法改革をネガティブなものと捉えているが、政府の対応はこれから
*中銀、成長見通し引き下げ
*2026年USMCA改定への議論開始、米国大統領選挙でも言及されよう
*メキシコの格付けはジャンク債の手前

(ペソは7円50銭手前で小康。株価は、10年国債は)
 9月11日のボリバン2σ下限の7円割れから上昇も7円50銭には到達出来ず小安い。団子天井の様相。株価(ボルサ指数)は年初来6.61%安と一時10%超の下げもあったが回復途上。10年国債利回りは9.59%、8月の10%台からは低下している
 
(インフレ鈍化で2カ月連続で金利引き下げ)
メキシコ中銀は、政策金利を0.25%引き下げて10.5%とした。ほぼ予想と一致。総合インフレ率は急低下、メキシコ最大の貿易相手国である米国の工業部門の弱さがメキシコの輸出を圧迫し、中南米第2位の経済大国メキシコの今後の成長鈍化を示唆している。

成長率では2024年には3年連続で低下し、2025年にも再び低下する可能性が高いとの見方が一致している。 中銀は先月、2024年のGDP予想をわずか3カ月前の2.4%から1.5%に引き下げた。これは、頑固に高いインフレ率を支えてきた活動と需要の減少を示唆している。

(9月前半CPI低下、2Q個人消費も減少)
9月前半の消費者物価は前年同月比4.66%の上昇となり、8月の5.16%と、予想の4.73%をいずれも下回った。ペソ円が伸び悩んだ理由は2Qの個人消費の伸び悩みもある。前期比で0.6%減少、1Qは1.8%増であった。予想の1.4%増から悪化した。前年比では2.7%増、1Qは3.3%増。

(次期大統領の課題)
シェインバウム次期大統領は10月1日に就任するが、与党モレナ党が多数派を占めるメキシコ議会が、2025年から最高裁判事を含む判事を国民投票で選出する法案を可決したことで、多くの投資家は同国議会への信頼を失っている。判事が党派色を強めることでメキシコのビジネス環境にどのような影響が出るか不透明感から、一部の経済学者は外国投資が急減すると予測している(実際はまだ起きていない)。
 また財務省は2025年度予算を策定しており、財政赤字を今年の5.9%から3.5%以下に引き下げると約束しており、借入コストの低下はシャインバウム政権にとって恩恵となる可能性がある。
 
(天敵はトランプ氏)
 米大統領候補のトランプ氏は以下のように語った。メキシコのニアショアリングの地位を脅かすものだ。

*米国の生産者に超低額の税金と規制を提供するため、連邦所有地に特別地域が設立される。
*メキシコ国境から入るすべての車に100%の関税が課される。
*米国に拠点を置く製造業者は、初年度の重機のコストを相殺する研究開発税額控除を受けることになる。