「手持ちのキャッシュをなるべく残して融資を最大活用したい」
「できれば頭金なしのフルローンで不動産投資をしたい」

このような考えの不動産投資家は多いだろう。融資を有利に進めるには、同じ不動産の融資でも、「マイホーム」と「不動産投資」では性格がまったく異なることを把握しておく必要がある。

前者(マイホーム)は「個人の信用力」が審査の軸となるが、後者(不動産投資)は「個人の信用力+物件の返済力」が重視される。この根本を理解しておかないと融資額が大きく変わることも少なくない。

ここでは、具体的にどのようなポイントを抑えれば、不動産投資の融資が受けやすくなるのかをくわしく解説していきたい。

不動産投資の融資では「物件の利回り」が焦点になる

はじめに、不動産投資ビギナーの「よくある融資の勘違い」からお話していきたい。ビギナーの方が融資を受ける際、「口座を持っている金融機関に相談してみよう」と考えるケースは多いが、その金融機関の口座を持っているからといって審査が有利になるわけではない。

「毎月、コツコツ定期預金をしてきた」「何十年も口座を使ってきた」という方も同様だ。金融機関の担当者の心証は多少よくなるかもしれないが、「口座を持っている方、イコール、審査が有利」とはならない。

不動産投資の融資は、「個人の信用力+物件の返済力」の2つの軸で審査される。「個人の信用力」の部分は、マイホームローンと同様で一定の収入や借り入れ状況などの条件を満たしていれば特に問題はない。

金融機関が審査で特に注目するのは「物件の返済力」の方だ。対象となっている物件の利回りや資産価値を厳密に審査して融資の判断が下される。物件の返済力に審査比重が置かれているため、相談者が自社の口座を持っていることなど些細なことでしかないのだ。

不動産投資の融資は「地銀」を活用せよ

個人のメインバンクにこだわらなくてもいいのなら、どの金融機関に融資を申し込むのが最善なのだろう?

一般的に融資が有利に進めやすいと言われているのは、「購入物件を紹介してくれた不動産会社が推薦する金融機関」と「都市銀行・地銀」の2つだ。

購入物件を紹介してくれた不動産会社は、その物件の審査が通りやすい金融機関を熟知していることが多い。

例えば、中古物件を購入する場合は、このカテゴリに好意的な金融機関を知っているものだ。「この金融機関がお薦めですよ」とアナウンスされたら素直に意見を受け入れるのが得策だろう。

もう一つの選択肢「都市銀行・地銀」は、メガバンクと比べて融資が通りやすい。さらに都市銀行と地銀を比較すると、地銀の方が融資は通りやすいといわれる。ワンルームマンションはもちろんのこと、投資家自身に一定の収入があり(概ね700万円以上の収入)、物件の利回りが高ければ、アパート丸ごと1棟をフルローンで借りられることもある。

ただし、地銀を利用する際の注意点もある。金融機関ごとに細かい条件は異なるが、「対象物件・住居・勤務地などが営業エリア内にあること」が前提となっていることがほとんどなので、申し込み前に電話などで条件を確認しておくのが賢明だろう。

イレギュラーな融資先としては、住宅金融支援機構も可能性がある。マイホームローンの「フラット35」などでおなじみの金融機関だが、不動産投資で使えることはあまり知られていない。

不動産投資家の利用率が低いのは、「新たに取得した土地に賃貸物件を建てるケース」に限られ、制約も多いためである。

レントロールが優秀な物件を購入すれば融資が有利に

どこの金融機関を利用するにせよ、融資の審査は「レントロール」を重視して行われている。これを知っているか、知らないかでも融資額が変わってくる可能性がある。特に1棟ものの融資ではその中身が重要だ。

レントロールは、賃貸条件一覧表とも言われ、これを見れば家賃、契約期間、賃借人の属性などが確認できる。会社でいえば、簡易版の経営計画書であり、返済計画の信用性を判断する一番の材料となる。

そう考えると物件購入をする際は、不動産会社の利回りをうのみにせず、レントロールの中身を確認して検討する視点も必要だろう。例えば、最近、契約した入居者の賃料が安くなっている傾向があるなら、将来の収入は大きく目減りすることも考えられる。

優秀な物件は、より多くの融資を引き出し、より安定した経営が可能となり、融資の成否だけでなく、不動産投資の成功の鍵を握っているといっても過言ではない。

レントロールの見方については、ネット検索すれば多くの情報が出てくる。不動産投資をはじめるなら、その情報を参照にし、最低限レントロールを読み込める力をつけるべきだろう。(ZUU online 編集部)

【関連記事 マンション経営オンラインより】
・不動産投資における融資「期間」の重要性