なぜ弁護士が成長市場なのか

同社を語る際に忘れてはいけないのが市場環境だ。弁護士数は2000年以降1万7000人から3万6000人に倍増。今後も増加する見込みという。一方で、弁護士一人当たりの収入は減少傾向にあり、今後も厳しい競争にさらされることが予想されている。
「1年間で約1060万人が何らかの法律トラブルに遭っている(2014年9月電通調べ※)とされていますが、実際に弁護士に相談する人はわずか2割弱です。弁護士事務所に対する潜在需要は大きいのです」

相談しない理由の1位は「費用面での不安」が78.1%。2位が「頼むほどではない」で58.3%、3位は「敷居が高い」で24.5%だ。スマートフォンやパソコンから気軽に無料相談できるという同社の取り組みが、需要の顕在化に繋がることは想像に難くない。元榮社長は自信あり気に言う。
「弁護士報酬の市場規模は、この10年間で年間約6500億円から9500億円に拡大しています。広告宣伝費率を20%と想定すると、弁護士マーケティング支援のポテンシャルは約2000億円あります。弁護士市場は隠された数少ない成長市場です。今後は相続問題などを含め法律のプロの力が広く必要とされてきます。そんな中で当社は、収益性を保ちつつ、社会の役にしっかり立てるビジネスを続けていきたいと考えています」

同社は専門家を身近にすることをテーマに掲げている。弁護士ドットコムで培ったノウハウを用い、「税理士ドットコム」も展開中だ。税理士市場も市場規模が約1兆円。弁護士同様に、マーケティング支援サービスの規模感は約2000億円ある。他の専門分野にも水平展開が期待される。

さらに注目しておきたいのは、「弁護士費用保険」のスタートを予定していることだ。費用面での不安を一掃すべく開始を計画しているとのことで、今後のIR情報にも注目しておくべきだろう。

著者プロフィール
元榮太一郎(もとえ・たいちろう)
1975年12月、米国イリノイ州生まれ。94年3月、神奈川県立湘南高等学校卒業。98年3月、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。99年10月、司法試験合格。2001年、現 アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。05年、独立開業し、法律事務所オーセンス設立。同年7月、現 弁護士ドットコムを設立し、代表取締役社長 兼 CEOに就任。現在、第二東京弁護士会・弁護士業務センター・副委員長、日本弁護士連合会・弁護士業務委員会・弁護士紹介制度検討プロジェクトチーム幹事を務める。

(記事提供: 株主手帳

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