総括
FX「トルコリラ、歴史的な1年となるか、残り2か月」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価5位)
予想レンジ トルコリラ/円4.2-4.7
*トルコリラ歴史的な1年となるか
*10年ぶりに下落幅はここまで一桁%である
*今月はドルに次いで2位
*10年ぶりの対円で5%台の下落で収まっている理由は
*リラの持続的急騰はないだろう 急騰時にはリラ売り介入あり
*最近の経済指標は? 来週はCPI
*IMFの成長見通しは3.0%、2024年
*BRICS加盟に意欲、中国との経済関係を強めている
*PKKとの緊張は続く(先週はPKKのテロと報復爆撃があった)
*中銀総裁は11月8日に会見
*エルドアン大統領、第三次世界大戦に警鐘を鳴らす
(トルコリラ歴史的な1年となるか、残り2か月)
今週号のタイトルは大げさに「トルコリラ歴史的な1年となるか」としたが、何が歴史的というと、2014年以来、10年ぶりに対円での下落幅が一桁になる可能性がある。
現在、年初来5.5%安。過去9年はすべて対円では10%以上の下落であった。円もここ10年弱かったが、トルコリラはそれ以上に弱かった。
現在のリラ円スワップは30%、対円での下落が5%台ならば(複利効果を除く)円キャリー取引で利益が出ることとなる。残り2か月の勝負。
(10年ぶりの対円で5%台の下落で収まっている理由)
やはり、政策金利を50%まで引き上げ、リラ売りを阻んでいることがある。また金融緩和策が持論の大統領がその金融政策を支持していることもある。
2024年の経済成長は新興国らしく3%の予想で驚くべきことではないが、経常収支が改善している。その理由は、コロナ禍があけてトルコへの観光客が急増していること、世界の軍事緊張が高まる中でドローンの輸出が伸びていることなどが上げられる。
(リラの持続的急騰はない 安定重視)
財務省・中銀はリラの急騰を目指しているわけではなく、安定を望んでいる。歴史的にはリラ安のレベルでも急騰時にはドル買いリラ売り介入を実施し安定を目指している。
(10月はここまでドルに次いで2位)
10月はここまでドルに次いで2位と健闘。「インチ バイ インチ」のペースで上昇。テクニカルでも日銀介入以来の雲上となった。長期金利(10年国債)は30%台へ上昇、それを嫌気したか、株価指数(イスタンブール100)は年初来50%高から、現在は19.75%高へ上げ幅を急速に縮小している
(最近の経済指標は? 来週はCPI)
10月企業信頼感指数は100.9で9月の98.8から改善した。今週10月経済信頼感指数、9月貿易収支、9月訪トルコ観光客数、10月製造業PMIの発表がある。
来週は注目の10月消費者・生産者物価の発表となる
(IMFの成長見通しは3.0%、2024年)
IMFの最新(10月)の世界経済見通しによると、トルコのGDP成長率は2023年の5.1%から2024年には3.0%に低下すると予測されている。2025年の見通しではさらなる低下が予想され、成長率は2.7%に低下するとみられている。
これは、IMFが7月に発表した2024年の3.6%という予測から下方修正されたことになる。
トルコでは、2023年半ば以降の金融・財政政策の引き締めへの移行により、成長率は2023年の5.1%から2025年には2.7%に鈍化すると予想されている。
IMF報告書によると、トルコのインフレ率は大幅に上昇し、2023年の53.9%から2024年には60.9%に達し、その後2025年には33%に低下すると予想されている。
(BRICS加盟に意欲)
エルドアン大統領は、トルコはBRICSとの協力強化を心から望んでいると発言した。エルドアン大統領はロシア・カザンで開催されるBRICS首脳会議に出席した。今年9月、大統領は繰り返しBRICS加盟に関心を表明しており、トルコのBRICS加盟申請手続きは現在も進行中であると述べている。