皆さんこんにちは、毎週火曜日に債券投資の教室シリーズを連載しているgelです。
今回も個人投資家の方々が、債券投資を考えるうえで必要と思われる知識を、できるだけわかりやすく伝えていきます。
さて、本日ですが、おそらく多くの方にとって大変身近であろう会社の一つ、ソフトバンクの債券発行をテーマにお届けします。
米国のスプリント社の買収に絡んで、ソフトバンクが2013年6月に個人向け社債を4000億円発行しました。この債券発行は調べてみるととても面白いく、孫さんは経営者・起業家としてだけでなく、マーケットプレイヤーとしても超一流であることが読み取れます。
【債券投資の教室シリーズ】
債券投資の教室vol1〜証券会社の債券ビジネスのカラクリ〜
債券投資の教室vol2〜預金?国債?社債?個人投資家が知っておくべき債券の比較法〜
債券投資の教室vol3〜個人投資家にとって債券市場が身近でない3つのワケ〜
【参考】
「外資系金融の終わり」藤澤数希著
日本でも始まる大革命?エクイティ型クラウドファンディングIndiegogoとKickstarterが目指す新時代の資金調達
アジアから見た日本の不動産、ならびにシンガポール最新不動産事情
実質利回り10%超え?3月・9月に忘れたくない人気の株主優待ベスト10
◉ソフトバンクの社債は「ジャンク級」になるリスクが高かった?
下記が、ソフトバンクが2013年6月に個人向け社債を4000億円発行した時の条件となります。
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満期:5年
発行額:4000億円
クーポン(金利):1.74%
格付け:A(JCR発表)
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(参考: ソフトバンクプレスリリース )
この債券はどうやらバカ売れしたようですが、実はこの債券は「個人向け」だったからこそ大人気を博したといっても過言ではなく、もし機関投資家向けであれば、ここまで巨額の発行はできなかった可能性が高いと思われます。
というのも、この債券は機関投資家にとっては「リスクが高すぎて買えない」、もしくは「買えてもごく少額だけ」というシロモノだったのです。
今回はその辺りの事情について、特に重点的にお伝えしたいと思います。まず、以下のデータをご覧ください。
2013年8月15日現在、各企業のホームページに記載されている格付けです。
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「ソフトバンク 長期債格付」
S&P:BB+
ムーディーズ:Ba1
日本格付研究所(JCR):A-
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格付けの見方としては一般にBBB以下、つまりBBやBなどは「投機的格付け」といい、「ジャンク債」などと呼ばれたりもします。これは「投資をするにはリスクが高い」と格付け会社が呼びかけている状態を表しています。
そして、ソフトバンクの社債は1社を除き現在「投機的格付け」になっていることが分かります。
一方で、起債時点(2013年6月)の格付けは今よりも高かったのですが、債券発行後に3つの格付け会社全てから格下げされています。
以下は、起債時点での格付けと格下げされた日です。
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S&P:BBB
その後2段階格下げ:2013年7月8日
ムーディーズ:Baa3
その後1段階格下げ:2013年7月18日
日本格付研究所:A
その後2段階格下げ:2013年7月11日
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いずれも理由は「債務の返済にリスクがあるため」、つまり債券を大量に発行したことにより、それらをちゃんと返済できるかどうか、やや疑問符が付くためにこのような格下げが起こっています。
言い換えると、「4000億円の債券を発行されたことが引き金となって格下げが行われた」ということです。