退職後の生活を支える企業年金制度。2012年のAIJ投資顧問株式会社による企業年金消失事件から3年が経ち、厚生年金基金の解散や確定拠出年金の導入等、各企業の年金制度の変化は目まぐるしい。

ひと言で企業年金といっても、その種類は複数あり、中には自分がどの年金制度に加入しているのかよく分かっていない人もいるかもしれない。

老後の安心のため、「そもそも企業年金制度とはどういうものなのか?」、「自分たちの資産は守られているのか?」という疑問をしっかり解決しておきたい。


様々な企業年金制度

日本の企業年金制度は、『厚生年金基金』、『確定給付企業年金』、『確定拠出年金(401K)』のほか、2012年3月に廃止された『税制適格退職年金』や、『中小企業退職金共済制度・特定退職金共済制度』がある。

自分の加入している年金制度が分からなければ、給与明細書や会社の就業規則の確認、または総務部への問い合わせで調べることができる。

今回は、多くの企業が採用しており加入者数も多い、厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金(401K)の3種類について、その仕組みと特徴を見てみたい。


厚生年金基金

厚生年金基金は、国のルールに従って企業が国を代行して運営する『代行部分』と、企業独自のルールに従って企業が運営する『上乗せ給付(プラスアルファ給付)』の2つのパートに分けられる。

1966年の発足以来日本の企業年金を支えてきたものだが、昨今の不況により運用成績が悪化し、給付金額の削減、掛金の値上げ、さらには基金自体の解散が行われている。

厚生年金基金の解散により「自分の将来の給付金がなくなるのでは」と心配している加入者がいるかもしれない。基本的に、国のルールで運営された『代行部分』「については、今まで積み上げてきた年金がもらえなくなるということはない。

ただし『上乗せ給付(プラスアルファ給付)』については、会社の財政が著しく悪い場合、給付が減額される、または給付されないという可能性がある。このような場合、会社の運営責任を追求するなど従業員と会社間で協議を行うこととなるだろう。

基金の解散後に分配された資産は「新たに設立された企業年金に移す」、「個人型確定拠出年金に移す」、「個人が現金で受け取る」などの資産移行手続きがとられる。これらの手続きはケースバイケースのため、会社側からの説明資料にしっかり目を通し、適宜対応する必要がある。


確定給付企業年金

確定給付企業年金は、厚生年金基金と異なり、国の厚生年金の代行は行わず、『上乗せ給付(プラスアルファ給付)』のみの年金である。各基金が独自に定めたルールに従って運営するため、柔軟性が高く現在では企業年金制度の中で最も加入者数が多いものとなっている。

また、上記の厚生年金基金に代わって、新たに企業がこの確定給付企業年金基金を設立し資産を移すケースも多い。


確定拠出年金(401K)

確定拠出年金(401K)は『企業型』と『個人型』の2種類がある。『企業型』の場合、会社が従業員のために掛金を払い、従業員は各自その掛金を投資信託や債券等の金融商品に投資して運用し、将来の年金を自分で増やしていくというものだ。

一方『個人型』は、『企業型』の加入者が退職した場合などに加入する年金制度である。購入できる金融商品は会社ごとに異なり、国内外の証券など幅広い選択肢が用意されていることも多い。

従業員が自分で責任を持って運用し資産を増やしていくという確定拠出年金を採用する企業数は年々増加しており、今後も増えることが予想される。


自分の老後は自分で守る

安心した老後を送るためには、まず自分がどの企業年金に加入しているかをしっかり把握することが大切だ。厚生年金基金や確定給付企業年金の場合、基金の運用成績をモニタリングし、自分が将来いくらもらえるのか、年金以外にどれだけ貯蓄しておかなければならないのかということを認識したい。

また、確定拠出年金(401K)に加入している場合、各自が責任を持って運用し将来の年金を増やしていく必要がある。年金制度は、「国や企業まかせ」にせずに、自分で自分の資産をしっかり守っていく努力が不可欠なのである。(ZUU online 編集部)

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