◉プットオプションの限界とその回避策
ただし、このプットオプションにも限界があります。株式を買い取るということは会社財産が流出することになりますので、取得請求権者以外の利害関係人(特に取引先などの債権者)に影響を及ぼすことが考えられます。
そこで会社法では、分配可能額という限界を設け、分配可能額の限度でなくては、プットオプションの対価として現金を手渡すことはできないということにしています(分配可能額の計算方法については、税理士へご相談ください)。
要は、会社財産が悪化している状態ではコールオプションの効力は生ぜず、取得請求ができないというケースもあることになります。繰り返しになりますが、これは債権者などの他の利害関係人の配慮のための措置です。
ただし、実は、これを回避する方法があるのです。
それは、取得請求の対価を現金ではなく会社の新株予約権や社債とするという方法です。例えば、取得請求の対価を社債にした場合、取得請求により株主は社債権者に変わることとなります。(社債とは、国債の会社版のようなものです)すると、取得請求をしたものは社債権者としての地位を得ることになりますので、利息などの支払いを受ける形で資金の回収をすることが可能となります。この場合には、分配可能額の規制は受けないこととなります。
このようにプットオプションは多様な可能性を、使い方ができる株式です。税理士などに相談の上、導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
BY S.K