今回は、投資先を国内資産に偏らせるホームバイアスについて解説し、自国の不況時に大きなリスクとなるが故、その改善は世界的な潮流である事を示しましょう。
日本でも多少はホームバイアスが改善する傾向にありますが、メディア等の報道では相変わらず「円建て利益」ばかりに目がいくという状況です。最後に、ホームバイアスの状態にあっても関係無い人であっても、インフレ等ホームバイアスに陥っている事はハイリスクである事を示します。
【参考】
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◉ホームバイアスとは何か
ホームバイアスとは、海外資産と比較した時に相対的に国内資産に投資を集中させる傾向の事を言います。日銀は、ホームバイアスを測る指標として、海外資産受容率(実際の対外投資規模/世界全体の市場規模に対する当該国の国外市場規模)を定義し、国際比較を行っています。
日本はガラパゴスや島国根性などと言われる事が多いですが、ホームバイアスは何も日本だけに見られる現象ではなく、世界中で多かれ少なかれ見られます。言語などの問題から、国内資産に対する調査・情報入手の容易さ等から国内資産に投資を集中させてしまう事が少なくないからです。
とは言え、日本はその中でもホームバイアスを持つ投資家が多い国であるというのも事実です。(国際比較は後で行います。)このホームバイアスは、投資行動として非合理的な行動・危険な行動と言われるのですが、では、なぜホームバイアスは危険な投資行動なのでしょうか。
◉ なぜ危険なのか
別の機会にグローバル・マクロ投資(世界中のマクロ経済指標に基づいて分散投資を行う事)について論じる事があると思いますが、そのグローバル・マクロ投資のメリットの一つに「一国が抱えるリスクを分散させる事が出来る」というものがあります。
例えば、中国の経済成長が目覚ましいですが、中国は内政リスクもありますし、バブル(ファンダメンタルズより資産価格が高い状態)であるという言説も多く、その投資リスクは決して小さくありません(高いリターンを得る為には高いリスクを取らなくてはいけないというのは投資の一般的な原則です)。
もし、そのチャイナ・リスクが顕在化した場合、いくら中国資産に分散投資していても資産価格の目減りは避けられません。
日本の場合ではどうでしょう。一般的に「長期投資」と「分散投資」が良いと言われていますが、バブル崩壊後の「失われた20年」と呼ばれる過去20年を見た時、いくらアベノミクスで株価が上がっていると言っても20年前と比べれば株価は低く、大きなリターンが出ていないのが現状です。
しかし、世界経済全体は安定して長期的に成長しているので、海外資産に投資を行うのは国内経済のリスクを避ける上で重要であり、逆に言えば、ホームバイアスに陥って国内資産ばかりに投資するのはハイリスクな行為なのです。新興国投資がハイリスクと言って避ける人は多いですが、その反動で日本国内にばかり投資する行動はリスク軽減をしているとは言えないのです。