日本のお家芸であるロボット産業が、これからの日本経済で重要な位置を占めるかも知れないと感じさせる動きが顕著になっている。経済産業省が「ロボット新戦略」を発表し、成長戦略の柱として位置付けるスタンスを鮮明にしたことをはじめ、神奈川県には「さがみロボット産業特区」という経済特区が設置され、規模の大小を問わず日本全国でロボット産業を重要視する動きが見られる。
こうした動きは、日本のロボット産業に大きな有望性、将来性があることを裏付けるもので、その兆候は株式市場にも見られる。今後大きな成長が見込まれる、ロボット関連の10銘柄をピックアップしてみよう。
人件費の高騰で産業用ロボットに熱い視線
かねてから日本が強みを持ち、すでに多くの工場などで活用されているのが産業用ロボットだ。こうした産業用ロボットの多くは組み立て作業などに活用され、日本国内の工場で今も活躍中だ。
近年、こうしたロボットの需要が急拡大しており、今後もその傾向は続くと見込まれている。その背景にあるのは、安い人件費で一大製造業大国になった中国での人件費高騰だ。そこで注目されているのが産業用ロボットで、海外での需要も高まっている。
産業用ロボットでシェアを持つメーカーの銘柄として、すでに大手となっているファナック <6954> 、近年成長著しい川田テクノロジーズ <3443> 、ロボットビジネスセンターという事業部を設けてすでに老舗の部類に入る川崎重工業 <7012> 、高い技術力で成長を続けるセイコーエプソン <6724> などが有力だ。
有望性抜群、介護分野のロボット銘柄
製造業よりもさらに人手不足が深刻なのが、介護サービス業界だ。慢性的な人手不足はサービスの質的低下という問題も起こし始めており、それを補う形でのロボット開発が望まれている。
介護ロボットの分野で最も注目の銘柄は、CYBERDYNE <7779> だ。筑波大学発のロボットベンチャー企業として設立され、HALというロボットスーツの開発に成功している。同じく産学協同によるベンチャー事例で注目したいのが、今仙電機製作所 <7266> だ。名古屋工業大学の佐野教授による受動歩行理論を応用し、片脚式歩行支援機の開発に成功している。これは片側が麻痺によって動かなくなった人の行動を支援するもので、さらに同じ開発環境から無動力歩行支援機も市場投入している。自力での行動が困難な人を支援するロボットスーツとしては菊池製作所 <3444> もマッスルスーツを製品化しており、介護分野での活用が進んでいる。
部品メーカーやソフトベンダーにも高い経済効果
こうしたロボット産業を支えているのは、高度な部品製造技術だ。ロボット市場が拡大することにつれて部品メーカーやロボットの動作を制御するソフトウェアベンダーにも高い経済効果が見込まれている。
ロボット向け部品のメーカーとして最右翼はハーモニック・ドライブ・システムズ <6324> 。ロボット製造に欠かせない精密制御減速装置に強みを持っている。同じく精密減速機で世界の6割という高いシェアを持つナブテスコ <6268> も高い収益が見込まれる。また、2足歩行ロボットの関節部分に欠かせない球面軸受けを製造するメーカーとしてヒーハイスト精工 <6433> も有望だ。
ロボット制御に特化したソフトウェア開発に定評があるのは、セック <3741> だ。経済産業省からロボット標準化に向けた研究の受託をしており、国からも高い技術力が評価されている。
(ZUU online)