中国市場で圧倒的な販売数を誇るVWに対抗
トヨタの生産能力拡大計画の背景にあるのは、VWとの熾烈な世界シェア戦いだ。VWは特に中国で販売台数を拡大させ、生産能力を増強しており、世界販売首位のトヨタを猛追している。2014年の中国販売台数はVWが368万台で、中国市場で苦戦するトヨタが103万台。
実に3倍以上の差が開いてしまっている。VWは今後も中国国内に大規模工場を新設する予定で、この差を縮小させるためもトヨタの生産増強は待ったなしの状況となっている。
またVWはメキシコに10億ドルを投資して工場を拡充し、小型SUVの生産計画を発表しており、トヨタのメキシコでの新工場計画もこれに真っ向から対抗した戦略だ。
ビッグスリーの頂上決戦
2014年世界販売台数は結局、トヨタが辛うじてVWから逃げ切り、3年連続で世界1位を死守したが、発表直前まで市場ではVWが抜くのではないかと言われていた。
今やトヨタ、VWに米GMを加えた世界3強はいずれも年間1,000万台の販売規模で並んでおり、もはやどこがトップに立ってもおかしくない状況だ。首位トヨタと2位VWの販売台数の差はほんの20万台程度であり、新工場ひとつが稼動するだけでも簡単に逆転できる僅差だ。
また、一旦は競争から脱落したものの、中国でのシェア拡大に動いて急速に販売を回復しているGMも侮れない相手となっている。世界の自動車市場は、この上位3社による熾烈な頂上決戦が当分続くだろう。
第2トヨタの積極投資がトップ維持のカギ
トヨタは2013年に新工場設置を凍結して以来、社内体制の強化にも努めてきている。自動車事業には4部門を設置し、大幅な組織改革を行った。
4つの部門とはレクサスを担当するレクサスインターナショナル、日本・北米・欧州を担当する第1トヨタ、中国を含めた新興国を担当する第2トヨタ、部品の企画開発や生産地術などを集約したユニットセンターである。
各部門は独自に事業モデルを採用し、事業ごとの収益を明確化している。意思決定の迅速化も事業再編の効果だ。
今回の投資は第2トヨタが主体で行われている積極策である。世界No.1の企業といえども、常にリスクをとりながら、守りに入らず攻めていく戦略こそトップを走り続けていくには欠かせない。(ZUU online 編集部)
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