NOIでは語られない減価償却費と返済原資



上述のことからも分かるように、投資意思決定する際はNOI利回りで語られることが多く、減価償却費は議論の対象とならない。一方で、借入金の元本返済額についても損益計算書上表に現れず、当面は内部留保された減価償却費から返済原資が生じるため、議論の対象になりにくい。そのため、不動産賃貸業において不動産投資を行う際に忘れられがちなのは、減価償却費と元本返済額の存在なのである。


注意すべきは減価償却が進んだ中古物件



中古物件で減価償却費が低額な物件については、デットクロスに陥りやすいため、注意が必要だ。このような物件は、費用となる減価償却費が少ないため利益が多く出てしまう。よって、個人であれば所得税、法人であれば法人税がより多く課税され、更に手元に残るキャッシュが減っていく。内部留保されるキャッシュがないため、返済原資は純粋に税引き後の利益から捻出しなければならない。その際に手元にキャッシュが無かったりすると黒字倒産になるケースもあるのだ。


返済シミュレーションを忘れずに



デッドクロス防ぐためには、物件購入時に減価償却費と返済計画まで含めた、シミュレーションを行うことが重要だ。「いつ償却がなくなり、その時点で借入金がどれくらい残るのか」ということだけは、必ずチェックしたい。それらを考慮して、元利均等返済を選ぶのか、元金均等返済を選ぶのか、返済方法まで見越しての購入判断をすると良いだろう。目先のNOI利回りだけに惑わされずに、返済計画までしっかり立てることがデッドクロスの回避につながる。特に中古で高利回り物件が好きな方は、今一度返済計画を確認することをお薦めしたい。(ZUU online 編集部)

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