本記事は、鳥原 隆志氏の著書『仕事ができる人がやっているインバスケット超入門』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

インバスケットとは
まずインバスケットについて簡単にご説明します。
インバスケットとは架空の立場に立って、与えられた時間の中で多くの案件を判断したり問題解決したりするビジネスシミュレーションゲームです。
例えば、あるホテルの支配人になり、溜まっている未処理のメールを一時間ほどで返信したり、部下に指示を出したりするといった内容です。
このインバスケットは多くの企業で二通りの使い方がされています。
まず昇進試験としてです。
課長や部長などの管理職、そして幹部職を選抜するためのテストとして使われています。
これらのインバスケットのスコアによって、管理職としてふさわしい判断力や問題解決力、部下指導力などが備わっているかを確かめるわけです。
もう一つは研修や教育として使われています。
同じインバスケット問題を他の方はどのように処理をしているのかを比較したり、グループ討議を通じて、さまざまな視点や判断方法、問題解決のアプローチを学ぶのです。
ちなみに「インバスケットのコツ」を知りたがる方の多くは、インバスケットを昇格試験として控えている方です。
ただインバスケットは今まで受けられたテストとまったく特性が異なりますので、ここだけを勉強すれば合格できるというヤマがなかなかはれないテストです。
なぜなら、覚えた内容を回答とした書く問題ではなく、学んだことをさまざまなケースに対して応用することが評価されるものだからです。
なので今までのテストで高得点を取ってきた方もインバスケットで苦戦するわけです。
インバスケットの評価方法について解説しましょう。

インバスケットは用意されたケースに対して、この判断をすれば正解という絶対的な答えは存在しません。
判断に行きつく前にどのような工程(私たちはこれをプロセスと呼びます)を辿ったかを分析し、管理職として高いパフォーマンスを出す方が取る行動がどれだけ含まれているかを評価します。
インバスケットで良いプロセスが実行できていれば、管理職になっても現場で同じ行動が取られるだろうということです。
インバスケットができると仕事ができる
さてインバスケットの仕組みについてはご理解いただけたと思います。
では次にインバスケットのコツを学べば、なぜ仕事が楽になるのかという点について説明しておきたいと思います。
ネットを検索すると「管理職ならインバスケットができなければ仕事にならない」と発言されている方もいるかと思えば、「インバスケットは実務とはかけ離れているので無駄だ」とぼやいている方もいるようです。
結論から申し上げますとインバスケットができる人は仕事ができる人です。
ただ、それはインバスケットで測定する範囲では、という前提付きです。
実はインバスケットはその方の大部分の行動を測定できますが、以下のような部分は測定できません。
- 相手の話を聞けるか
- 熱量のあるプレゼンテーションができるか
- 相手に合わせた会話ができるか
- チームを正しい方向に誘導することができるか
つまりインバスケットの回答は主に「文字」ですので、言葉で実際に発したり、その際の表情などは測定できないのです(ちなみに近い将来測定できるように研究開発中です)。
ですからインバスケットが測定する部分であれば、その部分は実際の職場でもできるということから、インバスケットができる人は仕事ができる可能性が高いということになります。
逆説的に表現すると、インバスケットでできないことは、実際の職場でもできていない可能性が高いということになります。
ですからこれからお伝えするインバスケットのコツは仕事のコツと連動するわけですから、ぜひ取り入れていただきたいと思います。

- 仕事ができる人がやっているインバスケットとは
- 仕事ができる人がやっている早く読み理解するコツ
- 仕事ができる人がやっている優先順位をつけるコツ
- 仕事ができる人がやっている他人を巻き込むコツ
- 仕事ができる人がやっているトラブル対処のコツ
- 仕事ができる人がやっている意思決定のコツ
- 仕事ができる人がやっている伝えるコツ
- 仕事ができる人がやっている上司とうまく付き合うコツ