本記事は、鳥原 隆志氏の著書『仕事ができる人がやっているインバスケット超入門』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

上司とうまく付き合うコツ
上司との良好な関係を築くには
管理職とは、組織の交差点に立って交通整理をしている人のようなものです。
部下との関係性や他部署との連携、そして上司から降りてくる指示や、時には無茶ぶりに対応しなければなりません。
上司とうまく付き合うコツを伝授します。
あなたは、1日に上司とどのくらい話していますか?
職場の環境や上司の性格にもよりますが、上司と信頼関係を築くには、ある程度の接触時間が必要です。
しかし、中には、コミュニケーションが苦手な上司もいます。
そのような場合は、部下から積極的にコミュニケーションを取ることが重要です。
インバスケット問題では、新しい役職に就き、新しい上司と会わずに、さまざまな判断をしなければならないという状況設定がよくあります。
このような場合は、着任後すぐに、「方向性をすり合わせる機会」を設けるようにしましょう。
なぜなら、自分では正しいと思っていても、上司の考えと合致していなければ後でトラブルになる可能性があるからです。
上司と部下、それぞれの「物差し」が違うと、認識のズレが生じます。
例えば、あなたが一生懸命作った資料を、上司に見せたところ、「これはダメだ。作り直してください」と言われたとします。
このとき、あなたは、「なぜダメなのか?」「どこを直せばよいのか?」と疑問に思うでしょう。
しかし、上司からすれば、「なぜ、こんなこともわからないのか?」「なぜ、こんな資料を作ってしまったのか?」と、あなたのことを理解できないかもしれません。
これは、上司と部下で、仕事の「基準」が異なるからです。
上司の「基準」を理解していなければ、どんなに頑張っても、上司を満足させることはできません。
逆に、上司の「基準」を理解していれば、上司の意図に沿った仕事をすることができ、高い評価を得られるでしょう。
インバスケットの回答を書く際にも、上司との方向性のすり合わせを求める行動は必須と言ってもいいでしょう。
実際の職場でも、上司との方向性を合わせる機会は、定期的に設けるようにしましょう。
多少間違った判断をしても、方向性が合っていれば、大きなトラブルにはなりません。
しかし、正しい判断をしていても、方向性が間違っていれば、上司との信頼関係にヒビが入り、仕事がしづらくなってしまいます。
「報連相」も、上司との方向性を合わせる上で、重要なツールです。
こまめに報告や相談をすることで、上司の考えを理解し、自分の仕事に活かすことができます。
上司と良い関係を築くことは、仕事をする上で、非常に重要です。
積極的にコミュニケーションを取り、上司の考えを理解することで、スムーズな関係を築くことができるでしょう。
- 上司とのすり合わせの時間を確保しよう。
一度のすり合わせる時間は短くてもよい、大事なのは定期的に行うこと。
上司の叱責にスマートに対応するには
上司から指摘されたり、指導されたりしたとき、あなたはどのように対応していますか?
「言い訳をする」
「反論する」
「黙って聞いていないふりをする」
さまざまな対応があると思いますが、上司とうまくやっていくには、「謝罪する」ことが重要です。
「自分は間違っていないのに、なぜ謝らなければならないんだ?」
そう思う人もいるかもしれません。
しかし、反論したり、言い訳したりすると、上司との関係が悪化し、事態が悪化する可能性があります。
また、感情的になってしまうと、冷静な判断ができなくなり、問題解決が遅れてしまう可能性もあります。
謝罪することは、決して「負け」ではありません。
むしろ、「大人の対応」です。
謝ることで、上司の怒りを鎮め、冷静に話し合いをすることができるようになります。
そして、冷静に話し合いをする中で、誤解を解いたり、自分の意見を伝えたりする方が、結果的に、あなたの評価を高めることにつながります。
インバスケット問題では、「謝罪する」という行動は、当事者意識として評価されます。
例えば、前任者が犯したミスであっても、自分ごととして捉え、謝罪する行動は、責任感があると判断されます。
また、謝罪した後、再発防止策を提案するなど、前向きな行動を取れば、さらに評価は高まります。
「謝る」という行為は、一見、ネガティブに思えるかもしれません。
しかし、ビジネスの世界では、「謝る」ことは、「責任を取る」ことでもあります。
そして、「責任を取る」ことができる人は、信頼され、尊敬されます。
ぜひ、「謝る」ことをスマートに実践し、上司との良好な関係を築きましょう。
- 仕事のプロとして相手が満足していなかったらまずは謝る。
「ご期待に添えなかったのは申し訳ない」というフレーズを使おう。
