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(この記事は株主手帳2015年3月号に掲載されたものです。記事: 株主手帳 、写真=Thinkstock/Getty Images)


専門家をより身近にするサイト運営で急成長「弁護士市場は数少ない成長市場だ」

昨年12月11日、マザーズに株式上場したのが弁護士ドットコム <6027> だ。インターネットを利用し、弁護士などの専門家と依頼者のマッチングを提供するサイトを運営している。代表を務める元榮太一郎氏は現役の弁護士という異色のベンチャーである。弁護士の創業者によるマザーズ上場は日本初だという。弁護士事務所に相談するという敷居の高さをグーンと下げたことで、相談したいという需要を喚起した。同時に、新たな顧客開拓を必要とする弁護士事務所にとっても絶好のアピールの場となっている。急成長の真只中だが、元榮社長は次なる事業展開を既に練り上げているという。今回は、その成長戦略に迫る。

国内弁護士の2割超が登録する「弁護士ドットコム」。無料のインターネット法律相談に寄せられた一般ユーザーからの相談件数は累計で約30万件を超える。時事問題を法的視点で解説するニュースメディアも併せ持ち、月間サイト訪問者数701万人(2015年1月実績)を誇る屈指の法律ポータルサイトである。訪問者数の伸びは直近1年で1.8倍、3年では実に9.1倍と急成長している。

寄せられる相談で最も多いのは、浮気・不倫や離婚問題といった民事トラブル。法律の専門家にスマートフォンやパソコンを用いて気軽に相談出来ることが、人気急上昇の要因だ。それぞれの弁護士への評価や詳細プロフィールの画面などは、グルメサイトさながら。食べログの弁護士版のようだ。相談したいユーザーが、過去に寄せられた類似ケースの相談投稿&回答を閲覧(一般有料会員向け)できることも、弁護士事務所の門を叩く心理的敷居を低くしていると言えるかもしれない。

依頼案件を、つまり新規顧客を獲得したい弁護士たちも、ネットに寄せられた相談に真摯に対応して書き込みを続けている。相談者の目に留まれば、法律相談の電話もしくはメールが飛んでくるのだから当然だろう。このユーザー(相談者と弁護士)投稿型メディアの仕組みがグルグルと回り続け、同サイトが抱える法律相談データベースは「雪だるま式」に大きくなっている。

同社の2015年3月期の業績予想は売上高6億7400万円で前期比2.3倍、経常利益は同10倍の1億5100万円を見込んでいる。収益の源は、弁護士マーケティング支援サービスだ。

同サイトに登録する弁護士は、無料版と有料版に分かれる。有料版では、サイト内で目立つように検索結果上位表示が可能になるだけでなく、注力分野や料金表が表示されるようになる。登録料金は月額2万円・3万円・5万円で、現在約1400人の弁護士が利用しているという。この部門の売上高は2015年3月期の第3四半期決算時点で2億5700万円。売上構成比の55.9%を占めている。

あくまで推察の域を超えないが、「食べログ」などの事業モデルに準えれば営業利益率40%台も可能かもしれない。そんな問いに元榮社長はこう答えた。
「今の段階で明言は出来ませんが、売上高については、当面高い成長率で拡大していけるのではないかと考えています。また、今期予想の段階で営業利益率は22.5%ですが、当社のような事業モデルだと運営コストが急に増加するわけではありませんので、当社の類似企業であるカカクコムやクックパッドといった他のユーザー投稿型メディアと同じく、結果として事業そのものの営業利益率は上昇する運びです」