集団的自衛権に対する憲法解釈の変更や有事法制、ひいては憲法改正など、安倍内閣カラーとも言える安保政策に注目が集まっている。いわゆる平和憲法があるとは言え、すでに日本の防衛予算は世界的に見ても上位にランキングされており、国際的な軍事費統計を継続的に集計しているスウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)による2014年のデータでも日本は8位につけている。つまり、予算だけを見れば日本はすでに世界有数の軍事大国なのだ。

今後、さらにこの流れが加速すると見られる。イデオロギーに直結する部分だけに議論は熱を帯びているが、マーケットはこうした動きをどう見ているのだろうか。軍需関連銘柄として10社をピックアップして考察した。

軍需産業と関わりが深い重厚長大産業

かつて日本にも軍御用達の企業が多く存在していた。これらの企業は陸海軍が使用していた戦艦や戦闘機などを製造、納入し、莫大な利益を上げていた。今もそうした企業は軍需産業と密接な関わりを持っており、軍事調達での事業拡大に期待を寄せているところも多い。

零戦のメーカーとして知られ、今も自衛隊や海外の軍需産業に多くの部品を納入する三菱重工業 <7011> は、その筆頭格と言えるだろう。防衛省への納入実績1位を誇り、戦闘機や戦艦、ヘリコプターの製造を手掛けている。同様に軍需関連銘柄として本命視されているのが、川崎重工業 <7012> やIHI <7013> などだ。総合重機メーカーの大手として、日本の自衛隊に対する納入実績だけでなく海外の軍需産業にも多くの納入実績を持つ。

かつて名を馳せた軍需企業としても注目したいのが、スバルのブランド名で知られる自動車メーカー、富士重工業 <7270> だ。かつて中島飛行機という社名でゼロ戦を製造しており、そこで培われた航空機製造のノウハウを活かして無人偵察機システムや遠隔操縦システムなどに強みを持つ。

本業を防衛産業にシフトした成長銘柄

軍需産業の伸びしろに期待を寄せているのは、投資家だけではない。当の経営者も同様で、かつての本業で培った技術を活かして軍需産業にシフトした銘柄がある。段ボールや繊維などでスタートした石川製作所 <6208> は、防衛機器事業にシフトして、機雷の製造を手掛けている。同様に紡績会社としてスタートした豊和工業 <6203> も現在は紡績事業から撤退し、火器類の製造で業績を伸ばしている。

本業から大きくシフトしたわけではないが、産業用の防毒マスクや保護メガネの製造で定評のある重松製作所 <7980> も、現在は軍事関連向けに防毒マスクなどを納入しており、業績も好調だ。その同社と双璧を成しているのが興研 <7963> で、防衛省向けに防毒マスクを納入する2大メーカーに位置づけられている。

武器輸出三原則の緩和で急騰した銘柄

安倍内閣の安保政策によって武器輸出三原則が緩和されたことも、株式市場に大きなインパクトを与えた。上述した軍需関連銘柄の中にも急騰を演じたものがあるが、それ以外にも急騰した銘柄がある。

航空機用電子機器製造の大手として高い技術力を持つ日本航空電子工業 <6807> 、救難飛行艇や関連部品の納入に豊富な実績を持つ新明和工業 <7224> が有力だ。

(ZUU online)