今や低金利を争う先進国ではありえない年利7.75%という高い政策金利を打ち出しているトルコリラは、スワップ狙いには人気の通貨で、トルコリラ円を買う個人投資家も多くなっている。しかし昨年末、トルコ中銀のバシュチュ総裁が原油安で2015年のインフレ率が中期的な目標の5%付近に低下する可能性を示し、一段の利下げ余地があると発言したことからトルコリラの大幅下落につながっている。果たしてトルコ中銀は利下げに踏み切るのかどうかが注目されるポイントだ。
トルコは資源国に囲まれた原油の純輸入国
原油価格の下落は、周辺の資源国とは異なりエネルギー資源の純輸入国であることから、原油価格の下落は経済的負担の軽減につながり、国民生活にもプラスに働く側面が大きい。特にトルコは近年重工業の発展に尽力しているため、原油価格の低下は歓迎していることだろう。もともとインフレ率の高い同国にとっては、先進国と比べても原油価格の下落にベネフィットを感じているといえる。
エルドリアン大統領も経済成長のため利下げを熱望
ただし、リラ安が進めば原油安のメリットは帳消しにされるため、物価上昇を持続的に抑えるためにも慎重な金融政策が求められる。
2014年に大統領選挙で当選したエルドリアン大統領も就任直後から経済成長の促進のため利下げの重要性を強調しており、中央銀行に対して再三利下げを要求している。
2014年のトルコ経済は全体的に低迷し、政府は実質GDP成長率を3.3%に下方修正することを余儀なくされたが、2015年の目標は4.0%に設定し直している。一方、IMFは2015年の成長予測を政府よりも厳しい3.0%としており、高いインフレ、経常赤字、外国からの資金依存が、経済の持続的成長の障害になっているとみている。
トルコの場合、与党と中央銀行の対立状況が続いているため、簡単に大統領の要求を呑むことにはならないと思われるが、中央銀行がこうした状況に鑑み、独自の判断で継続的な利下げに踏み切る可能性は高いと考えられる。
さらなる利下げは2月の金融政策委員会
トルコ中銀は1月20日の金融政策委員会で既に政策金利を8.25%から0.5%引下げ、7.75%としている。さらに1月27日にはバシュチュ総裁が1月のインフレ率が1%以上鈍化すれば2月4日にも理事会を繰り上げ開催する可能性があるとの発言をし、追加利下げの可能性が高まった。結果としては消費者物価指数は対前年同月比で7.24%となり、中央銀行の臨時金融政策委員会の開催は見送られている。
現状では予定通り2月24日に開催の見込みで、改めてそのタイミングに1月のインフレ率について検討する旨の発表が行われている。昨年12月に8.17%だった年間インフレ率は、今年1月には0.93ポイント下落している。辛うじて1%には届いていないが、この数値が過去19カ月間で最も低いインフレ率となっていることから、2月の委員会でトルコ中銀が利下げの追加に踏み切る可能性は十分に残されている。今後もトルコ中銀の政策決定会合の動きから目が離せない状況である。
(ZUU online)
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