JTは既にグローバルカンパニーとしての企業戦略を模索

JTというと、どうしても国内のたばこ事業者という強いイメージがある。実際、既に海外事業は同社の売上全体の4割を越しており、近年では国内でも有数の海外企業へのM&Aを手がける企業へと成長している。その量の多さは毎年決算期の多額な暖簾代の償却をみても一目瞭然な状態だ。海外事業に関してはスイスのジュネーブにHQを置いており、本格的なグローバルカンパニーとしての組織作りも着々と進んでいる。

こうした視点で見たとき年間500億円足らずの国内専業ビジネスである飲料事業が必ずしも現在のJTにとって投資対効果の高いものではないことは容易に理解できる。国内市場の将来性から考え、集中と選択の視点でこの事業から撤退することを決定したと言える。それだけJTの企業戦略はグローバル化、かつ高度化していることが伺える。


先進企業では今後事業の新規参入と撤退が日常的に起こる世の中に

国内で飲料事業を専門に行っている競合事業者にとってはJTがこの市場からあっさり撤退するのは驚愕の事態かもしれない。

しかし多角的かつグローバルでビジネス展開を行う企業は今後ますますこのような事業買収、売却、撤退といったアクティビティを繰り返すことになることが予想される。それだけ市場状況と自社の収益環境というものは変化しつあるのだ。同じ飲料系でもビール業界は21世紀に入ってから少子高齢化と若者のビール離れの加速により国内市場の縮小で、既に1000億以上のマーケットが失われている。飲料市場は幸いなことに拡大を続けてはいるが、やがてピークアウトを迎えるだろう。

JTの今回の撤退で飲料市場のシェアが大きく変化することはないと見られるが、今後の市場の変化次第ではさらなる事業者の事業撤退も考えられる。

(ZUU online)

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