これまで見てきた成功した人と失敗した人の違いは?
2008 年の不動産市場の低迷の際、私もいくつかのプロジェクトで損失を出してしまった。マーケットの変化のスピードについていくことができず、「最悪のシナリオを脱するため戦略」を実行するのが遅れてしまったからだ。しかし、その後は気持ちを入れ替え、マーケットを追い越すことによってその損失の補填ができた。それができたのは自分ならば必ずできると強く信じることができたからだと思う。哲学的なことはあまり言いたくないが、自分がここまで来られたのは、まず自分を信じて、正直に、全力を尽くすということがこれまでの仕事の根幹になっている。
どのようなプロジェクトにおいても最も重要なのは、最悪のシナリオを想定することと、それを脱する戦略を持っていること、この2つだ。実際私もクライアントにプロジェクト内容を説明する際、聞こえの良いことばかりではなく、最悪のシナリオとそれが起こってしまった場合の損益、そしてその状況を脱する戦略案を必ず提示している。
私は戦時下で育った。そして、ラスベガスに 22 歳で来て一文無しからスタートし、絶対成功してやる、という非常に強い気持ちを持っていたことは事実だ。その中でビジネス・プライベートにおいて自分を理解することのできる能力があることが大きかったと思う。
また、自分の野心をコントロールできるようにすることが重要だ。野心を持つのはよいことだが、時としてそれは危険を伴う。コントロールできるように日々努力することが必要だ。モチベーションを糧に野心を養うと同時に、自分を傷つけないように制御する。確実に一歩一歩進むことが重要で、野心に急かされないように気をつけるべきだ。
野心をコントロールするのは難しいと思いますが、気をつけていることは?
これは私にとっても課題だね。私は毎日、野心的な自分と理性的な自分と向き合っている。自分の野心を保ったまま、野心に傷つけられないようにしているのだ。