
これまでの事業変遷
ーーまず、これまでの事業の歩みについてお聞かせください。
株式会社理学ボディ 代表取締役・木城 拓也氏(以下、社名・氏名略) 理学ボディは7年前に設立しました。それ以前は整形外科クリニックで理学療法士として働いていましたが、理学療法士という職業は技術を磨くほど患者さんから感謝される仕事ではあるものの、年収やキャリアの広がりには限界があると感じていました。
私は、医療の進化に合わせて新しい技術や知識を取り入れ続けることが大切だと考えています。しかし、従来の働き方では時間やお金の制約が大きく、このままでは勉強を継続するのが難しいと感じ、自分自身の店舗を持つ決断をしました。
ーー第一号店をオープンしたのは表参道だったんですね。
木城はい。理由は、90分かけて筋膜にアプローチする「筋膜マニピュレーション」という技術に特化し、しっかりと単価を取れる地域で挑戦したかったからです。当時の施術料金は17,000円、現在は18,000円ですが、この価格を受け入れてもらえる顧客層がいる場所として表参道を選びました。

ーーその後、短期間で100店舗以上の展開に成功されています。その秘訣は何でしょうか?
木城 多店舗展開の鍵は「出店コストの徹底的な削減」です。私たちは1店舗あたりの初期費用を平均50万円以下に抑えています。例えば、岐阜店では家賃3万円、敷金礼金1か月といった条件で出店し、設備も最小限にすることで30~40万円で開業できました。また、利益回収期間を平均3か月以内に設定し、出た利益を次の店舗に回すことで、高速で出店を進めました。
ーー海外展開もされていますが、その背景や狙いについて教えてください。
木城 国内では既に、整体事業で100店舗以上を展開しており、出店可能なエリアに上限が見えてきました。特に、当社のサービスは所得の高いエリアでないと成立が難しく、これ以上の拡大はリスクが伴います。一方、海外、特に東南アジアでは人口が増加しており、出店余地が多く残されています。
当社は理学療法士が監修したピラティス事業を後発で展開しており、主にこの事業での海外市場への展開を進めています。また、東南アジア市場は今後も成長が期待されており、早期に基盤を築くことで競争優位を確立したいと考えています。当社のサービスは自費制のため、同じ戦略をグローバルに展開することが可能です。
自社事業の強みやケイパビリティ
ーー貴社の強みについて教えてください。
木城 当社の最大の強みは「理学療法士の技術力」です。理学療法士が起業するケースは少なく、私たちは技術力を活かして自費診療市場で差別化を図っています。整体に関しては、「3回以内の改善」を目指す短期間完結型のサービスを提供し、既存の長期間通わせるモデルとは一線を画しています。このモデルにより、高単価かつ顧客満足度の高いサービスを実現しています。
ーー特に施術技術や人材についてもお聞かせいただければと思います。
木城 理学ボディは理学療法士によって設立された会社です。そのため、理学療法士の持つ高度な技術も当社の大きな強みです。理学療法士が起業しているケースは非常に少なく、自費診療市場においてはほぼ独占的な存在といえるでしょう。
私たちは、痛みの改善や姿勢矯正、美しい体づくりなどに特化したサービスを提供していますが、世の中には理学療法士のこうしたスキルを十分に知らない方も多いです。そのため、ニーズがあるにも関わらず対応できていないという市場の隙間を埋める形で事業を展開しています。
ーー理学療法士の採用において、特に工夫している点はありますか?
木城 SNSとYouTubeを活用した独自の採用戦略が奏功しています。Twitterではフォロワーが1.4万人、YouTubeの「理学療法士の働き方改革チャンネル」では登録者数が1.7万人を超えています。どちらも理学療法士や専門職の方々が多く視聴しており、ここからモチベーションの高い理学療法士を直接採用できることが大きな利点です。リストを蓄積し、エージェント費用をかけずに優秀な人材を確保できるのは当社の重要なアドバンテージです。
ーー整体事業の特徴についても教えていただけますか?
木城 私たちの整体は「三回以内の改善」を目指す短期間完結型のサービスです。従来の治療院ビジネスは回数券を20回分、何十万円で販売するモデルが主流ですが、私たちはそれとは逆の戦略を取っています。短期間で結果を出すことに重点を置いているため、結果を重視する顧客の支持を得ています。
また、高単価ながらも質の高い施術を提供することで、技術者がやりがいを感じられる環境を整えています。回数券を売るためだけの営業活動を求められないため、職人肌のスタッフが離職する原因を取り除いています。実際に、18,000円という高単価設定でも成立するビジネスモデルを構築できており、この仕組みが高い収益性と顧客満足度を支えています。
ーーピラティス事業についてはどのような強みがありますか?
木城 ピラティス事業も「理学療法士監修」であることが最大の強みです。従来の「キラキラピラティス」と言われる、綺麗なスタジオでトレンドのピラティスをすることに価値を見出すような感情的なアプローチとは異なり、当社では肩こりや腰痛の予防、姿勢矯正、美しい体づくりといった機能的な価値を重視しています。
さらに、当社の事業代表である戸田は、アメリカ発のピラティス協会「PHIピラティス」のマスタートレーナーです。この資格は日本で40人しか持っておらず、PHI協会のセミナーを主催する権利も所有しています。このセミナーがきっかけで当社のコンセプトに共感して下さる方がいることも手伝って、ピラティスインストラクターを独自に確保しています。
ーー高い継続率も魅力的ですね。
木城 そうですね。当社のピラティス事業はサブスクリプションモデルを採用しており、継続率は92%、退会率は8%という実績を誇っています。この数字は業界平均を大きく上回るもので、当社が提供する技術やサービスの質を反映していると自負しています。

これまでぶつかってきた課題や変革秘話
—— これまでに直面した課題や、特に印象に残っているエピソードがあれば教えていただけますか?
木城 理学ボディとして事業を成長させる中で、最も大きな課題は整体事業の成長の限界が見えてきたことです。倒産の危機というほどではありませんでしたが、出店の上限が見えてしまい、業界トップを目指す上での大きな悩みとなりました。
—— それは大変な状況ですね。どのようにしてその課題を解決されたのでしょうか?
木城 その時に始めたのがピラティスの事業です。私たちのバックボーンを活かし、現在の顧客基盤を生かす形で、整体でお世話になっている方々をピラティスに紹介しました。整体では痛みの改善を行いますが、その改善の先に予防という観点でピラティスを提案しました。
今後の事業展開や投資領域
—— 今後の事業展開や投資領域についてお聞かせください。どのような分野にどのような形で投資をし、成長を目指されるのでしょうか?
木城 短期的には売上高100億円を目指しています。これには整体だけでは難しいので、ピラティスを始めています。ピラティスにはまだまだ成長の余地があると思っていますので、どんどん店舗を増やしていきたいと考えています。ですので、一番投資したいのは、自社のピラティススタジオの増店です。その中で特に注力したいのが海外事業です。現在、シンガポールに3店舗あり、まもなく4店舗目がオープンします。オーストラリアにも1店舗、インドネシアにも1店舗あります。今年2月にはマレーシアもオープンしました。
メディアユーザーへ一言
—— メディアユーザーの皆様に向けて一言お願いします。
木城 やはり事業を伸ばすためには健康が最も大事だと思います。体を壊してしまっては始まりません。特に経営者の方には健康面をしっかりと考えていただきたいですね。ピラティスや整体、フィットネスといった分野は非常に重要です。私たちはそういった領域で会社を拡大していきたいと考えています。
- 氏名
- 木城 拓也(きしろ たくや)
- 社名
- 株式会社理学ボディ
- 役職
- 代表取締役