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(写真=Thinkstock/Getty Images)


物価と雇用について

2月の消費者物価指数(除く生鮮食品)は+2.0%(コンセンサス同+2.1%)となり、1月の同+2.2%から鈍化した。消費税率の引き上げの影響を除くと2月は0.0%となり、とうとう物価上昇がなくなってしまったことになる。

10月から季節調整済前月比は3ヶ月連続で0.0%となり、円安と需要の回復が物価を押し上げる力と原油価格の下落による押し下げる力が均衡していた。しかし、1月に同−0.3%、2月にも同−0.1%となり、原油価格の下落の影響が上回り始めた。

前年同月比は年央までには一時的にマイナスとなる可能性が高い。日銀は、先行きの推移を、1%台前半、1%程度、当面プラス幅を縮小、そして当面0%程度へ下方修正を繰り返している。3月の決定会合で、物価が若干下落することを織り込み始めたが、追加金融緩和をしなかったことで、早期の追加金融緩和の可能性は低下していると考える。

原油価格の下落は成長率にはポジティブな影響があるため、原油価格の下落による物価の上昇率の鈍化がすぐに日銀の追加金融緩和につながることはない。原油価格の安定化と賃金上昇の押し上げにより、7−9月期以降は物価上昇率が持ち直すとみられ、日銀は辛抱強くそれを確認しようとするだろう。

しかし、物価が再び下落したという報道が多くなることにより、期待インフレ率が低下するリスクが大きくなるだろう。日銀が重要視している短観の企業の期待インフレ率も、10月1日公表の9月調査で低下が確認されるだろう。

展望レポートが公表される10月には物価上昇率の持ち直しが弱いことが確認され、2%の物価目標の早期の達成が懸念され、追加金融緩和が実施されると考える。そして、2017年度の予想も新たに公表されることもあり、目標の達成時期を「2015年度を中心とする期間」から「2016年度を中心とする期間」と正式に後ずれさせ、その実現をより確かにするための追加金融緩和という位置づけを明確にするだろう。

3月の東京都区部消費者物価指数(除く生鮮食品)は+2.2%(コンセンサス同+2.2%)と、2月の同+2.2%から更に減速し、消費税率引き上げの影響を除くと物価上昇がとまったことが確認された。エネルギーのウェイトの小さい東京都区部では、2・3月の季節調整済前月比は+0.1%・+0.2%となり、賃金上昇などを背景として堅調であり、早期の追加金融緩和の可能性が低いことを示す。

2月の失業率は3.5%(コンセンサス3.5%)となった。1月の3.6%から改善した。企業の雇用不足感は、製造業と非製造業ともに強まっている。就業者の増加は、これまで労働市場を退出していた労働者がもどってきた分を十分に吸収している。就業者の前年同月比+39万人に対して、非労働力人口は同−38万人である。人手不足感を背景とした企業の採用活動も強くなってきている。2月の有効求人倍率は1.15倍と1月の1.14倍から更に改善した。

内需の動向を最も敏感に反映すると重要視している中小企業金融機関貸出態度DIは10−12月期に+12と、前回のサイクルのピークについに到達している。失業率にきれいに先行する指標であり、今後デフレ脱却の実感を生む総賃金の強い拡大が加速するかは、中小企業貸出態度DIが持続的に改善して行くかにかかっているが、その動きは順調だ。

4月1日に公表となる日銀短観で、前回のサイクルのピークを上回り、前回の回復よりデフレ脱却へ向かう景気回復力と賃金上昇力が強いことが確認されるだろう。月次の調査である政策金融公庫の中小企業貸出態度DIは、12月の39.8から3月の44.2へ強く上昇している。2015年には失業率は自然失業率とみられる3.5%を明確に下回り、強い総賃金の拡大がデフレ脱却の実感につながっていくと考える。


会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

(ZUU online 編集部)

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