任天堂,DeNA
(写真=Getty Images)

3月17日、任天堂 <7974> とディー・エヌ・エー  (DeNA) <2432> の資本提携が発表された。任天堂はDeNAに10%出資し、DeNAは任天堂に1.24%を出資する。この提携により任天堂は、DeNAの第2位の大株主となる。

会見にて、DeNA社長兼CEO守安氏は、任天堂は保有する知的財産(IP)の価値を最大化させることを目的とし、DeNAはそのために「黒子になっても構わない」とした。


縮小続ける市場打破へ、ようやく動き出した任天堂



任天堂の狙いのひとつは、スマートデバイスのゲームでユーザーを取り込み、高い利益が期待できるゲーム専用機へと誘導することだろう。

これは至極まっとうな狙いだ。ゲームは実際に体験しないことには魅力を伝えることが難しい。だが、スマートフォンでのゲームが一般化したこの時代に、専用機とソフトを揃えるのはかなりハードルが高い。モバイル性が受けてあれだけ社会的ブームとなったNintendo DSのような携帯用ゲーム機も、スマホ全盛期の今では「ゲームしかできない、かさばるモノ」というネガティブな存在になってしまった感がある。スマホゲームが身近になりすぎて、初期コストが高いゲーム専用機の場合は、どんなにソフトが魅力的でも、手を出しにくいという課題を持ち続けている。

その点、DeNAなどが提供するスマートデバイスのゲームは、ゲーム専用機が抱えるようなジレンマがない。ゲームの入手は画面をタップするだけ。課金をしなくてもお試しで遊ぶことができる。ハードも普段使っているスマートデバイスですむので0円だ。ゲームコンテンツ自体の魅力が少々劣っていても、手軽に入手し、楽しめるモノのほうが魅力的で、ヒットするのは商売の道理だろう。

そうしてスマホゲームにユーザーを奪われ、低迷する任天堂がようやく市場の構造変化に向けて動き始めたのが今回の提携だ。


真の狙いは「ゲームソフト」の再定義



今回の提携にはもうひとつ、重要な狙いがあると考えられる。それを推し量るヒントは、会見の任天堂の岩田社長の発言から読み取れる。岩田社長は、ゲーム機もデジカメや音楽プレイヤーと同じように、いずれスマートデバイスに飲み込まれるのではないかとされる懸念についてふれ、「ソフト・ハード一体型のゲーム専用機ビジネスは今も有効に機能している。

家庭用ゲーム専用機の未来を悲観はしていない」と述べている。そしてゲーム専用機とPC、スマートデバイスを横断する新しい会員サービスプラットフォームの提供と、新ゲーム機「NX」の開発を発表した。

これらの発言から、任天堂が「ソフト・ハード一体型のゲーム専用機ビジネス」の『ソフト』の部分をより展開拡大しようとしていると推察できる。その新しい『ソフト』の一部分が「ゲーム専用機とPC、スマートデバイスを横断する新しい会員サービスプラットフォーム」になるかもしれない。

「ゲームソフト」というのは、ゲーム専用機ならばパッケージされた記憶媒体を、スマートデバイスならダウンロードされるアプリのことを指す。しかし任天堂はこのソフトをコンテンツ、課金、流通、ユーザー間コミュニケーション、そしてゲーム開発環境まですべて含んだプラットフォームにまで広げて戦略化しようとしているのではないだろうか。つまりアップル社がiPhoneアプリで行っているような複合サービスをゲームソフトでやろうとしている可能性がある。