日経平均株価が1万9000円台に乗せ、15年ぶりの高値水準となるなど、活況な日本株であるが、今のこの水準から新規で取引を行うのは勇気がいる。大型銘柄は軒並み、日経平均株価と同様に高値圏にあるからだ。そこで今回は、地方の優良企業をクローズアップしてみたい。
銘柄の抽出基準は、3月10日現在、東京証券取引所が統計資料として発表している「規模別・業種別PER・PBR」において、それぞれの銘柄が属する市場の総合PER・PBRを下回っており、かつ本社所在地が東京都以外であることとした。この条件に適合する銘柄は多数あるが、その中でも今回は「食」に関連する注目銘柄を紹介したい。
SPAの手法を畜産に応用したホクリヨウ
1つ目は、ホクリヨウ <1384> だ。本年2月のIPO銘柄であるため、ブックビルディングに参加した投資家もいるのではないだろうか。ホクリヨウは北海道札幌市に本社をかまえ、鶏卵の生産・販売と畜肉販売を主たる業務としている。特色は、鶏卵事業において、生産から販売まで、自社内で一貫して行っている点である。流通コストの削減や、ニーズを踏まえた商品展開、適時適量の生産など、製造小売業(SPA)のノウハウをうまく取り入れており、農業協同組合(JA)を通す一般的な生鮮流通の仕組みとは一線を画している。
アベノミクスでは「三本の矢」政策のうち、第3の成長戦略でJAの抜本改革を掲げている。すでに北海道の鶏卵業界では最大手であるホクリヨウだが、M&Aにより岩手にも進出しており、JA改革が進むことで更なる事業拡大が期待できる。
そして、近年重要視される、食の安全にも力を入れており、鳥インフルエンザを防備するウインドレスの鶏舎や、サルモネラワクチンの接種、植物性飼料の使用などさまざまな安全対策、安心の提供に取り組んでいる。これは、生産から販売まで自社で行っている会社だからこそ実現できることであり、消費者のニーズを的確に捉え、即、事業に反映している良い例といえる。また、中長期的な視点だけでなく、足元の業績も順調で投資妙味は尽きない。
「和食」を支える焼津水産化学工業
2つ目は、焼津水産化学工業 <2812>だ。魚介類などから天然調味料や健康成分を抽出し、食品メーカーや健康食品メーカーに原料素材として提供することを主な事業としており、一般消費者には馴染みが薄いかもしれない。しかしながら、調味料は、ダシの素やスナック食品、ふりかけなど多岐にわたって利用され、機能性素材からは、各種サプリメントや化粧品などが作られている。
「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録され、海外で「和食」ブームが起こっていることを考えれば、今後成長が期待できる。企業としても海外展開に力を入れており、中期経営計画の重点課題として「グローバル展開と新たな海外拠点(東南アジア)の設置」を掲げている。現状の中国だけでなく、今後成長が見込まれるASEAN地域のマーケットを視野に入れていることから、海外展開が途上である今こそ投資すべきタイミングと言えるだろう。また、直近の決算(第3四半期)の内容は減収減益となっているものの、通期の経常利益予想を引き下げており、悪材料は出尽くしたと思っていい。
世界へはばたく日本の「食」
交渉が大詰めを迎えている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や昨今の産地偽装、異物混入問題などで、食の安全や食料の安定供給などがこれまで以上に注目される時代になっている。そして、日本食と日本の食材が世界から高く評価されるようになってきた。今こそ、日本の「食」を堅実に支える優良企業の株を買ってみてはいかがだろうか。(ZUU online 編集部)
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