米住宅市場
(写真=Thinkstock/Getty Images)


2月は全般的な落ち込み

米商務省が17日に発表した2月の住宅着工件数は、市場の大幅な悪化を示す内容となった。

季節調整済みの年率換算では、前月より-17.0%と3カ月ぶりに減少した。これは2011年2月の-17.9%に近い、大幅なマイナスとなる。その結果89万7,000万戸の着工にとどまり、市場の予想(104~105万戸程度)を大きく割り込んだ。昨年9月以降、100万戸を超え緩やかに改善してきていたが、6カ月ぶりにその大台を下回っている。2桁の落ち込みで、市場は半年ぶりの低迷となった。

なお、天候などの影響で建築開始時期がずれ込むことがあり、季節調整後でも変動幅があるため、平均値を見ておかなければならない。3カ月後方移動平均は、昨年12月の+1.9%、今年1月の-0.2%、2月の-3.5%であり、年明け以降の悪化が目立つ。

2月の内訳を見ると、落ち込み度合いが明確だ。構造別では、主力の一戸建てが59.3万戸で-14.9%、マンションなどの集合住宅は30.4万戸で-20.8%と、いずれも1~2割の減少となっている。

地域別では、北東部が4万7,000戸で-56.5%と最大の縮小。続いて、中西部が9万7,000戸で-37.0%、西部が23.9万戸で-18.2%と、いずれも2桁の落ち込み。51.4万戸と最大シェアの南部でも-2.5%と前月割れとなっている。

つまり、構造や地域を問わず全般的に市場が低迷しているといえる。


寒波による一時的な悪化で基調は変わらず

こうした背景から、米国では現在、住宅を購入しやすい環境になっている。非農業部門の雇用者数はここ1年間、雇用回復の目安とされる毎月20万人以上増加を更新中であり、失業率も2月は5.5%と、金融危機前の水準にほぼ回復した。個人所得も昨年1月以降伸び続けている。つまり、雇用や所得が改善しているため、住宅を買う余裕が出てきているのだ。

また、昨年10月の量的緩和終了による景気減速の懸念から、安全資産での運用ニーズが高まり、国債が買われて長期金利が1%台にまで低下。その影響を受けて、30年固定型の住宅ローン金利も、昨年12月から3%台後半に下がっている。

このように、住宅ローンを組みやすい状況が購入を後押しし、2月も3カ月後方移動平均の前年比では、着工戸数の増加が続くと見られている。

2月は寒波による大雪など、冬の厳しい天候が影響して着工が遅れたとみられ、これが不振につながったようだ。裏を返せば一時的な悪化であり、大きな流れとしては上述のように悪くはないといえる。

NAHB(全米住宅建設業者協会)が住宅建設業者に対して実施し算出した住宅市場指数も、2月は61.0と、好不調の基準となる50.0を依然として上回っており、市場の好調さを裏付けている。


当面は好調維持、中長期的には市場縮小の可能性も

現在の良い流れを受けて、住宅市場はしばらく緩やかに拡大が続くと見られている。雇用や所得は景気に遅れて動くため、今後、金融引締めの流れが本格化しても、当面は良好な状況を維持し、住宅購入の意欲や余力が保たれるだろう。

市場の約半年先の勢いを示す住宅建設許可件数は前月比+3.0%で109万2,000戸と、昨年7月以降100万戸台を維持しており、当面の市場拡大が予想される。

だが、中長期的に見ると市場が縮小していく可能性が高い。FRBの利上げで景気が減速する可能性が高く、遅れて雇用や所得も悪化し、自宅を持つことが難しくなっていくとされている。徐々にではあるが、それを示す兆候も表れ始めた。

ISM製造業景況感指数の雇用について、2月は52.9と50.0を超えて好調は維持するものの、昨年10月の55.2からは悪化している。そして、NAHBの6か月先の販売見通しに関する指数は、2月が59.0とやはり50.0を超えて好調だが、やはり昨年9月の67.0からは下落の流れにある。

住宅市場は、建設資材や家具製品など他の業界への波及効果も大きいため、住宅投資が減速すると、関連業界も打撃を受けることとなる。そして、その業界の従業者の雇用や所得も減って家を買う余裕もなくなり、住宅投資がより落ち込むという悪循環に陥るのだ。経済全体への影響力の大きさを考えると、今後も住宅市場から目が離せない。(ZUU online 編集部)

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