人民元見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「景気刺激策で株急騰、人民元は上位安定。長期金利は利回り上昇」人民元見通し

(通貨3位、株価12位)

予想レンジ 人民元/円 20.5-21.0

(ポイント)
*人民銀、24日景気刺激策発表
*中国政府は景気刺激策として何を行ったのか
*景気刺激策実施の背景は
*株価は急騰、ハンセン指数は世界最強へ
*人民元は上位で安定。10年国債利回りはやや上昇
*ブラックロックなど世界の投資家が中国への投資判断を引き上げ
*若年失業率、8月は18.8%に上昇
*ドル買い介入で人民元急騰を抑えている
*豪中財務相会談が開催された
*8月鉱工業生産・小売売上高伸び鈍化
*9月各種PMIも伸び悩み
*米政府、対中関税引き上げを最終決定
*定年引き上げ案を承認 年金財政逼迫を緩和 
*8月貿易、輸出は駆け込みで増加、輸入は内需低迷で伸びず

(株価急騰、香港ハンセンは世界最強に、人民元は上位で安定)
建国75周年を前に発表された9月24日の景気刺激策で、株価は急騰している。香港ハンセン指数は発表前から昨日終値で23%高、上海総合指数は21.37%高(上海は9/30終値、国慶節で休場中)。
 ただ歴史的に見ると香港ハンセン指数は2018年に3万2千台、上海総合指数は2007年に5900台をつけているので、史上最高値更新には遠い。
一方、人民元は景気刺激策の利下げでもコントロールされ年間3位を維持している。10年国債利回りは、政策金利引き下げでもやや上昇している。正イールドカーブを維持して金融機関の収益を安定させようとしている。

(中国政府は景気刺激策として何を行ったのか)
①預金準備率と政策金利の引き下げ
②住宅ローン金利の引き下げと住宅ローン頭金比率の調整
③安定した株式市場の発展を支援するための新たな金融政策ツールの創設

(何故、景気刺激策を行ったのか)
 1つ目は、中国人の経済に対する態度に関する調査で、人々が将来について悲観的になり、幻滅していることが明らかになった。2つ目は、物理的およびオンライン上の抗議活動の記録で、経済的な不満によって引き起こされた事件が増加していることが示された。
不動産危機に加え、公的債務の急増と失業率の上昇が貯蓄と支出に打撃を与えている。世界第2位の経済大国である中国は、今年、成長目標である5%を達成できない可能性がある。
これは中国共産党にとって厳しい現実だ。爆発的な成長によって中国は世界大国となり、安定した繁栄は、決して鞭を緩めない抑圧的な政権が提供するアメだった。

景気減速はパンデミック終息とともに襲い掛かり、その一因は3年間にわたる突然の完全なロックダウンで経済活動が停滞したことにある。
習近平氏が中国の指導者となる前の2004年と2009年、そして習氏の統治下の2014年と2023年に実施された(ハーバード大学ホワイト教授とスタンフォード大中国経済センターのロゼール教授の研究)

2004 年には、回答者の約 60% が、過去5年間で家族の経済状況が改善したと回答し、同じくらい多くの回答者が今後5年間について楽観的であると感じていました。

2009年と2014年には数字が急上昇し、それぞれ72.4%と76.5%が状況が改善したと答え、68.8%と73%が将来に希望を抱いていると答えた。

しかし、2023年には、家族の生活がより良くなったと感じている人はわずか38.8%だった。そして、今後5年間で状況が改善すると考えている人は半数以下、約47%だった。

一方、将来に対して悲観的だと感じる人の割合は、2004年のわずか2.3%から2023年には16%に増加した。