南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「「前向きな雰囲気」南ア中銀総裁が語る」南アランド見通し

「通貨首位、株価12位」
「予想レンジ 南アランド円8.3-8.8」                                            

(ポイント)
*「前向きな雰囲気」南ア中銀総裁が語る
*先週はトリプル高。南アランドは年間首位を維持
*家計資産増加
*南アの弱点は高い失業率に不満、スト続く
*ラマポーザ大統領がGNUを世界に売り込む
*9月PMI堅調
*米国と南アの関係は
*資源高もランドを支える
*8月の消費者物価は低下
*マスク氏のスターリンクサービスを開始か
*格付けを「BB-」に据え置き、見通しは「安定」
*アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続くが、ガザ問題で関係悪化も
  

(先週はトリプル高。南アランドは年間首位を維持)
 南アランドは年間首位を維持。対円で年初来11.3%高。株価指数は先週は3.38%上昇し年初来12.04%高、10年国債利回りは91.6%で前週の9.21%から低下。

(「前向きな雰囲気」クガニャゴ南ア中銀総裁)
 クガニャゴ中銀総裁は今後数カ月でインフレ率が4%を下回る可能性があり、当局が9月に金利を引き下げた後、行動の余地が広がると述べた。
 「今後2,3回の利上げを予想している。政策余地が生まれる」と南アの国会議員らに語った。「主要なデフレーションは主に世界的な供給ショックの弱まりに支えられている」
 中銀の予測では、消費者物価上昇率は今年第4四半期に3.6%に落ち着き、2025年には平均4%になると見込まれている。
インフレの鈍化を受けて先月、金利を0.25%引き下げて8%とした。食品とエネルギーコストを除いたコアインフレ率は8月に4.1%に減速し、「デフレーションプロセスが現在確実に進行していること」を示していると総裁は述べた。

南アのインフレ見通しは、5月の選挙後に中道政党を含む幅広い政権連合が結成されたことによる企業信頼感の上昇から恩恵を受けており、ランド高と輸入価格の抑制につながっている。
「南アについては今や前向きな雰囲気が漂っている」と総裁は述べ、2Qに0.4%拡大した経済は3Qも回復を続ける可能性が高いと付け加えた。「他の新興市場通貨に比し、南アランドは上昇している。これは、南アの金融資産価格に実際に埋め込まれていたネガティブなニュースの大部分を一掃できたことを意味する」と述べた。

(長期債利回り低下)
南アの利回りは財政見通しの改善により10%を下回っている。世界的なリスク志向の上昇と国内の財政安定の兆候が重なり、2022年4月以来初めて10%を下回った。
投資家らは、3カ月余り前の選挙以降の政治的、経済的変化に後押しされ、同国の財政政策が軌道に乗るとの楽観論を強めている。財政は目標を達成するか、若干上回る見込みで、2021年以来の財政改善傾向が続く。
 これにより、南ア政府が財政の信頼性を回復するにつれ、利回りは徐々に低下する可能性がある。財政規律への取り組みで知られる民主同盟が加わった連立政権は、財政不振のリスクを軽減する。最近の財政の好調さが、市場の価格設定に織り込まれていない、とされ利回り曲線の長期側へのシフトが推奨されている。

(家計資産増加)
南ア中銀は、2Qに家計資産が増加したと発表した。資産の時価総額の増加が負債の増加を上回ったためで、株式市場の上昇も一因となった。名目可処分所得に対する純資産の比率は、第1四半期の389%から6月までの3か月間で393%に上昇した。これは2023年1Q以来の高比率だ。
 南アの全株指数は、前四半期に3%下落した後、今四半期で6.9%上昇した。上昇の要因の1つは、6月に企業に有利な政権連合が結成されたことに対する楽観論である。
「ランドの為替価値の上昇、国内消費者物価上昇の緩和、GNU設立後の投資家心理の好転など、さまざまな要因によって支えられた」と中銀は述べた。