高性能化によるゲーム機の均一化問題



任天堂はDeNAと提携し、IPの価値を最大化すると言った。その際にスマートデバイスの領域とゲーム専用機の領域が断絶してはいけない。せっかくスマートデバイスで任天堂のゲームに触れても、事業領域を分けていては、より収益性の高いゲーム専用機へ誘導できなくなってしまうからだ。ユーザーをスマートデバイスから専用機へとスムーズに誘導するために、ハードウェア間を横断するサービスのプラットフォームが求められる。

またハード間を横断するプラットフォームは、ゲーム開発にも非常に大きな意味を持つ。ゲーム専用機は、高性能化するとともに、ソフトの開発費用も高騰化している。ゲームメーカーは開発投資を回収するため、ヒット作の続編やリメイク版を頻発するようになってきた。また、さまざまなゲーム専用機に展開できる汎用性あるゲームも増えてきている。そのため、ゲーム専用機ごとの独自性が薄くなり、プラットフォーマーの旨味がなくなってしまう。ハードの高性能化が、逆にハードの個性を埋没させてしまっている皮肉な状況だ。


横断的プラットフォームに活路



しかし、スマートデバイスからゲーム専用機までを一括して対応できるプラットフォームができるとどうなるだろうか。スマートデバイスでのゲーム開発コストは、専用機と比べて格段に安い。この領域で実験的なゲームが数多く開発されれば、専用機に転用できる新しいヒットゲームの芽を育てることができ、横断的でユーザーも囲い込みやすくなる。

ユーザーに「任天堂のプラットフォームなら、遊びたいゲームが豊富にある」と認知されれば、どんな高性能なゲーム専用機を持つよりも強いブランド価値になるだろう。

今後、任天堂がDeNAと組むことでネットワークサービスの分野に力を入れてゆくのは確かだ。「弱者連合」という冷ややかな声も聞かれるなか、すでに激化しているスマホゲーム市場でどのような勝算プランと、業績回復につながるビジョンを描いているのか。次世代ゲーム機「NX」の全容と同時に明らかにされる、その戦略に注目したい。(ZUU online 編集部)

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