ボルカールールの厳正適用も商品相場からの投機マネー撤退を加速

原油価格やこの銅価格に限らず昨年あたりから商品相場のあらゆる価格が伸び悩み、むしろ低下傾向にあるアイテムが増え続けている。

一説には米国でのボルカールールの厳正適用が商業銀行とその関連投資筋の投機的マネーを商品相場から大幅に引き揚げさせているといわれている。商品相場は実際の需給をベースに価格が再構築されつつあることがこのような事態に陥っているとの見方だ。

投機筋が手を引いてみれば原油価格も実需ベースで大幅な価格低迷を継続している状況はこれを端的に物語っているともいえる。


影響は鉱業大手の株価下落や資源国経済にも影響

当然こうした銅価格の下落は欧米の鉱業大手の株価下落の引き金となっており、銅の主要生産国の経済にも影響を与え始めている。たとえばチリは世界最大の銅生産国であり、コデルコという国営企業の収益は同国のGDPの10%を担っている。それ以外にもペルーやメキシコ、インドネシア、オーストラリアといった国にも影響を及ぼしかねない状況であり、資源国通貨の為替にも影響を与えかねない。


米国のQE終焉と利上げにより余剰資金の流れが変わる前兆か?

過去3回におよぶ米国の量的金融緩和で生じた不必要なまでの余剰資金があらゆる金融商品市場に入り込み投機的な動きを加速してきたのが過去5年間の相場の動きだったが、このQEの終焉と米国の利上げ、ならびに前述のボルカールールの厳正適用が投機マネーの動きを変化させている兆候と見ることもできる。

2004年、FRB・グリーンスパン議長の時代の利上げでもその直前と直後に米国株は7%以上の上下動を繰り返し、それに引きずられる形で日本の日経平均も大幅下落した。今年FRBの利上げが実施されることになれば、新興国市場に投入さている資金を含めて大きな移動が起きる可能性は否定できない。そうなれば、コモディティの世界にもより大きな変動が起きる可能性も想定しておく必要がありそうだ。

(ZUU online)

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