本記事は、鳥原 隆志氏の著書『仕事ができる人がやっているインバスケット超入門』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

CC - Carbon Copy is a copy of a note sent to an addressee other than the main addressee
(画像=dizain / stock.adobe.com)

他人を巻き込むコツ

CCは必ず使う

インバスケット問題で高得点を狙うには、「計画組織力」が重要になります。

計画組織力とは、周りの人を巻き込み、協力して目標を達成する力のことです。

これは、インバスケット問題だけでなく、実際の仕事においてもリーダーとして不可欠な能力です。

今回は、計画組織力を高めるための具体的な方法として、「CC」を効果的に活用する方法について解説します。

CCとは、メールを送信する際に、To以外の相手に、同じ内容を共有するために使用する機能です。

一見、簡単な機能ですが、使い方次第で、周りの人を巻き込み、協力体制を築くことができます。

CCを使うメリットは、大きく分けて4つあります。

①情報共有

情報は、組織にとって血液のようなものです。

血液がスムーズに循環することで、組織は健全な状態を保つことができます。

しかし、情報が特定の人に滞ってしまうと、組織全体に新鮮な情報が行き渡らなくなり、意思決定の遅れや大きなミスにつながる可能性があります。

そこで、CCを活用することで、必要な情報を関係者に共有し、組織全体の活性化を図ることができます。

②情報伝達の確実性向上

メールは便利なツールですが、相手が確認しなければ情報が伝わらないという課題があります。

相手が何らかの理由でメールを確認できない場合でも、CCに関係者を入れておけば、誰かが気づいて対応してくれる可能性が高まります。

特に、緊急度や重要度の高い案件では、CCを活用することで、情報伝達の確実性を高めることができます。

③根回し

根回しとは、事前に関係者に情報共有を行い、合意形成を図ることです。

CCを活用することで、関係者に事前に情報を伝達し、意見交換や調整をスムーズに行うことができます。

これにより、無用なトラブルや意見の対立を避け、円滑にプロジェクトを推進することができます。

④集約伝達

限られた時間の中で、大量の業務を処理しなければならない場合、CCは非常に有効な手段となります。

本来であれば、一人ひとりに個別にメールを送信したいところですが、CCを活用することで、一度に複数人に情報伝達することができます。

これにより時間と労力を大幅に削減することができます。

CCは、周りの人を巻き込むための強力なツールとなります。

しかし、使い方を誤ると、情報漏えいや無駄な情報拡散につながる可能性もあります。

CCを使用する際は、「本当にこの人に共有する必要があるのか?」をよく考えてから、慎重に判断するようにしましょう。

ぜひ、CCを効果的に活用して、周りの人を巻き込み、組織全体で目標達成を目指してください。

現場で実践!
  • いつもよりメールの返信時にCCを意識してみる。

会議やミーティングを開催する

インバスケット問題で周りの人を巻き込むには、「会議」や「ミーティング」を活用することが効果的です。

「会議?うわぁ、面倒くさい…」

そう思った人もいるかもしれませんね。

確かに、会議は、時間もかかるし、面倒なことも多いものです。

しかし、リーダーになると、会議をうまく活用する側に立たなければなりません。

インバスケット問題では、会議を開催することで、周りの人を巻き込み、協力体制を築くことができます。

例えば、着任後には、問題の洗い出しや情報共有のための会議を開催するのが効果的です。

これにより、状況を把握し、課題を明確化することができます。また、あなたが感じている問題点をメンバーに共有することもできます。

また、メンバーの顔と名前を一致させることで、コミュニケーションを円滑にすることもできます。

さらに、自分の方針や今後のビジョンを一括して伝えることで、意識統一を図ることもできます。

大きなトラブルが発生した場合には、対策会議を開催することも有効です。

個別に指示を出すよりも、関係者を集めて会議を行ったほうが、迅速な解決につながります。

また、さまざまな意見を集めることで、より効果的な対策を立てることができます。

私自身も個別に指示を出そうと先走ることがありますが、結局重複して指示を出すことが多いのに気づきます。

対策会議を開催し再発防止策を全員で共有することで、組織全体の意識向上を図ることもできます。

会議は、短期的な問題解決だけではなく、長期的な戦略を練る場としても活用できます。

メンバーの意見を集約することで、より効果的な戦略を策定することができます。

ただし、会議は大人数で行うため、個別の問題を扱うには不向きです。

個人的な相談や指導などは、1on1などの個別面談で行うようにしましょう。

会議を効果的に行うためには、事前の準備が重要になります。

準備不足の会議は、時間の無駄になるだけでなく、結論が出ないまま終わってしまう可能性もあります。

会議を開催する際は、事前に目的と議題を明確にしておく必要があります。

また、必要な資料を準備しておくことも重要です。

さらに、結論をまとめるなどの役割の人を決めておくことも大切です。

インバスケット問題では、このように会議の準備を指示する計画力も評価されます。

例えば、自分が不在の間、部下に資料作成や関係部署への根回しを指示する、といった行動が考えられます。

会議は現場にいるときはあまり参加したいものではないかもしれませんが、管理職になると周りの人を巻き込み、協力体制を築くための有効な手段です。

ぜひ、会議を効果的に活用し、インバスケット問題を攻略してください。

現場で実践!
  • 会議で伝えたいことや解決したいことを発信してみよう。
仕事ができる人がやっているインバスケット超入門
鳥原 隆志 (とりはら・たかし)
株式会社インバスケット研究所 代表取締役。インバスケット・コンサルタント。大学卒業後、株式会社ダイエーに入社。販売部門や企画部門を経験し、10店舗を統括する店舗指導責任者(スーパーバイザー)として店長の指導や問題解決業務に努める。管理職昇進試験時にインバスケットに出合い、自己啓発としてインバスケット・トレーニングを開始。日本で唯一のインバスケット教材開発会社として、株式会社インバスケット研究所を設立し代表取締役に就任。日本のインバスケット・コンサルタントの第一人者としてテレビやラジオに出演し、ビジネスマンの行動分析をするなど活動中。国内外での講演や、研修実績多数。延べ受講者数は2万人以上を数える。主な著書に『究極の判断力を身につけるインバスケット思考』(WAVE出版)、『一瞬で正しい判断ができる インバスケット実践トレーニング』(朝日新書)、『たった5秒思考を変えるだけで、仕事の9割はうまくいく』(中経の文庫)などがあり、50冊以上累計90万部を超える。
仕事ができる人がやっているインバスケット超入門
  1. 仕事ができる人がやっているインバスケットとは
  2. 仕事ができる人がやっている早く読み理解するコツ
  3. 仕事ができる人がやっている優先順位をつけるコツ
  4. 仕事ができる人がやっている他人を巻き込むコツ
  5. 仕事ができる人がやっているトラブル対処のコツ
  6. 仕事ができる人がやっている意思決定のコツ
  7. 仕事ができる人がやっている伝えるコツ
  8. 仕事ができる人がやっている上司とうまく付き合うコツ
ZUU online library
(※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます)